ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

風の影

2008-05-08 | 読むこと。

        『風の影 上・下』 
      カルロス・ルイス・サフォン


最近ちょっとストレスがたまっていたので、
ぱ~っと現実を忘れさせてくれるような本を探していました。
で、思い出したのがこれ、『風の影』です。

去年だったか、新聞の書評で「とにかくおもしろい」とべた褒め。
そのときすぐに探したのですが、本屋にも図書館にも見当たらず、
結局そのまま忘れていました。
今回、図書館で検索したらヒットし、ようやく手元に。

待ちに待ったぶん期待が高まり、さっそく本の世界へ・・・。


舞台は内戦後のバルセロナ。
ひとりの少年が、父親に連れて行かれたのは「忘れられた本の墓場」。
そこから一冊の本を選ぶように言われます。

少年ダニエルが手にした本はフリアン・カラックスという
作家が書いた小説『風の影』。
ダニエルはその小説に深く感動し、その作家を調べ始めるのですが、
調べるにつれその作家の謎がだんだん深まります。

しかも、ダニエルとフリアン、
ダニエルの恋人ベアトリスとフリアンの恋人ペネロペ、
ダニエルの友人トマスとフリアンの友人ホルヘが、
過去と現在において、不思議な相互関係を見せ始めるのです。

そして、少しずつ真実がわかりかけたとき、
ダニエルの身にに恐ろしい危険が迫ります・・・。


過去の出来事と現在が絡み合い、様々な人物が登場して
その過去と現在を繋いでいきます。
そして、あっと驚く結末。

はい、もうこれは映画化にはもってこいの小説でしょうね~
恋愛あり、ミステリーあり、しかも舞台は美しい古都バルセロナ。
登場人物も、ひとくせありそうな魅力的なキャラクターがいっぱい。
さすが、書評でべた褒めしてあっただけのことはありました!

なのですが・・・。

どういうわけか、私、主人公のダニエルにひっかかってしまったんですよね
どうも彼に好感が持てない・・・(爆)

最初に登場したとき、彼はまだ10歳なのですが、
年上で美しい盲目の女性に憧れたときから「ませた男の子」っていう
イメージができてしまったんです。
その後彼女の「決定的な場面」を目撃してしまい、
少年の初恋は惨めな終わり方をしてしまうわけですが、
その後もやたら美しい女性を見るとふらふらするわけですよ(苦笑)

おまけに、誰にも言ってはいけないと約束した「忘れられた本の墓場」へ、
彼女を連れて行ったりするんです。
おいおい、そんなことしていいのか~

なんだかとても軽~い男の子という印象を持ってしまい、
それを最後まで引きずってしまったようです。

少年から青年へと成長するダニエルの、初恋や失恋、
初体験なども描かれていて、どちらかというと男性読者のほうが
共感が持てるかもしれませんね(笑)

他の登場人物は個性的で、いきいきと描かれていました。
浮浪者からダニエルの父が営む古書店の店員になったフェルミン。
フリアンを憎悪し、ダニエルを追い詰める冷酷な刑事フメロ。
フリアンの過去を知る中年の謎めいた美しい女性ヌリア。

脇役でさえ、これまで彼・彼女の人生があって、
その結果、今の彼・彼女がここにこうしているんだ、みたいな印象を受けます。
内戦をくぐり抜け、それぞれの人生を背負って生きている人たちに、
ひとりひとりの物語があるんだなあ、と感じられるのです。

なのに、どうして肝心の主人公に好感持てなかったんだろ・・・
どちらかというと、本好きで趣味で古書店を営んでるオジサマの
グスタボ・バルセロの方が好みかも。
(単に私の好みの問題?)


世界的に大ベストセラーになった作品だそうです。
読み始めたら止まりません。
できれば映画で観たい!
コメント
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