万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アジア諸国に良き統治を

2007年07月12日 16時58分13秒 | アジア
 近年、アジアの将来を語るに際し、常々、東アジア共同体といった地域統合が持ち出される傾向にあります。このプランは、国家の枠組みを希薄化し、流動性を高める方向に向かわせるものです。しかしながら、各地で国民弾圧事件や政変がおこるたびに、今のアジアに必要なことは、まずは、国家レベルにおける良き統治のための仕組み作りではないか、と思えてならないのです。国家の仕組みさえあやふやな段階で、国際機構作りを進めたとしても、それは、むしろ、テロや社会的対立の増加を招き、むしろ、不安定化を促進してしまう要因になるかもしれません。アジアの国々において民主主義、自由、法の支配といった諸価値が実現され、良き統治が行き渡ることこそ、今日取り組むべき最優先の課題となるのではないでしょうか?

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