ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

大垣まで

2006-12-15 | 日々のこと。
急な用事で、岐阜県の大垣まで行ってきました。

初めてのところへ、しかもひとりで行くので、前日行き方をネットで調べてみました。
京都から新幹線に乗ればすぐかな、くらいに思っていたのですが、これが意外に不便。新幹線だと近くの駅から大垣まで出るのに路線がなく、米原で降りて乗換えて、ということになります。しかも行く場所がどうやら駅から遠いらしいのです。
到着時間から逆算し、ちょうどいい電車はないものか、と探していると・・・ありました。
なになに、敦賀(福井県)まで行って、そこから特急で大垣か、乗り換えが1回ですむし、これがいいかなと思ってよくみると、なんと各駅停車で敦賀まで2時間!?え~っ

でも、京都周りで行ってもかかる時間はだいたい同じで、しかも乗換えが2~3回、料金は約1.5倍。とりあえず、行きは敦賀回りで行くことにしました


雨がようやくあがり、グレーがかった靄のたちこめる中、村上春樹の短編小説を一冊もって電車に乗り込みました。
京都行きはよく利用するけど、福井県のほうへ行く電車に乗るのは・・・初めて!?
敦賀まで、このローカル線でガッタンゴットン揺られていきます。

どんより曇った灰色の風景を眺めていると、左手、家々の向こうに松並木と海が見え、ちょっと新鮮な気分になりました。あとは山や畑。駅の近くのまばらな商店街。

がらがらの電車ですが、朝の通学時間帯とあって、高校生が次々と乗っては降りていきます。数人かたまって乗ってきて賑やかにおしゃべりが始まると、黒い服に身を包んだおばさんは、場違いな気がして隅の方で小さくなって(なれませんけど)本を読みます。この電車は君たちのために走っているんだよ、と心の中でつぶやいて。
乗客が増えたなあと思うと小浜でさーっと降りていきました。ぼんやり車窓を眺めたり、本を読んだり、うとうとしたりして、ようやく敦賀に到着。やれやれ。

家を出るとき、そんなに寒いと思わなかったのに、敦賀で特急を待つ間足元がすーすーしました。遠くの山の頂には白いものが見え、ここはもう北陸、といった趣きです。
特急しらさぎに乗って1時間、大垣に到着。駅を出発してから3時間20分経っていました


ここ大垣にやってきたのは、主人の伯母さんのお葬式に参列するためでした。
義父は足腰が弱くなっていて、とても大垣まで行けそうにないし(本人は行きたがってはいたのですが、まわりが止めました)、主人は仕事の予定が入っていたため、代わりに私が行くことになったのです。
その伯母さんは3年前までこの町に住まれていました。伯父さんが亡くなられた後も、ひとり暮らしをされていましたが、高齢のため大垣に住む長女(つまり主人の従姉)のもとへ行かれたわけです。

この伯母さんには二人の娘さんがいます。
私がこの家に嫁ぎ、長女が生まれ、次女が生まれたとき、もちろん主人も両親も大喜びしてくれましたが、私は「女の子ふたり」ということに「あらら・・・」と心のどこかで感じてしまったのです。それは鳥の羽根程度の、ほとんど重さは感じないにも関わらず、言葉にするとやはり「負い目」というものには違いないのでした。

でも、当時会うたび伯母さんが「女の子ふたりはええよ~。ふたりで遊んでくれるしなあ」と言われるのを聞いて、その負い目が少しずつ軽くなるように感じたのです。娘二人を離れたところに嫁に出し、あるいは淋しい思いをされていたのかもしれませんが、そんな様子は全く見せず、いつも口癖のように「女の子ふたりはええよ~」と言ってくださるのでした。

そして最後は娘さんの世話で90歳の天寿を全うした伯母さん。
天国で、「女の子ふたりはよかったよ~」と言われてるかもしれませんね。
コメント (4)
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