万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米長官の声明は対北最後通牒では?

2017年04月27日 15時07分15秒 | アメリカ
制裁と外交手段で圧力=対北朝鮮、平和的非核化目指す―米長官
 昨日26日、アメリカのティラーソン務長官とマティス国防長官は、対北政策の見直しを纏めた共同声明を発表しました。同声明において”平和的非核化”が強調されたことから、メディア等ではアメリカが対話路線に回帰するとの見方も聞かれます。

 しかしながら、同声明は、あくまでも対北朝鮮政策の”見直し”をテーマとしており、過去に二度も騙された以上、アメリカが易々と”戦略的忍耐”路線に戻るとは思えません。北朝鮮は、1994年の米朝合意でも核放棄を約束しながら抜け道を造り、六か国協議では、表向きは交渉に応じる姿勢を見せつつ、秘密裏に核・ミサイル開発を継続しました。二度も国際社会の信頼を裏切ったのですから、北朝鮮が三度目の交渉の席で核放棄を約束したとしても、もはや誰も北朝鮮の言葉を信じないことでしょう。強制手段を以って核を放棄させられる状況に自らを追い込んだのは、北朝鮮自身なのです。

 同声明が単純な対話路線への回帰を述べたのではないとしますと、その意味するところは、北朝鮮に対する最後通牒です。検証可能な方法、即ち、アメリカの監視下、あるいは、米軍による核施設の完全破壊や、核・ミサイルのみならず、生物化学兵器といった大量破壊兵器を対象とした全土の無条件査察の受入等の条件を飲まない限り(推測ですが…)、アメリカは武力行使も辞さないとする、YesかNoかの選択を北朝鮮に突き付けているのです。

 NPTには明文の規定はないものの(当条約の欠陥…)、核保有国としてアメリカには核拡散を防止する義務があり、かつ、北朝鮮が既に大量破壊兵器を保有している以上、アメリカには先制攻撃の資格があると解されます。北朝鮮がさらなる核実験等の何らの動きをとらなくとも、アメリカは北朝鮮を空爆できるのです。北朝鮮は同声明の重みを理解し、早々に白旗を揚げるべきではないかと思うのです。

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