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甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

見殺しにしたくはないけれど……

2017年05月25日 21時43分26秒 | 私たちの社会・世界
 孔子さんのおことばに「民はこれに由(よ)らしむべし。これを知らしむべからず」(泰伯)というのがあります。

 岩波文庫では、「人民は従わせることはできるが、その理由を知らせることはできない」と訳しています。

 いつも為政者には都合良く使われてきたことばで、とにかく命令に従っておればよい。細かいことをつべこべ言うな。理由も聞くな。おまえたちには、詳しい事情なんか教える必要などない。おまえたちはただ黙って政府の言うことに従っておればいいのだ。

 そうとられてもおかしくないことばでした。

 でも、私はきっとそうではないと思っています。深い意味があるのだという感覚はあります。孔子さんが、そんな政府のお偉方みたいな考えであるわけがありません。そんなだったら、すぐに歴史の闇に消えていったことでしょう。

 二千五百年もことばが生きているのは、きっと理由があるはずなのです。

 その理由とはなんだろう。「知らせない」のはなぜなのか。



 為政者が何かを行おうとすれば、必ず不平分子や、納得できない者たち、自分たちの損になると考えるヤツらなど、為政者の行動に反対する者が存在する。そういう人たちにも、真面目に取り組まねばならないけれど、納得してもらえないのであれば、断じて行っていく。抵抗もあるだろうけれど、それが世のため人のためになるとこちらが強く思っていることなら、それを押し通すことも必要だし、ある程度情報操作も必要である。何から何まで情報を流せば、相手はつけあがったり、反対行動に出たりする。為政者の邪魔が増えるだけです。

 だから、余計な混乱や不安状態にさせないためにも、ヒミツで行うことも必要である。やがて結果が出てくれば、政策なんてすぐに効果が現れることなんてあまりないのだから、「ああ、よかったな」と思ってもらえるまでに時間がかかるのです。少しずつ結果が表れて、人びとは改めて為政者の真意をあとから理解し、感謝していく。そういう形としての「知らしむべからず」ではないのかと思うのです。

 いつかは真意は伝わるけれど、すぐにはすべてを伝えないで、静かに辛抱してもらって、やがて理解してもらう、そういうことがある。



 「由らしむべし」というのは、互いの距離感をいうのであって、遠く頑丈に守られた宮殿からなかなか出てこない為政者など話にならないのです。自前のタワー、国全体を防御組織、立派な王宮をそのまま権力者の家にした人たち、現代建築風の安っぽい3階建ての小屋など、権力者って、お籠もりが好きなのです。そんなのはダメだと孔子さんは言います。

 それこそいつもそばにいて、人びとの気持ちを理解し、人びとの困っている姿を見ている人でなくてはならない。いつもそばにあって、人びとともにあれ! という教えなのだと思われます。

 それを都合のいいように、お金やワイロ、為政者に近づいてこようとする者たちを受け入れ、その人たちの言うことを聞いてやり、便宜を図る。時には自分の使える権力をふるう。地域振興・産業発展という旗印を掲げて、税金・交付金を与え、地方の政府にも権力風を吹かせる。

 情報を握り、それを告発しようという人が出てきても、そいつはこういう悪いうわさがある人間だし、私どもの相手とする人間ではない。あいつはウソツキで、わたしどもだけが真実ですと、平気な顔でいる。

 ものすごく上手な情報操作で、このまま乗り切ろうとするはずです。そして、怒らねばならない国民は、結局そんなのどうでもいいや、それより景気を良くしてくれ。だれが政治をしていてもどっちだっていいから、とにかくコロコロ国のトップが変わるのはやめてくれ、程度の意識で、とんでもないヤツを許してあげるのかもしれない。



 私たちはどこまでお人好しにできているんだろう。どれくらいだまされたら、真実に気がつけるのだろう。いや、とっくに気づいているけれど、あえて毒を飲んでいるのかもしれないな。

 孔子さんの理想の政治ではないですね。人びとも堕落している。別に日本だけが堕落しているのではなくて、世界各地で、自分の所さえ良ければいいのさと、みんなでよそのことなんか気にしない風潮になっている。

 昔、グローバル社会なんて、ご立派なことばがありましたが、今の日本では誰もそんなことを信じていなくて、世界を股にかける人たちだけが、儲けるというのをキーワードにして、貧しいヤツはどんどん貧しく、お金持ちはどんどんお金持ちに、努力しない人間には「自助努力」ということばを投げつけて、切り捨ててしまう。

 これが世界のグローバル化なんですね。私も今すぐにでも切り捨てられるかもしれない。

 自助努力で、できれば自分の道を見つけていきたいです。


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