万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

民主主義vs.後継者指名

2007年12月11日 18時47分30秒 | ヨーロッパ
プーチン後継指名、有力者ら一斉に歓迎 ロシア(朝日新聞) - goo ニュース

 強面で知られるプーチン大統領が、意外にも、リベラル派と目されているメドベージェフ第一副首相を後継者に指名したこという情報は、朗報としてロシア国内には伝えられたようです。ロシア証券市場の株価の急激な上昇が示しますように、ロシア経済の将来にとりましては、この指名は、歓迎すべき展開なのかもしれません(ただし、メドベージェフの経営手法は、必ずしも市場経済に適応的とは言えないようですが・・・)。

 しかしながら、その反面、後継者指名という方法が、民主主義国家にとって相応しい手法であるのか、ということになりますと、これは、大変疑問なところとなります。民主主義の原則に従えば、本来、国家のリーダーは、国民が選ぶべきものでありますので、前任者が個人的に後任者を選んでしまいますと、国民の政治的な選択権は大きく制約を受けることになるからです。

 もちろん、ロシア国民は、大統領選挙において、政治的権利を行使できるのですが、それは、選ぶというよりも承認の意味を持つかもしれません。アメリカ大統領選挙が、各党の候補者指名争いから始まることを考えますと、両国の間には、まだまだ民主主義に対する考え方の違いがあるように思うのです。


 

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