最近となって、日米欧は、外国企業による自国企業の買収防止のための外資規制を強化する方向に動き出したといいます(7月14日付日経新聞朝刊)。その目的は、中国やロシアといった新興国の政府系ファンドが、巨額の資金力を動かして、安全保障関連の企業を買収することを防ぐことにあります。確かに、市場のグローバル化の観点に照らしてみますと、資本移動の規制強化は時代の逆行に映るかもしれません。
実のところ、この措置は、学問的にも重要な問題提起を行っています。それは、経済的な相互依存関係が平和をもたらすとする主張(相互依存論)は、安全保障上の問題のない諸国間においてしか通用しないのではないか、という疑問です。中国やロシアは、グローバル市場への参加によって急速な経済成長を遂げましたが、政治的な対立が残っている場合には、これらの諸国の経済力の増強は、安全保障上のリスクの上昇を招く危険性があるのです。
経済的関係の強化が政治的な脅威をもたらす時、どちらを選択すべきなのか。この問いに対する答えこそ、今回の外資規制強化であったように思えるのです。
実のところ、この措置は、学問的にも重要な問題提起を行っています。それは、経済的な相互依存関係が平和をもたらすとする主張(相互依存論)は、安全保障上の問題のない諸国間においてしか通用しないのではないか、という疑問です。中国やロシアは、グローバル市場への参加によって急速な経済成長を遂げましたが、政治的な対立が残っている場合には、これらの諸国の経済力の増強は、安全保障上のリスクの上昇を招く危険性があるのです。
経済的関係の強化が政治的な脅威をもたらす時、どちらを選択すべきなのか。この問いに対する答えこそ、今回の外資規制強化であったように思えるのです。