世界のトップモデルとして活躍された日本女性ということと、彼女が登場するCMを微かに覚えている程度だけど、この企画が開催されていることを知り、都合も合ったので行ってみることにした。
今日は「小夜子」にちなんで3、4、5日に限定で彼女の写真入りチケットが配布されるというので、少し早めに会場に向かったのだけど、平日だったこともあり先客はおらず、近くのカフェで少しまったりしていた。
波佐見焼のカップに添えられた角砂糖のグラデーションに、いつもはブラックな僕も2杯目はその2粒とクリーム(牛乳を温めてくれたものかな?)を入れて味わった。
しばらくして美術館の入口に向かうと先客が集まっていて、それでも限定数には届かないと安心して開場を待った。
さて、山口小夜子さんについてそれほど知っていた訳ではないけど、彼女が資生堂のCMに出られていた記憶はある。けれども、リアルタイムで視たいたかどうかまでは覚えていない。それでも、その強烈な存在感は少し視ただけでも強く印象に残る。
展示された作品には、彼女自身がデザインされた舞台衣装などもあり、活躍の幅の広さと多彩さに驚く。それでも最も注目したのは一連の資生堂のポスターやCM映像だった。
彼女の魅力が写真家やメーキャップアーティスト、アートディレクターなど多くの才能を呼び寄せ、そしてさらにその世界を高めていったというのを、展示されたポスターはその強烈な印象とともに観るものに伝えてくれる。彼女がモデルとして活躍された1970年代から80年代初めは、日本が最も輝きを放っていた時代ではないかと思う。その時代を引っ張っていたのは、資生堂や西武(セゾン)、サントリーなどの企業であり、彼女はそんな企業文化から生まれた類稀なる一輪の花だったのだろう。
その後、彼女はモデルの世界から、表現者としての活躍の幅を更に広げていく。そんな自身の世界を広げていた中、2007年(平成19)に急逝された。その報せを聞いたとき、とても驚いたことは今も覚えている。
彼女を精密に模ったマネキンが、今も世界で活躍しているそうだ。
彼女の命は奪われてしまったけれど、こうして今も彼女の魅力に触れる機会があるというのは、僕らにとって幸せなことだと思う。
そう、資生堂のポスターを熱心に観る若い女性に、彼女の魅力が時代を超えるんだと、改めて感じた。そして僕も、この空間を2時間以上かけて堪能した。
この企画は今月28日まで開催されている。写真など表現に興味を持つ方には特にお勧めしたいし、そうでない方も堪能できる企画だと思う。