↑まるで柳田国男さんが、芭蕉さんになったかのようです! この衣装が芭蕉さんですね。でも、晩年はこういう写真やフィルムが残っているから、仕方ないのかもしれませんが、何だかなという感じです。
5時間半かけて、兵庫県の福崎町に行きました。姫路から播但線で30分くらいのところの町です。駅からさらに炎天下の中を歩いて、増水している市川を渡りました。
この橋の向こうが福崎町の中心らしいのです。でも、私の目的は町の中心ではなくて、町の北の小高い丘にある記念館と生家とカッパの置物だったのです。それらがみんな集まっているところが目的地です。
丹波地方や福知山は雨で大変だというのに、ちかごろのゲリラ豪雨には歯が立ちません、というのか、どこでどんな天気になっているのか、ケータイやスマホが発達した世の中なのに、川下にいる者は何が起こっているのか、川の水だけで何だか複雑な気分です。家に帰ってニュースなどを見て、はじめて今回の豪雨の一端を知ることができましたけど……。というわけで、太陽光線をたっぷり浴びながら、とにかく木陰を求めて歩いていきました。
住宅が途切れ、畑やらが見え、神社への矢印を見つけ、目的地が近いことを知りつつも、なかなかたどりつかないのです。途中、古風な家があって、これは観光地の1つ? と思ってのぞくと、一般の人の家だったりして、なかなかみつからない。たしか立派な庄屋さんだった旧家のお屋敷もあるらしいのです。
そして、唐突に駐車場にたどりつき、そこを上がるとすぐにカッパのオブジェがありました。
0分と30分に、このカッパが向き合う池の中からもう1つのカッパの置物が出てくるそうで、みんなが池の端に並んで待っています。私は、そんな作り物よりもそれを見んがために集まる人間の方がスゴイと思い、その人々を撮ってみました。まあ、子どもがたくさんいたので、タダで見られるイベントとしてファミリーは待っていたのでしょう。何しろ日曜ですから、みんなイベントに飢えていたのでしょう。写真を撮ったので私は満足して、柳田国男さんの生家の方へ行きました。
池から数十メートルのところに移設された生家がありました。小さなおうちで、柳田さんは「日本一小さい家だ」と語っておられたということですが、立派な田舎のおうちです。四畳半くらいの部屋が4つ田形に備わっています。「これで十分じゃないの」と思って説明板を見ますと、両親とお兄さん夫婦と男兄弟3人が同居していたということだそうで、お兄さん夫婦はこの同居のせいで奥さんが離婚してしまうくらいですから、やはり狭かったのだろうと理解しました。
記念館は、それなりに立派に見えましたが、年数が経っていて、展示方法もガラスケースに入れてあるだけですし、8人の兄弟それぞれが立派な方たちで、国文学者、言語学者、歌人、医師、政治家、画家といろんな才能のある人たちみんなを顕彰しなくてはならず、柳田国男さんだけに興味を持って入ると、何分の一なので、何だか物足りない感じがしました。そして、文書が中心なので、時間をかけて文字を見なくてはならず、滞在時間があまりない私には、ゆとりを持って見られず、サーッと流すように見ただけでした。
今度、クルマで来て、生野銀山の方へ入っていく計画で来ないとダメかなと思った次第です。しかし、見るだけは見て、その奥の神崎郡歴史民俗資料館もサッと見て、あとは帰りの電車の関係ですぐまた歩いて戻らねばと、テクテク帰路についたのでした。
公園にあった「犬の置きフン禁止」の看板がかわいかった!
昔の郵便局の建物がこれ↓
この日歩いた辻川の集落は、生野銀山の鉱物を運んだ産業道路だったそうで、名付けて「銀の馬車道」というそうです。
時計屋さん
そして、帰りは山陰線・福知山線の影響を受けて大混雑の播但線「銀の馬車道」号! 本当なら、ローカル線をトコトコと乗っていくんだったんですけどね。そうじゃなかった!
だから、帰りに寄り道する気力もなくなって、すぐ電車に飛び乗ったんでした。やはり、ゆとりって大切ですね。ゆとりがあれば、もっといろいろなことにチャレンジしたでしょうに……。姫路城を東側から見る播但線の高架から写真を撮るという計画もポシャッてしまった。歩いて姫路の古本屋さんに行くのも、夢となってしまった。ああ、ザンネン! でも、またいつか!
★ そして、1年後ふたたび姫路に来て、播但線に乗りました。日本玩具博物館というところを訪ねました。いつか和田山まで播但線で乗り継ぎたいのですが、それがなかなかムズカシイです。兵庫県の山奥に行くと、一泊しないといけないですからね。行き当たりばったりではとてもいけません。
計画的な旅というのがダメな私です。
そして、姫路のみゆき通りを抜けたところにあった岩崎書店はなくなっていました。古本カフェみたいなのは確認できなかった。姫路城を訪れる人はあんなにたくさんいるのに、古本屋さんは消えてしまいました。ああ、これが現実です。どうしたらこの波に逆らうことができるのかなあ。