不覚にも、youtubeで東映の映画を一本見てしまいました。ああ、何たることでしょう。……このヒマジンジジイめ!
殿さま弥次喜多シリーズは全部で三作あるそうです。わたしがyoutubeで見たのはその第一作ということらしく、キネマ旬報によると二作目の「捕物道中」というのがおもしろいそうですが、パソコンの小さな画面を見ながら、イアホンで音も拾って見ることができて、何だか面白かった。何という日曜の夜なんだろう。youtubeでこんなこともできるんですねえ。知らなかった。
錦之助さんと賀津雄さんのご兄弟が、尾張の殿様と紀州の殿様の、それぞれの徳川家の若様を演じておられて、こんな楽しい世界があったのかと驚きでした。そんな、何となく朗らかな時代があったということなのか、それとも世の中を明るくするためだったのか。……今から振り返ると、やはりのどかな時代だった気がします。
けれども、怪談とタイトルにありますから、オバケみたいな演出もあります。とはいうものの、ミュージカル時代劇ではあるので、深刻な本当の幽霊ではなくて、すべてウラがあったのでした。
益田喜頓さんとコンビのふたりがたまたま日本橋で大名行列を目撃します。それは尾張徳川家の若様の行列、反対側からは紀州徳川家の若様の行列、ここで描かれるお殿様って、みんな志村ケンさんがマネしたパターンでしたが、あのバカトノ様は東映のテカテカの若様を継承してたんでしょうか。どうだったのかなあ。
どちらも道を譲りません。ご両家の家臣団も大変です。そこへ駕籠から若様が登場。道を譲る譲らないではなくて、一緒に行こうとさわやかに決定して、家臣団は不服ではあるけれど、二人は一緒に行くことになりました。
たぶん、あり得ないことであって、普通はちゃんと計画的に移動するし、前触れもあるし、交通整理をしながら進んでいくと思われますが、コメディの設定だから、ものすごく出たとこ勝負でした。
そして、一緒に進むうちに、益田キートンさんたちが二人の殿様の前でヘマをやらかして、だったら征伐しようだなんてことになり、見事二人は町民になって岡崎まで旅することになり、かごの中にはキートンさんたちの二人が影武者として乗ることになります。
最初の幽霊は、小田原で出てきて、宿屋ではお弔いがあったり、若い山東昭子さんが田舎娘を演じてお殿様から弥次喜多に変身した二人にのぼせ上ったりします。
その晩、二人の部屋には巡礼姿の女が現われ、ケンカは強いが幽霊には弱い二人は宿を飛び出します。飛び出たはいいけれど、箱根の峠道には山賊は出るは、巡礼は追いかけて来るし、ただのドタバタではなくて、二人の命を奪おうとする計略が見えてきます。
山賊たちを山の中で懲らしめた後は、あっという間に大井川に到着、ここでも川人足になって影武者の駕籠をかつぐお仕事をしていると、これまた暗殺隊に狙われてしまう。どうやら、尾張の若様を狙う暗殺集団は、若様とその父をのろい殺し、自分が徳川家の当主になろうとする悪いヤツたちに仕組まれていて、一気に二人は名古屋城まで進出し、オバケも、悪いヤツもチャンバラして倒して、見事ハッピーエンド、というお話でした。
とお話し紹介していても、うまくまとめられてないですね。
ドタバタ劇なんだけど、錦之助さんと賀津雄さんのご兄弟の軽やかさと、何でもお殿様だけど、人々の生活をちゃんと知ろうというたくましさもあって、これも暴れん坊将軍とか、遠山の金さんとか、二面性を持った主人公の大活躍の原型みたいなのも感じました。
他には、気づいたことなかったの?
ハイ、ただおもしろおかしく鑑賞しただけでした。なあんだ、そういうことか。でも、パソコンの画面で見る映画というのは、やはり味気ない気がします。こちらが受け取る情報量が少なすぎるんですよね。大きな画面だとあちらこちらに目が行って、ストーリーとは別に吸い込まれるポイントが見つかるはずですけど、パソコンの画面だとストーリーを追いかけるのが手いっぱいで、余裕がなくなるみたいです。そこが問題だな。