あしたはきっといい日

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夜明けのすべて(映画)

2024-02-24 10:00:16 | 映画を観る

もうすぐ3月になるというのに、今年に入って初めての記事をようやく書いている。書きたいことがなかった訳ではないけど、書くのが億劫になっていたのかな… 動画の方は週1本に近いペースで上げているんだけど。

さて、こちらも今年に入って初めてになる映画鑑賞。一本目に選んだのは、瀬尾まいこさんの小説を上白石萌音さんと松村北斗さん主演により映画化された『夜明けのすべて』。原作を読んだのは2020年の秋で、このブログにも感想を書いた。藤沢さんが山添くんの髪を切るシーンはとても印象に残っている。いつかこの作品が映画化されるだろうとは思っていたし、それは期待とともにあった。その報せは、二人が主役という驚きと共に届けられた。そう、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で夫婦役を演じた二人じゃないか!って。まだドラマの余韻が心の中に残っていて(今もだけど)、嬉しさと共にその報せを受け取った。で、映画のSNSをフォローしたりして公開日を待った。

最近の映画は封切り後2週間ほどで上映館・上映回が少なくなるパターンなので、公開2週間以内に観に行こうとは思っていたけど、言い訳や別の用事などで先送りにしていた。ようやく選んだのは三連休前の木曜夜の回。ちょうど特別な上映だったので館内はほぼ満席。そして、僕のようなおじさんの姿は見られなかった。まあ、それはいいんだけど。

小説の細部までは鮮明に覚えていないものの、正直冒頭から「こんな設定だったかな?」という思いが生じた。ただ、それは違和感を伴ったものではなく、次第にスクリーンに映る物語に引き込まれていった。そして、主演の二人は当然ながら朝ドラの二人ではなく、その動き、語る言葉、纏う空気感が、疑いようなく藤沢さんと山添くんだった。それは、三宅唱監督による演出によるところだろうけど、主演に二人を選んだ時点で賞をあげたいくらいな…って、それも三宅監督への賛辞になるかな。

映像化するにあたって、その時間の長さも含めてさまざまな設定に手が加えられていたけど、そのいずれもが瀬尾さんが描く世界を「映画として伝えるためには」という気持ちからのものだったのだろうことが観る側にも伝わるものだった。そして、主演の二人に注目しがちだけど、二人が勤める会社の社長を光石研さんが演じられていたのが嬉しかった。昨年のドラマ『帰らないおじさん』でも素敵なおじさんを演じられていたけど、この人が社長さんだから二人は大丈夫って、何が大丈夫だかとは思うものの、そう思った。ちょうど翌日朝の番組で光石さんのインタビュー番組が放映されていて、改めてそう感じた。

いま、この感想を書いていて、改めて本を読んだ時の感想を読み返して、もう一度この本を読んでみたいと思った。そして、今の僕は「誰かに光を当てたり水を差したりすることができる存在」になりえているだろうか。

僕を含め、人々がより利己的になり、また周囲からも自分自身からもスピードを求められる時代になり、それは何もしなければますます加速していくだろう。そんな中、ほんの少し立ち止まり、現実と自分の想いとのギャップを、まずは噛み締めてみよう。そこからどの方向に、どれくらいの速度で歩き出すかはその人それぞれ。でも、噛み締めた時間はきっと無駄にならないと信じたい。

さて、僕はどっちに歩いていこうか…



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