万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

首相の決断への期待は独裁への道?

2009年12月22日 14時53分29秒 | 日本政治
中学生以下の子の世帯に恩恵…全員子ども手当(読売新聞) - goo ニュース
 日本国憲法の第41条には、国会は、国権の最高機関である、と明記しており、憲法は、政策決定の主たる舞台は議会であると定めています。ところが、民主党政権が誕生して以来、国会が軽視され、議会制民主主義が蔑にされた状況が続いています。

 鳩山首相は決断力がないとして非難されていますが、子ども手当やガソリン税率など、極めて重要な政策決定が、国会での議論なく、首相に一任する形で決められることには疑問があります。しかしながら、議会制民主主義の国では、議会での法案の審議こそ重要なプロセスであり、国会審議あってこそ、政策の欠点や問題点が明確になり、修正を加えることができます。民主党政権は、数の力で押し切ろうとしているようでうが、こうした審議・修正のプロセスなくして、国民の声を政治に反映させることはできなません。また、欠点のある政策がそのまま実施されてしまうというリスクを負うことになります。

 マスコミも、首相の決定が、そのまま政策として実施されるかの如くに報じています。首相の決断に過度に期待したり、それを当然のことのように見なすことは、独裁への道を敷くことになりかねません。むしろ、税源の議論を含め、国会で充分な審議を行うよう、求めるべきなのではないかと思うのです。

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