福井県の勝山市の滝波地区では1年に1日だけ、地元に伝わる能面を公開する「お面さん祭り」というのが行われているそうです。今朝のニュースで見たお話でした。奥さんは、朝のウォーキングに出かけていて、グータラの私は、奥さんが出たあとにモタモタと起きて、テレビを見たんでしたね。
お祭りは毎年2月11日の1日だけ、神社にまつられている能面を地元の集会所で公開するもので、市の無形文化財に指定されているおまつりなんだそうです。能のお面を見るだけのおまつりなんてね、本当はもっと華々しくお面をつけて能を舞うとか、そんなこともあったのかもしれません。いろいろな行事があったんでしょうか。
集会所の祭壇には神社から移された三番叟(さんばそう)、翁(おきな)、父尉(ふじょう)の3つの能面がすえられ午前10時から公開されたということでした。三番叟はおめでたい演目、翁は一族の長が出てくる場面、父尉は町の老人として出てくるんだそうです。能って、仮面劇でした。高校の時に一度見たきりかな。あまり縁がありませんでした。薪能さえ見ていないですもんね。
このお面というのは、神社なのか、お寺なのか、どこにあったものなんでしょう。
福井県の勝山市というところに、かつて平泉寺(へいせんじ)というのがあったそうです。
勝山市は、福井の山間部で、大野市より北側にあります。石川県との県境も割と近いところにあります。そして、その地理的状況から、白山への福井県側からの玄関口にでもなっていたのか、平泉寺白山神社という神仏混交の宗教都市ができていったようです。
この「平泉(へいせん)」というのは、岩手県の平泉の影響なのかな? と思ったら、お寺そのものは養老元年(717)に泰澄(たいちょう?)という人が開いたそうです。
「〇澄」というお坊さんだから、比叡山の影響かなと思ったりするけれど、それよりも昔のことになるのでしょうか。
そうなると、どうしてこんな福井の山奥に、どうしてお寺を建てなきゃいけないのかという疑問が起こります。
でも、これはたぶん、白山へお参りする人々の流れがあっただろうから、自然と登頂の基地になり、そこにお寺を開いたというのは自然だったのかもしれません。
岩手の「平泉」という地名も、藤原三代の最初の清衡さんあたりで創出した地名だったというし、中国の唐の時代にも「平泉」という名前をつけた邸宅があったというし、何が語源なのか、わからないのですが、お寺が発展したのは理解できました。残念ながら、行ったことはないんですけど。
たくさんのお参りの人が来るとしたら、そこが町として発展するのは自然なことで、修行をする学問僧がいたり、妻帯して雑用やもめごと何でもござれの荒くれ僧もいたそうで、そうなると、政治的・経済的・軍事的な力も持っていたということです。
そうした有力なお寺ですから、都の方でも、延暦寺に属するのか、園城寺(三井寺)に属するのか、引っ張り合いがあったそうで、平安の終わりころは延暦寺に所属したそうです。
そうした神仏混交の宗教の町が、鎌倉・室町と普通に発展できたら、今もお寺の建物が残っていたはずですが、越前の大名であった朝倉氏に付き従ったり、北陸で大流行した一向宗(浄土真宗)との対立などがあって、焼き討ちにあったそうです。
それなりに支援もあったので、ふたたび再建もされたりしたようですが、今度は明治になって廃仏毀釈の嵐がやってきて、平泉寺は廃寺となりました。
今は白山神社として存在するということですが、お面は廃仏毀釈の中で破壊される可能性もあったところを、貴重なものだとして人々の中に隠され、集落で大事に保管してきたということになるんでしょうか。
今から400年ほど前の一向一揆による焼き討ちがあったということですが、宗教というのは守るにも攻めるにも恐ろしい力を発揮するのだと思います。とても、昔にあったことだとは思われません。
現代の世の中だって、ごく平気で、宗教のためではないかもしれないけど、民族のためとか、国家のためとか、主義のためとか、いろんな大義名分が持ち出されて、他者に被害を与えて平気というのがあるように思われます。
過去にあったことは、これからだって繰り返される、それは人間というもののどうしようもないところだと思います。
プーチンさんの決断も、NATOの判断も、バイデンさんのうろたえも、トランプさんのメチャクチャも、人間の歴史の中では繰り返されてきたことだと思われます。それを円満に解決するのが現代人の力であり、そこで破綻するようでは、現代の情報化社会というのも危なっかしいものです。
こんなウクライナ危機の最中に、北京オリンピックは実施され、日本は1つのメダルで大騒ぎしているし、ヨーロッパの政治家たちは、何とかまるく収めようと懸命の努力をしている。ロシアの15歳の女の子は、ごく当たり前に売られている薬でドーピング検査に引っかかり、フィギュア女子のメダル争いは混沌としてきました。
ミャンマーはクーデターから1年になるけど、軍事政権は続いている。シリアはどうなっているのかわからず、チュニジアも混乱し、トンガは自然災害。世界は混沌に向かっているような気がしてきました。