甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

北北西と大きな石の顔

2016年11月09日 22時23分29秒 | 私たちの社会・世界
 大好きなヒッチコック作品は? と訊かれたら、「裏窓」と答えたいけれど、どうもしばらくまともに「裏窓」と向き合ったことがありません。テレビで取り上げられていても、ああ、何となく憶えているし、何回か見た! という気になって気を抜いてしまうというのか、見ないでよくなってしまいます。本当は、じっくり見れば見るほどステキだと思うんですけど、見ることができない。

 「知りすぎていた男」、これもなかなか好きです。ケセラセラと歌うシーンとかハラハラするシーンのあれこれを見たくなりますが、1度録画してから、2度と見てはいないです。スリルとサスペンスがあるのはわかっているのだけれど、あえて見ようとはしませんね。

 「北北西に進路を取れ」は、これは140分ということもあって、何度もビデオの時代に録画しました。それでも見ることはしていない。なのに、どういうわけか、何度も何度もテレビで見てしまいます。

 脈絡なく次から次と場面は移り変わるし、寝台列車は出るし、セスナは落ちてしまうし、ラシュモア山でのハラハラドキドキもあるし、女優さんのエヴァ・マリーセントさんが魅力的というわけでもないのに、彼女のけだるそうな雰囲気は嫌いではないですし、何度見ても楽しいのです。

 旅的な要素があるから、私みたいなフワフワした落ち着かない人間にはいいんでしょうね。

 というわけで、ラシュモア山のシーン、作品の最後の方のクライマックス、撮影所のセットなんだろうなと思いつつも、臨場感を感じていました。4人の大統領が好きというわけではなくて、アメリカらしい、石仏みたいなもんなんだなとずっと思っていました。



 そう言えば、小学校の国語の教科書には、昔は外国の作品が取り上げられていました。中学の時のモーパッサンやガルシン、その時におもしろいとすり込まれたので、今も好きですし、本棚にいくつか飾っています。それで、そこでナサニエル・ホーソーンという作家の「大いなる岩の顔」というのを読みました。内容は忘れたのに、何だかいいなあという記憶だけがあって、いつか読んでみたいと思っていたら、高校の時に英語のテキストで出会ったような気がしました。

 でも、高校の時は、あるなあと知りつつスルーして、まともに向き合えなかった。読解力がなかったということもあるでしょう。

 それで、ずっと読みたいと思っていたら、岩波文庫で出たので、93年にすぐに買いました。すぐに読めばいいのに、それから23年間、読まずに放置したままです。今、手元にありますが、今夜にでも読んでみたい気がしています。

 というのは、アメリカの選挙の結果を受けて、改めてアメリカという国を見ていきたいと思ったからでした。

 トランプさんが勝った理由はわかります。クリントンさんではまた8年間も停滞を味わわねばならず、そうなると合計16年間の停滞であり、いくらなんでも長すぎると思ったのでしょう。国民は民主党の停滞に飽き飽きしたのです。

 オバマさんが勝てたのも、その前の共和党の頭の悪い七光りハーバード大卒のバカ息子が、戦争ばかり起こすので、戦争疲れをして、それをやめてくれる人なら誰でもよかったのです。女の人よりは、弁護士経験者のオバマさんを選んだ。それだけのことです。

 選ばれたオバマさんは、とりあえずイラクから兵を引き上げ、アフガニスタンからも遠ざかり、空爆ならばするけれど、実際に兵士を送ることはしなくなった。その分世界での発言力も下がり、ロシアからも軽視され、プーチンさんや中国がわがもの顔にふるまい、アメリカの重みはどんどんなくなってしまったのです。クリントンさんの旦那さんの時は、そこそこ経済もよかったのに、オバマさんは、経済でいい手を打つことができなかった。

 政治・経済ともに停滞し、世界からも軽視され、わがままの北朝鮮までやりたいようにする事態を招いてしまった。イスラム過激派はどんどん進入してくるし、国民の皆さんは、そういうヤツらにも適度な鉄槌を下したいと思った。

 それよりも、まず経済で国全体が儲かる国にしてもらいたい。そんな希望があって、難民も外国人も来て欲しくなくて、ドメスティックになろうとしているような気がするのです。

 イギリスだって仲良く同じ傾向です。フランスも、ドイツにもそういう傾向はあるけれど、EU精神がまだ生きているので、イギリスだけが国際化から遠ざかる方向に傾きました。先進国は貧しい国と同化するのはイヤだと国民が言い、それを標榜する人が国の実権を握る形で進んでいる。

 今後も、国際化を否定し、自分の国さえよければよいという政治家が支持される時代がつづきそうです。もうパンドラの箱は開いているのです。あともどりできないのに、イギリス・アメリカなどは自国の利益優先主義に走ってしまった。

 トランプさんになれば、新たなリスクと、新たな負担が増えるのに、それは目をつぶって、アメリカ国民は民主党の停滞はもういらないということに決めた。あとは戦費かどうなろうが、経済が混乱しようが、税金が高くなろうとも、すべて受け入れて、お金持ち優遇の政策を受け入れていくはずです。



 どこかで聞いたような話ですね。経済が活性化して、建築をどんどん進め、国家的なプロジェクトを拡大し、大きなイベントを企画する。それがどれだけ国民の負担になるか、そんなことは知らない。とりあえずお金が動いて、経済が活性化すれば、みんなが豊かになれるのだ。ついでに思想統制もすれば、不平・不満も抑えられるだろうなんて、どこかで聞いたような話です。

 そんなことがいつまで続くかわからないけれど、数年後にはボロがでているでしょう。でも、国民はそのボロもあまりよくは見られないので、あっさりとだまされて、そのままぼんやりしているのかなあ。

 どこもかしこも、停滞はイヤだと国民は言いますが、この停滞こそありがたいのに、それがイヤなんだなあ。まあ、私は停滞の中に埋没するのが好きですから、そんなのんきなことが言えるんですね。もっと食うや食わずの生活をしなくっちゃ!


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