万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

温暖化ガス削減―政府の手法はリスクの高いオークションか?

2009年12月17日 17時35分10秒 | 国際政治
COP15、日本は途上国支援に1兆7500億円拠出へ(朝日新聞) - goo ニュース
 鳩山政権発足とほぼ同時に、首相が、国会や国内世論を伺うことなく、海外において日本国の温暖化ガス削減率25%を公表したことは、衝撃的な事件として記憶されています。この時にも、高い目標設定は、主要国の参加を促すため、と説明されていました。今回の3年間で途上国支援1兆7500億円拠出の約束も、主要国の参加を促すことが目的のようです。

 25%削減目標に対しては、あまりの負担の重さに、国内から不安と懸念の声が上っています。もし、現実に25%削減の目標を達成しようとしますと、官民合わせて10兆円から12兆円のコストがかかるそうです。その内、環境技術やエコ対策などによって目標を届かなかった分は、排出権取引でカバーするとも言われています。こうした排出権取引に加えて、さらに相当額の途上国支援が加わることになりましたので、将来、日本国から莫大な資金が海外に流出することになります。日本国の財政が苦しい状況にあることは言うまでもなく、過度な削減負担が、日本国経済を押しつぶす怖れがないとは言い切れません。政府は、財政支出を要する政策を実施する場合、国会に諮り、負担者となる国民の声を聞くべきであって、独断は慎むべきと思うのです。

 しかも、主要国の参加を促すために、負担額を吊りあげていく政府の手法は、まるで、オークションでの駆け引きのようです。気付いた時には、相場よりも数段高値で落札していた、ということにならないよう願うばかりです。

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