クヴィエタ・パツォウスカーとチェコの絵本展

結婚25周年のイベントがすんで、次に控えていたのは長女の引っ越し。
掃除を手伝って、新しいアパートで荷物の受け取りをしたらすぐ帰る予定でいたのですが、
「いらない物を取りに来て～」ということで、主人と車で京都まで行ったついでに、
私だけそのまま残ることにしました。

まず娘の部屋に入って唖然・・・
この狭い１Kのアパートに、大きな本棚とパソコンデスクがふえてる。
しかも引っ越し二日前だというのに、ほとんど片付いていない！？
11月、12月と長女が忙しいのはわかっていましたが、この調子で当日までに荷造りが
すむんだろうかといや～な予感

荷造りは娘でないと後で困るだろうと思い、とりあえず風呂場、洗面所、キッチンの掃除。
時間があれば近辺をぶらつくつもりでいましたが、すっかり薄暗くなってしまいました。
せめて京都駅に出ようと仕事帰りの娘と待ち合わせ。
待ち時間に久しぶりにゆっくり本屋で本を眺め（この一か月、本を読むこともままならず
活字に飢えておりました）、梨木果歩さんのエッセイを購入。
娘と落ちあい時間もあったので、翌日見に行く予定にしていた美術館えきで開催中の
「クヴィエタ・パツォウスカーとチェコの絵本展」を見に行くことにしました。


パツォウスカーという舌の噛みそうな名前は知らなくても、独特なタッチで描かれた
赤と緑が印象的な彼女の絵本を、図書館などで目にされたことがあると思います。
そう、一度見たら忘れないほどインパクトのある絵。
閉館間近の静かな会場で、鮮やかな色彩がまるで音楽を奏でるように飛び込んできます。
赤と緑という補色を使用しながら決して毒々しくはなく、暖かみがあって
ユーモラスでとてもデザイン的。
彼女にかかると、おなじみの「シンデレラ」や「すずの兵隊」のお話も全く別物になってしまう。
その自由で柔軟な発想に驚かされます。
家のことも引っ越しのこともしばし忘れ、長女と私はパツォウスカーの世界に魅了され、
すっかり満足して会場を後にしたのでした。



さて引っ越しですが。
翌日は一日中片付けに追われたので、一日早めに原画展を見に行っておいて正解でした
引っ越し当日はまさかの寝坊が祟り、しかも引越し屋さんが予定より早く来るという
アクシデント（？）もあって昼食抜きで荷造り。
新しいアパートでは段ボールで部屋が埋まり、このままでは寝ることもできない
という状態だったため、帰りの時間をずらして荷解きを手伝いました。
夕飯を食べる余裕もなく、もうへとへと

それでも帰りの電車で一人になると、疲れているのに居眠りもせず買った本を開けました。
この一か月なかなか自分の時間もスペースもとれずにいたので、何も気にせず本を
読めるという贅沢をひしひしと感じながら。
パツォウスカーの原画も、梨木果歩さんの文章も、滋養に満ちたひと匙のスープのように
私の心に沁みこんできました。
この一か月、いかに心が飢えていたことか・・・
朝のトーストをやめ煮干しでだしをとり味噌汁をつくっても、健康のため和食の回数をふやしても
心の栄養は到底満たされるはずもなかったんだなーと痛感。

それに、私にとって京都というのは不思議な場所で、通りを歩くだけでも
何かしら刺激を受けたり元気になったりするのですよね。
気持ちが学生時代に戻ってしまうのでしょうか（笑）
引越しは大変だったけど、久しぶりに京都で過ごせてリフレッシュできたかも。

長女の新しいアパートは二条城の近く。
ぶらぶらするにはもってこいの環境ですね。
今度はいつ行けるのかなあ・・・

お父さん、またおばあちゃんをよろしくね～