万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中韓の大陸棚延長申請問題-日本国政府はICJの勧告的意見を利用しては

2013年01月12日 15時44分32秒 | 日本政治
大陸棚延長、韓国の申請にも異議=対中国に続き口上書―日本政府(時事通信) - goo ニュース
 中国と韓国が、大陸棚の延長を求めている事件は、既に、各方面から指摘されているように、全くナンセンスなお話です。ナンセンスではあるのですが、実際に、両国の政府が、申請手続きに入っているのですから、日本国政府も、対応をせざるを得ません。

 そこで、ようやく重い腰を挙げた日本国政府も、国連の審査機関に対して異議を申し立てたと報じられていますが、ICJにおける勧告的意見制度の利用を追求することも、一つの手段ではないかと思うのです。そもそも、国連海洋法条約における大陸棚の定義は、原則としてはEEZと同様に200カイリであり、地質上の条件を満たした場合のみ、特別に延長が認められています。延長の条件に関する規定は極めて難解であり、専門家でもなければ、正確な判断は困難です。しかしながら、より単純な国際法の解釈問題として、EEZと大陸棚の延長との関係について、ICJに勧告的な意見を求めることができるのではないかと思うのです。常識的に考えれば、他国のEEZ内に大陸棚を延長させることなど、できるはずもないことは当然なのですが、両国は、当条約に明文の規定がないために、一方的に、”反対解釈(書いていないことはできる…)”をしてるのです。ただし、個別の国家が、ICJに直接に要請することはできず、国連の安保理か総会で、勧告的意見を求める決議を成立させる必要はあります。日本国政府が、国際社会に対して呼びかけを行えば、それだけでも、両国に対する圧力にはなります。

 仮に、中韓の利己的な主張が認められるとしますと、世界中で、大陸棚延長をめぐる紛争が頻発することが予測されます。紛争を予防するためにも、判決という形態ではなくとも、ICJが、勧告的意見によって国連海洋法条約の解釈を明確にすることは、意義があるのではないかと思うのです。

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コメント (4)
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