万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国調査団は日本国の警察権を侵害?

2008年02月10日 17時14分12秒 | アジア
生協側、中国にギョーザ提供=殺虫剤検出と同製造日-警察が保管要請 (時事通信) - goo ニュース

 事もあろうに、厳重保管を依頼されていたはずの生協が、事件の調査のために来日した中国政府の調査団に未開封の餃子を提供してしまったと言います(生協側は、日本国の捜査当局との連絡の行き違いを主張しているようですが・・・)。この中国政府の行為は、日本国の警察権、つまり、主権の侵害に当たるのではないか、と思うのです。

 国内で発生した事件の調査は、国際法においては国内管轄事項として扱われ、不干渉が原則となっています。しかしながら、今回の事件については、中国側の調査団は、証拠となるべき物品を独自のルートで入手したわけですから、いわば、押収行為を行ったことになります。これは、明らかに日本国の警察しか行えない行為であって、たとえ事件の発生地が中国であったとしても、中国側調査団には、他国において警察権を行使する権利はないはずです。少なくとも、日本国の捜査当局の許可を要したと言えましょう。

 未開封の製品は、農薬の混入地を決定する動かぬ証拠となるものですので、この問題は、事件の解決に悪影響を及ぼしかねません。日本国の警察は、政府を通して、速やかに、中国政府に供出物の返還を求めるべきではないか、と思うのです。見過ごしてしまいますと、あたかも、日本国が、中国に対して自国領域内における警察権の行使を容認したとも取られてしまうかもしれませんので、充分な注意が必要です。

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コメント (2)
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