熊谷 達也 著 「邂逅(かいこう)の森」を紹介します。
大正年間、秋田県の山村で生まれ、優秀なマタギに成長した富治だが、村の地主の娘・文枝を身ごもらせたことで、彼女の父の怒りを買い、村を逐われる。
銅鉱山で採鉱夫として働きはじめた富治は、次第に地中での仕事に慣れていく。
だが、休みの日に素人猟をしている小太郎という男との出会いをきっかけに、富治の人生の舞台は、再び、蒼天を抱く森へと還ることになる。
マタギに戻る決意を固めた彼は、生まれ育った村には帰れず、小太郎の住む村へと赴くのだった。
娼婦あがりの小太郎の姉・イクを妻にした富治は、村の狩猟組の頭領として、猟を指揮することに。
年月は流れ、老年期にさしかかった富治に意外な邂逅が待ち受けていた・・・。
身分違いの恋から故郷を追われたマタギの青年、松橋富治の波乱の人生を描く。
文学的に深い作品が読みたい、
マタギという未知の世界への興味、
エンターテインメントとしての筋のおもしろさ、
人生とは、生きる意味とは、
そして、
ラストに待ち受けるのは、ハードボイルド!
欲張りな読者の欲求をすべて満たしてくれる作品です。
2004年 第17回山本周五郎賞と第131回直木賞を史上初ダブル受賞。