万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ローマ帝国の最後の継承者はロシアか?

2007年12月29日 18時10分46秒 | ヨーロッパ
「プーチン首相」は官僚出身の大統領をどうするつもりか――フィナンシャル・タイムズ(2)(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース

 1917年のロシア革命により帝政ロシアが転覆しソ連邦が誕生したとき、人々は、そこにドラスティックなロシアの体制変革を見ようとしたものです。そうして、1991年にソ連邦が崩壊しCISが成立した時にも。しかしながら、ロシアとは、これらの変革などどこ吹く風であり、実際には、その本質は、殆ど変っていないのかもしれません。

 歴史を遡ること今から535年前、モスクワ大公のイヴァン3世は、最後のビザンチン皇帝コンスタンティン11世の姪と結婚します(1472年)。この婚姻によって、ロシアは、東方教会の正教を受け入れるとともに、自らをローマ帝国の継承者として強く意識するようになるのです。その後、イヴァン4世(雷帝)が、ツァーリ(カエサルの意)を称してロシア帝国を建設しますと(1547年)、帝政ローマに範をとるごとく、歴代皇帝は、覇権主義国家の道をまい進してゆくことになります。

 ローマ帝国を支えたもの、それは、”軍隊”と”法律”であったと言われています。現在のロシアもこの例に漏れず、プーチン政権もまた、”シロビキ(軍部)”と”官僚”に支えられているのです。国家の体制が帝政、共産主義体制、共和政と変遷しようとも、この基本的な構図は、今日まで継承されてきていると言えましょう。現代に残る最後のローマ帝国として。

 

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