白石一郎 著 「怒涛のごとく」を読みました。


1624年、平戸の浜で夕日を全身に浴びて、後に国姓爺(こくせんや=皇族の姓を許された人物を指す)と呼ばれる、一人の子が生を享けた。
日中混血の運命の子、鄭成功は、明国海賊の鄭芝龍と日本人・田川マツとの間に生まれた。
時は、百年近い治世の間に屋台骨がボロボロになった明国、朱印船貿易から鎖国への転換期を迎える徳川政権、オランダ人に占領されつつある台湾、北方の草原には女真族の国(清の前身)が勃興し、東アジアは“怒涛のごとく”激動していた。
そんな風雲急を告げる東アジアで、父である鄭芝龍は”鄭一族の繁栄”を最優先に行動し、一挙に強大にした。
そして、この子の鄭成功は”明国王朝への忠義”を第一として、大義を主張する。
「夕日の子」たる運命を負い、黄昏の明王朝を独り守る孤高の海将鄭成功の誇り高き生き方をドラマチックに描いた作品。
主役は今も平戸で有名な鄭成功(鄭森)とその父親である鄭之龍の二人の物語。
現実主義者的生き方の鄭芝龍
対して、その子、鄭成功は理想主義者。
前半は鄭芝龍が鄭一族を強大にするまでを、
後半は親子の対決が見所となっている。
そんな物語の中に海賊たちが実に生き生きと活躍し、海戦シーンが圧巻。
日本と明国の貿易のありかたも垣間見れて、海洋時代小説としても大いに楽しめる一冊。
第33回 吉川英治文学賞 受賞