名優 緒方拳さんが亡くなりましたね。
享年71歳。
色々なマスコミに生前親交のあった著名人からの早過ぎる死を悼む声が載せられていますが、私も一ファンとして書いてみたいと思います。
私が緒方拳さんが出演した作品で”この俳優さんは凄いな!”と最初に思ったのは、
「復讐するは我にあり」と云う映画です。
九州、浜松、東京で5人を殺し、史上最大の重要指名手配をかいくぐり、様々な変装で詐欺と女性関係に明け暮れた犯罪王の生き様を描いた、佐木隆三の直木賞受賞小説を日本を代表する映画監督今村昌平さんが1979年に映画化した作品。
この映画で緒方拳さんが演じた殺人鬼・榎津巌は本当に鬼気迫るものがありました。
確かTVでも放映されたと思いますが、あの映画を観た時の衝撃は忘れられません。
もう一つの作品が「魚影の群れ」です。
過酷なマグロ漁に生命を懸ける男たちとその家族の姿を描いた、吉村昭原作の同名小説を映画化した1983年の作品。
監督は相米慎二(そうまい しんじ)。
1981年には薬師丸ひろ子を主役にして大ヒットした「セーラー服と機関銃」を撮った監督です。
他の出演者は十朱幸代、夏目雅子、佐藤浩市など。
この映画の中で緒方拳さんは腕利きの漁師で頑固な男を演じ、その娘、一人前の漁師を目指す娘婿の三人の愛憎を見応えのある人間ドラマとして観せてくれました。
「骨太の俳優がいてこそ、骨太の映画が出来る。」
緒方拳さん主演のこのような映画作品と比べると、
現在の日本映画の作品内容がやけに軽く思えるのは、
私だけでしょうか・・・。