万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

民族自決vs.合法的領有権

2008年02月17日 17時57分01秒 | ヨーロッパ
コソボ、17日に独立宣言=自治州首相が確認-セルビアは無効主張へ (時事通信) - goo ニュース

 コソボでは、17日に独立宣言が行われ、ついに、独立への一歩を踏み出したようです。この動きに対して、セルビア共和国とその後ろ盾でもあるロシアは、国際法に反するとして、独立反対の構えを崩してはいません。

 思いますに、国際法とは、民族自決の原則も、合法的な領土領有も、両者とも擁護していますので、独立問題の解決に際しては、歴史的な経緯に鑑みてかなり慎重な検討を要すると考えられるのです。もし、国際法上の合法性のみを絶対としますと、植民地やコソボのような民族的な纏まりを持つ地域は、永遠に独立することはできなくなるからです。その一方で、民族的な纏まりさえあれば、独立できるとなりますと、世界中で民族紛争が発生してしまうことになりましょう。

 それでは、どのようにすべきなのでしょうか。もし、民族的な纏まりが、移民ではなく古来のものであり(固有の領土を持つ・・・)、独立国家として責任を果たすことができ、かつ、その能力を持つならば、国際法においては、民族自決の方を優先すべき原則とすべきではないか、と思うのです。

 しかしながら、このことは、”パンドラの箱を開ける”ということも事実です。懸念されている武力衝突を回避するためには、国内に民族問題を抱えている諸国は、独立を志向している少数民族に対しては、交渉と対話を通じた真摯な説得に努める必要はありそうです。そうして、あらゆる手を尽くしても、どうしても説得できない場合には、条件を満たしている少数民族に限定して、独立を承認するべきではないか、と思うのです。

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