万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

法の支配VS.暴力主義-日中の価値は両立しない

2013年07月27日 15時53分17秒 | アジア
「価値外交」を批判=田中均元外務審議官(時事通信) - goo ニュース
 先日、元外務審議官の田中均氏が、「中国をいかに建設的な形で巻き込んで変えていくかが、戦略の目的だ。『価値外交』と言って疎外するのは目的にかなうのか」と述べて、安倍政権の価値外交を批判したと報じられています。

 この批判、最初の出発点からして、誤っているのではないかと思うのです。日本国の戦略的目的とは、中国を単純に取り込んだり、宥めることではなく、国際法を順守する国に変化させることです。現在の中国は、自らを国際法の枠の外に置き、軍事力で他国を侵害しても構わないとする暴力主義の国家です。田中氏の言うように、価値など関係なく、中国を今の姿のままに迎え入れることになれば、国際社会の方が中国の暴力に譲歩し、法の支配を捨てざるを得なくなります(近代以降、積み上げてきた国際法が水の泡に…)。田中氏の主張は、いわば、”法の支配と暴力主義は両立する”と訴えているようなものであり、それが不可能であることは、あらゆる社会が、危険な犯罪者=無法者と戦っていることからも分かります。”暴力団やマフィアと共存しよう”といっている国はないのです。国際社会もまた、社会の一つなのですから、平和の礎である法の支配を共有できない国は、疎外されても仕方がありません。

 加えて、氏は、「中国国民が『日本が実効支配しているのはおかしい』と捉えだし、中国政府がコントロールできなくなった。今の緊張を下げるしかない」とも語っています(何故か、ここでは、中国が国民主導の民主主義国家の如くに捉えている…)。尖閣諸島については、中国政府が政策的に煽ったことは明らかであり、尖閣暴動が起きるまで、多くの国民は、尖閣(釣魚島)の名称さえ知らなかったそうです。中国政府の対日外交の戦略的目的が領土拡張であるならば、法の支配を語らずして領土拡張を抑える具体策があるのでしょうか(あるとしたら、軍事力のみでは…)。国際法こそ、中国に対して日本国が手にしている有効、かつ、平和的な手段であるにもかかわらず、それを禁じ手にしようとは、正気の沙汰とは思えないのです。

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2 コメント

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Unknown (ねむ太)
2013-07-27 19:36:25
こんばんは。田中均・・外交官失格の屑ですね。
小泉訪朝の前に予備交渉をやった時、交渉内容の記録を数回分残してはいない・・国民の税金をなんと考えているのやら。
もっと危ないのはルーピー鳩でしょう。
民主党から抗議を受けて「カイロ宣言が基本となっている。菅氏や私を叩くのはいいのですが、歴史をきちんと学んで貰いたい、海江田代表に一冊の本を贈りました」
中学生の公民で学ぶ基本が全く理解できていない。
元首相が真顔で、このような事を口走るとは背筋が凍りつくくらい恐ろしい事です。
今、中国や韓国に関わってはいけません。
中国は表面化しない地下銀行の多額の不良債権を抱えており、党の高官は家族とともに賄賂や不正蓄財で築いた多額の金を海外に流出させており自らも脱出の機会を伺っていると聞いています。
外国からの投資があっても、賄賂や不正蓄財で多額の金額を着服し、それが当たり前になっている国に未来はありません。
作っても、すぐに壊れる高速道路・橋梁・建築物、高濃度の汚染物質を垂れ流しても賄賂次第で見逃される、
水資源や環境を無視して巨大なダムを作り、かって世界4大文明の一つを育んだ黄河も、その面影もなくヘドロと高濃度の汚染によりドブ川と化しています。
膨れ上がる軍事予算・・人民解放軍は中国人の為の軍隊ではなく中共の軍隊で中国国民を守る義務は負っていません。
表面化しているだけでもこの有様ですから、いつ何時経済破綻が起き400兆にものぼる不良債権が世界経済を揺るがしかねません。
現在、世界で最も強いのは日本の経済と技術力です。
この2つの柱があるからこそG20でも理解が得られるのです。
フィリピンへの巡視船の供与・ベトナムに対しての巡視船の供与など、これこそ国連の定めるところの集団自衛権の行使に該当します。
我が国も野党の知能の低下は甚だしく、自民党に反対する為には理論も条約も現実も関係ない・・・
この様な連中こそが、田中均・孫崎享・鳩山由紀夫などを持ち上げているのです。

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ねむ太さま (kuranishi masako)
2013-07-27 21:49:57
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 端から国際法を無視してかかる国と仲良くすることは、不可能なことです。本日、フィリピンと中国との間の国際仲裁が開始されたそうですが、日本国政府も、フィリピンの方針に対して支持を表明しております。巡視船の供与といった安全保障としての中国包囲網の形成と同時に、中国に対しては、法による包囲網をも狭めてゆくべきではないかと思うのです。中国と対話で解決しようとしますと、結局は妥協を強いられ、”戦わずして負ける”のパターンとなります。田中氏、孫崎氏、鳩山氏などは、これを狙っているのでしょうが、侵略国への譲歩の勧めが売国行為であることに、気が付いていないようです。中国の現体制が崩壊した時には、これらの人々は、一体、自らの発言や行為を何と弁明するのでしょうか…。
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