万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国籍を決める権利は誰のもの?

2008年02月02日 15時46分27秒 | 日本政治
外国人選挙権「憲法に反する」 自民若手有志の会(産経新聞) - goo ニュース

 日本国のみならず、移民の法的地位については、常々国内的な議論を呼ぶものです。外国人選挙権については、憲法違反である疑いが濃いことは確かなのですが(憲法違反については、本ブログ1月24付けの記事「最高裁判所が憲法の抜け道をつくる」http://blog.goo.ne.jp/kuranishimasako/e/370e155268351001ba11785b9004f18dをご覧ください)、国籍取得の許可制から届け出制への変更も、著しくバランスを欠くとともに、危険な法案のように思うのです。

 そもそも、国民のメンバーシップを決める権利は、誰にあるのでしょうか。抽象的な理想論の立場にたてば、それは、個人の選択の自由、ということになりましょう。しかしながら、現実には、既存の国家の国民集団が存在しており、国籍取得を望む人は、その集団のメンバーシップ(国籍)を獲得しなくてなりません。現に、全ての国には国籍法が制定されていますし、「世界人権宣言」にあっても、国家の領域内の自由移動と自国からの離脱権しか認めていません。ですから、本当のところは、国家および既存の国民の側にも、メンバーシップを認める権利があるのです。この加入手続きは、他の一般の任意団体と変わりはありません。

 国籍が生命・身体・財産に関する基本権とは異なって、特別の権利であるとすると、届け出制への変更は、国籍取得希望者の権利のみを一方的に認める制度となります(受け入れ側の承認権の放棄)。仮に、日本国への忠誠心や犯罪歴といったものも問わずして国籍を付与しますと、後々、日本国内の分裂要因となりましょう。永住権者が特定の国(韓国・北朝鮮)に限られていることを考慮しますと、表で議論されていない国籍法改正案の方が、むしろ、外国人参政権法案よりも危険度が高い法案なのではないでしょうか。

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