尾道には有名なラーメン屋さんがあることは知っていました。たぶん、そこに行ったことがありました。
それはいつだったのか、自宅に帰ってきたので、当時のことを少しだけ調べることができました。もちろんスマホなんて、ありませんからね。行き当たりばったりでやっていくしかないわけです。
交通公社のＢ６判の旅行ガイドを取り出してみました。この本はいつ買ったのかというと、1984.4.11に買ったとあります。その年のコールデンウイークに彼女と旅する予定で買ったのだと思われます。
尾道は、林芙美子さんゆかりの地だったので、一度行ってみたかったのです。志賀直哉の「暗夜行路」でも出て来ましたっけ。そうでした。小津安二郎さんの「東京物語」だってみていたから、そのゆかりの地も訪ねる意味もあったでしょうか。いろいろな意味をこめて旅してみたかったはずです。
そこに朱華園（しゅかえん）というラーメン屋さんがありました。ガイドをみてみますと、
知る人ぞ知るラーメンとギョウザの店。匠（たくみ そういう名前の美術工芸品のお店）の向かい側にあり店先の竜をあしらった看板が目をひく。脂身を使った秘伝スープと、自家製めんのラーメンは天下一品。350円。ギョウザもうまい。昼時はいつも超満員なので時間をずらすこと。みやげ用の焼きそば・ギョウザもある。11:00～20:00。木曜定休。
という情報です。確かにこってりした味だった記憶はあります。でも、味はどんなだったか憶えていません。こってりしていたという印象だけで、味はもう分からなくなっている。何しろ35年前のことですからね。
それで、一昨日、尾道駅で降りて、商店街を突き抜けて、たしかこのあたりにあっただろうという場所を探してみて、「あれ、ないなあ。つぶれたんだろうか。」と不安になりました。
もうすぐに電車に乗らなくちゃいけないので、バタバタしていられなくて、目星をつけていたお店に飛び込んで、そこはラーメン店ランキング5位だったそうで、まあ、満足したんですけど、そこでグルメマップというのも置いてあったので、探してみても、そのマップの中にはありませんでした。
今日、おうちで落ち着いて調べてみると、朱華園（しゅうかえん）となっていて、ランキングは1位でした。そうでしたか、やはり今も人気があるのですね。アーケードが終わったら右に曲がるみたいに憶えていたけれど、もう少し先まで歩かなければならなかったのか。それはうっかりしていました。
でも、そんなに残念ではなかった。それが今回の運命であり、来たかったら、また来ればいいのだから、そして、何杯も食べられないのだから、適当なところで一杯だけ食べられたら、それでよかったのです。
