万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

台湾の国民投票は中国に対する抑止力

2007年12月23日 18時40分37秒 | アジア
「台湾」国連加盟問う住民投票 米中台、駆け引き激化(朝日新聞) - goo ニュース

 アメリカ政府が台湾に対して国民投票の実施の自粛を暗に求めた理由は、中国を過度に刺激しない、という目的に尽きましょう。ただし、それが、東アジアの平和と安定に繋がるのか、という問題になりますと、必ずしも中国に歩み寄る態度のみが適切な政策であるとは限らないと思うのです。

 何故ならば、台湾の地位が不安定な間は、中国政府は、常に「反国家分裂法」の発動に踏み切るチャンスを持つからです。むしろ、台湾の独立国家としての地位を尊重し(台湾は、国際法上の独立国家の要件を充たしている・・・)、国際社会が台湾を国家として迎え入れ、台湾の国際的地位を不動なものとして確立させた方が、はるかに中国の武力行使を抑止する効果を持つかもしれないのです(もし、中国政府が武力行使をすれば、明白な侵略行為となります・・・)。

 時にして、安易に相手に迎合するよりも、あえて意に反する行為を選択した方が、望ましい結果を得られる場合もあるのです。

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