万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

Meiji Seikaファルマ社はスケープゴートなのか?

2024年12月26日 12時38分00秒 | 日本政治
 新型のレプリコンワクチンをもってワクチン事業に参入したMeiji Seikaファルマ社は、ワクチン被害の広がりを前にして逆風に晒されています。危機感を募らせる中、同社は、昨日の12月25日には、ワクチンの危険性を訴えてきた立憲民主党の原口一博衆議院議員に対して名誉毀損に基づく損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に提訴するに至りました。この訴訟、考えてもみますと、首を傾げざるを得ない諸点が散見されます。

 先ずもってワクチンをめぐる損害賠償請求訴訟であるならば、ワクチンの開発・製造販売を手がけた製薬会社が健康被害を受けた側から訴えられるのが、一般的な構図のはずです。今般のケースでは、被告席ではなく原告席に製薬会社側が座っているところに、ワクチン訴訟としての奇妙さがあります。

 もちろん、‘攻撃は最大の防御’とも言われておりますように、Meiji Seikaファルマは、将来における薬害訴訟を予測して‘先手’を打っているとの見方もあり得るかもしれません。しかしながら、同社が提供するレプリコンワクチン(「コスタイベ」)にあって実際に健康被害が生じようものなら、「生物兵器」といった表現はどうであれ、原口議員によるリスクの指摘自体は正しいこととなります。しかも、ファイザー社やモデルナ社のように、日本国政府が、購入契約の際に損害賠償の肩代わりを約しているわけではないはずです。強気の姿勢が仇となって、今後、自らにブーメランとして返ってくるリスクもありましょう。原口議員につきましては、是非、国会、あるいは、裁判所においてMeiji Seikaファルマに対する免責条項が存在しているのか、政府並びに同社に対して問い質していただきたいところなのですが、ファイザー社やモデルナ社でさえ免責を求めたくらいですから、製薬会社であるならば、当然に、将来の薬害訴訟は考慮されるべきリスクとなりましょう。

 それでは、何故、Meiji Seikaファルマ社は、強気一辺倒で法的手続きに踏み込んだのでしょうか。最も単純で表面的な説明は、‘目先の利益のみで判断した’というものです。将来の訴訟リスクなど全く頭の片隅にもなく、投資額に見合った収益が上がれば事業計画は成功したものとする姿勢です。この見方からすれば、原口議員の言動は、誹謗中傷による信用の毀損による営業妨害ということなのでしょう。日本国政府の後ろ盾もあったことから、多少の警戒論があろうとも政府が押さえ込み、同社としては、一定の収益は確保できるものと判断したのかも知れません。ところが、国民の間に予想を越える拒絶反応があり、目論見が大きく外れて損失の発生が確実となったことから、訴訟に踏み切ったとも考えられましょう。

 しかしながら、その一方で、どこか、Meiji Seikaファルマは、巧妙にスケープゴートにされてしまった観もないわけではありません。仮に、mRNAワクチンのリスクに関する指摘が営業妨害にも当たる‘名誉毀損’となるならば、ファイーザー社やモデルナ社等のワクチンメーカーこそ、率先して訴訟を起こすべき立場にあるからです。この点、Meiji Seikaファルマ社は、「原口氏の主張の科学的根拠を問うものではない」と説明しており、既に逃げ腰です。科学的な根拠が争点ともなりますと、原口議員の主張に分があることを認識しての回避なのでしょう。同タイプのワクチンについては医科学的な見地からのリスクを指摘する学術論文等も存在しているからです。科学的な検証を避けつつ訴訟に勝つためには、名誉毀損で責めるしか方法がなかったからなのかもしれません。そして、この強引な訴訟は、国民の関心や批判の矛先を日本企業であるMeiji Seikaファルマ社に集中させようとする海外の製薬大手、並びに、その意向に従う日本国政府の思惑も、見え隠れしているように思えるのです(Meiji Seikaファルマ社は踊らされている?)。

 仮に、Meiji Seikaファルマ社がスケープゴートとして設定されているとすれば、今後、さらに拡大が予測されるmRNAワクチンの健康被害に対する賠償責任も、これらの免責特権のない日本企業に負わせる算段であったのかも知れません。そして、この点に注目しますと、日本国民のみならず、Meiji Seikaファルマ社を巨額賠償の‘罠’から救ったのは、実のところ、原口議員を初めとするリスク警告者であったという‘どんでん返し’もあり得るように思えます。健康被害を警戒して誰も「コスタイベ」を接種しなければ、賠償責任も生じないからです。事実は何処にあるのか、日本国民は、事の推移を慎重に見定めてゆく必要があるのではないかと思うのです。


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