わたしは、いつもむやみに歩きます。そして、クタクタになってしまう。無計画なのです。舗装された道路を行かず、山の中に入りました。
柱状節理がありました。火山だったのです。近畿地方にも火山があった。でも、いくら自慢したって、ものすごく昔だから、あまりえらそうなことはいえないです。
歩き始めた頃は、太陽光線を避けるように歩いていましたが、この道に入ってから、空はあまり見えなくて、とても静かになりました。ウグイスは鳴いているけど、他にトリはいるんだろうか。あまり聞こえない。
間伐し、下枝がきれいに刈り取られている。手入れされた杉林です。両側がずっと見渡せる。下からモサモサ草が生えてるような密林ではなくて、手入れのされた林の中を歩きます。
だから、もしクマが出ても、遠くから見つけられるから、向こうもこちらも見えるのです。もしクマでも見つけたら、すぐに逃げ出さなくては!
あまりにだれもいなくて、ひよっとしてクマが出てきたらどうしようと思い始めていたのです。まさか、そんなことはないと思うけど、いないと断言もできないし、腰が引けつつ歩いています。
「よいしょ、よいしょ」と意識的に声を出して、歩いています。黙ってユサユサ歩いていたら、クマさんも私に気づかないかもしれないから、なんとなくやかましくして歩いていた。
あれ、残雪があちらこちら? まさか、そんなことはないだろうけど、とにかく白いモノがあちらこちらにあります。よーく見たら、これはカエルの卵なんだろうと思われます。
「これから先、道が荒れています。」と、書かれていました。確かに歩きにくいし、「よいしょ、よいしょ」どころではありません。
よろしい。そいじゃ、でたらめ口笛だ。と、ずっとわけのわからない口笛を吹き続けました。
そうしたら、シカが走っていきました。写真を撮ろうとしたら、もちろん私なんか無視して、家族3人のシカがはねるようにどこかへ去っていきました。
ああ、私はシカたちの世界に入り込んだのだ。攻撃的なクマがいたらどうしよう。もう腰が引けまくりです。逃げるにもへばってきて、どこへも行けない。ああ、どうしよう。まだ、上りは続く。ああ……。
坂道の途中で、足がすくんで動けなくなっていました。すると、突然後ろから1人のオジサンが現れます。
オジサンは、すぐに私はガイドをしているんだけど、昨日、スズメバチの巣を見つけたから、それを役所に報告しようと思って、今日、来たんですよ。
ということでした。もうすぐ先だから、そこまでは案内します。と、心強いおことばでした。
ああ、仲間を見つけることができた。できることなら、このオジサンについていきたいけど、とても無理そうな感じだ。そんなスニーカーではすべりますよ。とも教えてくださいます。
そうか。ある程度の装備をして歩くところなのだ。いいかげんな気持ちで入ってはいけなかった。ああ、とにかくこの人についていくしかない。あれ、この方はずっとラジオを鳴らしているけど、やはりクマよけかな……。
「クマは、ここらには出ないですよ。もう少し山深いところにいくと、出るという話ですが、ここは大丈夫ですよ」と教えてくださる。
そして、やがてスズメバチの巣が木の洞にあるということで、ガイドのオジサンは、「私はここで写真を撮ったり、いろいろしますから、先に行ってください」という。
できたら一緒に行きたいけど、オジサンが言うなら、とりあえずスタコラ歩こう。どうせ、このオジサンの方が早いのだから、どこか峠まで先にいければいいのに、と歩くことにしました。オジサンがあとから来てくれるし、私はそれまで進んでいればいいらしい。まだまだ上りは続くというし、行くしかないのだ。あと戻りはできない! 私は、黙々と歩くのでした。何も考えず、写真も撮らず、クマが出ないことを祈りながら、歩くのでした。
柱状節理がありました。火山だったのです。近畿地方にも火山があった。でも、いくら自慢したって、ものすごく昔だから、あまりえらそうなことはいえないです。
歩き始めた頃は、太陽光線を避けるように歩いていましたが、この道に入ってから、空はあまり見えなくて、とても静かになりました。ウグイスは鳴いているけど、他にトリはいるんだろうか。あまり聞こえない。
間伐し、下枝がきれいに刈り取られている。手入れされた杉林です。両側がずっと見渡せる。下からモサモサ草が生えてるような密林ではなくて、手入れのされた林の中を歩きます。
だから、もしクマが出ても、遠くから見つけられるから、向こうもこちらも見えるのです。もしクマでも見つけたら、すぐに逃げ出さなくては!
あまりにだれもいなくて、ひよっとしてクマが出てきたらどうしようと思い始めていたのです。まさか、そんなことはないと思うけど、いないと断言もできないし、腰が引けつつ歩いています。
「よいしょ、よいしょ」と意識的に声を出して、歩いています。黙ってユサユサ歩いていたら、クマさんも私に気づかないかもしれないから、なんとなくやかましくして歩いていた。
あれ、残雪があちらこちら? まさか、そんなことはないだろうけど、とにかく白いモノがあちらこちらにあります。よーく見たら、これはカエルの卵なんだろうと思われます。
「これから先、道が荒れています。」と、書かれていました。確かに歩きにくいし、「よいしょ、よいしょ」どころではありません。
よろしい。そいじゃ、でたらめ口笛だ。と、ずっとわけのわからない口笛を吹き続けました。
そうしたら、シカが走っていきました。写真を撮ろうとしたら、もちろん私なんか無視して、家族3人のシカがはねるようにどこかへ去っていきました。
ああ、私はシカたちの世界に入り込んだのだ。攻撃的なクマがいたらどうしよう。もう腰が引けまくりです。逃げるにもへばってきて、どこへも行けない。ああ、どうしよう。まだ、上りは続く。ああ……。
坂道の途中で、足がすくんで動けなくなっていました。すると、突然後ろから1人のオジサンが現れます。
オジサンは、すぐに私はガイドをしているんだけど、昨日、スズメバチの巣を見つけたから、それを役所に報告しようと思って、今日、来たんですよ。
ということでした。もうすぐ先だから、そこまでは案内します。と、心強いおことばでした。
ああ、仲間を見つけることができた。できることなら、このオジサンについていきたいけど、とても無理そうな感じだ。そんなスニーカーではすべりますよ。とも教えてくださいます。
そうか。ある程度の装備をして歩くところなのだ。いいかげんな気持ちで入ってはいけなかった。ああ、とにかくこの人についていくしかない。あれ、この方はずっとラジオを鳴らしているけど、やはりクマよけかな……。
「クマは、ここらには出ないですよ。もう少し山深いところにいくと、出るという話ですが、ここは大丈夫ですよ」と教えてくださる。
そして、やがてスズメバチの巣が木の洞にあるということで、ガイドのオジサンは、「私はここで写真を撮ったり、いろいろしますから、先に行ってください」という。
できたら一緒に行きたいけど、オジサンが言うなら、とりあえずスタコラ歩こう。どうせ、このオジサンの方が早いのだから、どこか峠まで先にいければいいのに、と歩くことにしました。オジサンがあとから来てくれるし、私はそれまで進んでいればいいらしい。まだまだ上りは続くというし、行くしかないのだ。あと戻りはできない! 私は、黙々と歩くのでした。何も考えず、写真も撮らず、クマが出ないことを祈りながら、歩くのでした。