甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

はつかりと上野駅

2017年10月19日 20時57分52秒 | Back To The 80's

 一度だけ、彼女を見送りに上野駅に行ったことがあります。1979年の年も押し詰まったときだったと思います。クリスマスを一緒に過ごし、少しだけほんわかして、2人で東京で別れることにしたんでした。

 途中は何も憶えていませんね。映画とか、買い物とかしたんだろうか。たぶん、お金もないし、余計なことに時間を費やすことができなくて、何もかも吹っ飛ばして上野駅に着いた。

 彼女は、特急はつかりで5時間かけてふるさとに帰ることになっています。私は、3時間で新大阪へ行き、そこから約1時間で実家に着くことになっていました。

 私は、昔も今も普通電車でとことこ走るのが好きというのか、お金がないからそれで行くしかなかったのでした。

 新幹線は高い乗り物でした。なるべく使いたくなかった。

 電車の時間は迫ってくるし、5時間も特急に乗るというのは、それなりに覚悟のいるものでした。今なら長距離バスとかもそんな感じだと思うけれど、昔の特急って、「さあ、乗るぞ」という思いを胸に抱いて乗るものでした。そして、疲れる乗り物でした。

 そんなに快適でもなかったんでしょう。

 私は、昔は特急って、めったに乗ったことがなかったんでしたね。急行の五百円を払うのさえもったいなかったんだから、昔も今もみみっちい生活スタイルでした。

 そして、とうとうお別れしなくてはならなくて、最後に何かつながっていたくて、どちらともなく握手をしました。

 あんなにいとおしいと思ったことはなかったですね。あれから、どれくらいいとおしいと思ったことか。「最近はどうなんだよ」と不安になりますね。

 最近は、ただ毎日に流され、雨に降り込められ、仕事に流され、やりたいことも見つけられず、自分の大事なモノを見失っているような気がします。

 もっと今を大切にしなきゃいけないのに、お酒を飲んだり、パソコンしたりして、時間が過ぎていきます。

 そして、彼女は電車の中に消え、時間が来たらはつかりは発車していきました。

 冬でした。寒かったでしょう。それで、すぐに駅のトイレに行きました。しみじみサビシイ気持ちがしたものです。今まで一緒にいた彼女は、実家の方へ帰ってしまった。それは当たり前なんだけれど、それがお正月を過ごす学生たちのフツーのパターンなんだけど、悲しかった。

 そばにいないという不在感・空白感で急にポッカリと穴が開いたようで、それから東京駅に行き、新幹線で実家に帰ったと思われますが、魂が抜けたみたいにして帰ったのだと思われます。

 今だったら、お酒飲んでホイ! なのに、どうして当時はそれができなかったのかなぁ。

 わりと素直に人に向き合っていたんでしょうね。今は、向き合ってはいる時もあるけど、たいていは気を抜いているような気がします。長続きしないんだなあ。



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