情報発信系の作るユカタン料理リストで必ず出てくる料理に、ソパ・デ・リマというスープがある。こんなの。さっぱりしてて美味しい。ホテルや観光客向けのレストランには必ずある。
ところがこの料理を家庭で日常的に作っているという人に会ったことがない。あと、ユカタン料理で何が好き?と聞かれてこれだと答えると反応が微妙。そうなの!でなく、ああ、そうですか…という感じ。今思えば、そうなの!じゃあ今度振る舞うわと言って息子の誕生日会に呼んでくれたメリダ人も、普段からよく作るのでなく、作ったことを招待客に自慢したかったようだった。
さて、ユカタンにはエスカベチェという料理がある。売ってる人の写真があまりにバラバラなので一体何を指しているんだ?と疑問だったんだが、鶏肉や七面鳥、牛肉、あとミートボールなどが入ったスープ全般のことを言う。ちなみに同じ単語で別の州に行くとピクルスみたいなもの(あるいはその漬け汁?)を指すらしい。
隣のマリアが作ってくれた。めっちゃ美味しかった。野菜と追加のライムとハバネロは付け合わせで出てくるので、好みで。何も入れないと、いいラーメンスープになりそう。
村では土曜日に牛を屠って肉を(骨も内臓も頭も)売り出す。そのときに「チョコ・ロモ」といわれて売ってるのが、このスープ用の肉で、内臓も少しといろんな部位だという。骨髄がぎっしり詰まった、骨つき肉ならぬ肉つき骨も入っている。で、チョコロモで作ったスープもチョコロモと言う。で、チョコロモもエスカベチェの一つなので、写真やメニュー名がバラバラだったのである。ああ、分かりにくかった。
エスカベチェは、何かの肉を柑橘類の何かの汁につけておいたものを煮て、肉が柔らかくなったら野菜を入れて作る。村では柑橘類が豊富で入手が簡単なのと、薪を燃やしてコトコト煮るのでいい出汁が出て、調味料はほとんど使わない。ユカタン調味料のレカド(様々なスパイスで作った味噌状のもの)を少し足すことがときーどきあるくらい。
が、メリダなどではガスコンロを使った簡易&即席レシピで作るので、味が物足りなくて塩を大量投入!ということになる。塩辛くて食べられたもんじゃない。
ソパ・デ・リマも店によってはそんな感じでだいたい塩気は強いんだが、それはともかく、言ってみれば「鶏肉+柑橘類+野菜」である。つまり、数多い柑橘類の中で一番ユカタン名産らしいリマを使ったエスカベチェが、観光客向けに出世したんじゃなかろうか。料理自体は家庭で作るエスカベチェのひとつだが、特別に名前をつけられて観光市場にデビューした…というか。だから、鶏肉とリマのエスカベチェと答えればユカタン人も喜ぶが、ソパ・デ・リマなどと言うと「分かってねえな〜」的反応が返ってくるのである(と思う)。
同じく鶏肉だが、リマでなくオレンジを使っている。親方の奥さんが朝早くに薪でコトコト煮たそうで、こちらも絶品だった。
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例によってよくあるタイプの葉で、実がなってなかったら区別がつかない。だんだん開いていって、
種の周りは少しベタベタしていて、子孫を残すために…系の教材に良さそうw
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