甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

陽光と 母と明日香へ キンギョソウ

2016年05月09日 21時48分21秒 | 大和路を歩く
 今日、自宅へ帰る前に実家に電話をしました。

 「朝から雨でどこへも行けないし、だれとも話さないから、私はボケるかも……。」
 母らしくない弱気発言でした。でも、気を取り直して、

 「今から帰るのなら、夜道を気をつけて帰りなさい」とか、
「昨日、届いたミカン食べたよ」と元気そうな感じを出して話していました。

 明日も、明後日も雨だというし、どこへも行けないから、何となくションボリの感じでした。もう少し連休の間、実家に行けたらよかったのですが、私もイマイチ体調が万全ではなかったので、行かなかったんですけど、少しかわいそうになりました。

 母の日ということで、何も要らないと言う母に、それなら母が好きなミカンでも送ろうと送ったのはつい最近のことで、昨日届いたということでした。その時は元気だったのに、今夜は少し元気がなくて、もうフトンに入ってテレビ見てる、ということでした。まだ19時過ぎだというのに、この生活です。

 息子の私も、少しションボリしつつ、ついこの間、母と歩いた明日香をふりかえろうと思います。



 大阪の南部の古市古墳群に行こうと思って、近鉄・南大阪線に乗りました。古市には20分くらいで着きそうでした。母は「吉野まで行こう」と提案してきました。

 いくらなんでも、そりゃ遠すぎるだろうと、母の提案ならたいていのことはOKの私も、困ってしまいます。だったら、明日香村を歩いてみたら、母の喜ぶところがあるかもしれないと思い、そのまま吉野行きの急行に乗り続けました。

 飛鳥駅で降りて、多くの人たちはレンタサイクルへと向かったようでした。でも、うちの母は自転車は乗れないし、昔は健脚を誇っていましたが、最近はドラキュラ的な生活を送っているので、太陽の下では歩くことはできません。ということで、一気にバスで石舞台まで出て、そこから近辺を歩くことにしました。

 石舞台は、何度も来たそうですが、せっかく来たのだから、中に入ろうと勧めて、中に入りました。ても、あまり気が進まなかったらしく、このあとは一切中に入らないことに決めたようでした。それに、ここはクツを脱がないからまだ許せたけれど、クツを脱ぐ本堂みたいなところは絶対NOみたいでした。……どうしかって? そりゃ、クツを脱ぐところは足が汚れるからなのです。もうビックリ!

 私は、そこから見上げる桐の花に気が行ってしまって、石舞台に関しては、あまり心動かされませんでした。なんだかもったいない。せっかく歴史のロマンが感じられるところなのに、ただ写真を撮っただけでした。しかも、桐の花がメインとは……。



 石舞台から、飛鳥寺まで田んぼの中の道を、太陽に照らされて歩きました。かなりヘロヘロになってしまいます。それでも、大仏さんにお会いしたかったんです。一度訪れてから、30年以上遠ざかっているのかもしれない。その大仏さんを拝みに行きたかった。

 西門前の畑では、地元の方が畑に生姜を植えておられました。市販の生姜みたいなのをポンと畑のうねの中にほうり込んでいくのです。それを見てビックリで、思わず訊いてしまいました。

 「これ、そのまま植えるんですか?」
……見たらわかるだろう、という感じなのだけれど、ついつい目の前にあることを確認したくて訊いてしまった。そうしたら、農家の嫁みたいな感じの方が、「そうなんです。9月頃には収穫できます」と教えてくださって、これまたビックリで、大仏効果というのか、入る前からビックリしています。



 大仏様は、そのまんまで、いろいろ苦労された末に、
 「千数百年ここに座っているんだよ。疲れることもあるけど、みんなのためにも、私のためにも、頑張る姿を見せていこうかな。」というふうな感じで、そこにおられます。

 短い時間だけど、私はすっかりありがたい気分をもらって、満足して出て来ました。もう少しあれこれ調べてくればいいのに、なんだか気分と雰囲気だけを味わうだけで、母が外で待っているからと、あわてて出て来てしまいます。少しもったいない。

 そのあと、甘樫丘(あまかしのおか)で持参の弁当を食べ、山の中の道をフラフラ歩いて、ここで母のアドレナリンが爆発します。

 みつば・ノビル・せりなど、田んぼのあぜに生えている草などを、思い切り収穫して、大満足したようでした。母は、観光地なんかどうでもいいから、こうした里山で、食べられる野草を見つけて、それを栽培したり、食べてみたり、そういうことがしたかったようでした。

 何しろ母は、自分で採取したものなら何でも食べる主義で、青梅も自分が取ってきたら、そのままおいしそうだと食べて、お腹が痛くなった人なのです。それからはさすがに青梅は食べなくなったということですが、自分で取ったもの、それを食べること、ものすごく好きらしい。



 たぶん、カゴシマでの娘時代に、そういうことをして楽しい思い出もあるし、父と野山に出ても、そういうことがすごく楽しかったみたいだし、いつまでもそんなことをしているようでした。

 もう、あの草たち、実家で根付いているんでしょうか。この雨で元気をなくしてないかな。また、見に行かなきゃダメですね。


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