万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

行方不明の票には要警戒

2008年02月18日 17時50分04秒 | アメリカ
米大統領選 ニューヨーク州予備選で集計ミス(産経新聞) - goo ニュース

 アメリカ民主党の大統領選の予備選で、重大な集計ミスがあったことが、昨日報じられました。単純な機械のミスが原因との見方もあるようですが、選挙は、正確な集計こそが命ですので、これは、選挙システムの信頼性の問題に飛び火しかねない事件なのではないか、と思うのです。

 そもそも、民主主義とは、選挙権を持つ人々が、自己の自由な判断に基づいて票を投じる制度があって、はじめて実現するものです。自己の投じた一票が、政治的な選択に生かされてこそ、意義があるのです。しかしながら、この一票が、途中でどこかで消えてしまったり、あるいは、不正に使われたりしますと、制度の根底を揺るがしかねないことになります。特に、不正確な集計が、人為的な原因である場合には、事態はより深刻です。独裁国家にしばしば見られるように、民主主義の形骸化をも招くかもしれないからです。

 このように考えますと、アメリカの民主党は、現在、自らの信頼性を損ないかねない危機に直面していることになります。否、すべての民主主義国家の国民が、このことを心配しなくてはならないのかもしれませんが・・・。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする