私の職場でも、じわりじわりとスマホ派が逓増している。最近は電車やバスに乗っても、皆がスマホを使っているため、なかなかガラケー派の私としては、肩身が狭い感じがしてならないのである。
しかし、である。実は今、タブレットが当たる懸賞に応募していて、仮に当選したとすれば、ますますスマホを持つ理由が薄れるのだから世話ない。Wi-Fiさえ何とかすればいいわけだが、逆にそれはそれで必要あるのかという葛藤が応募してから消えないのである。使いこなすことができず、無用の長物だったというオチだけは避けたいものだ。まあ、当たればの話だが。
仏法を実践していようがいまいが、日常的な幸運が向上したわけではない(クジ運が良くなったわけではない)ので、業者に個人情報を提供したというだけで終わるだろう。
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産業道路で激しくクラッシュした敷島は、病院に搬送された。幸いにして、そんなに重傷というわけでもなかった。
因みにレンとKAITOはボーカロイド……アンドロイドとしての耐久性の高さから、損傷は全くと言っていいほど無かった。
そしてレンが慌てて走って追いかけたが、既に犯人達は消えていた。
「この恨み、晴らさでおくべきかっ!」
報せを受けた南里は、仙台にある研究所の所長室でドンッと激しく机を叩いた。
「この責任はキミにもあるぞ、赤月君!何しろ鏡音リン・レンの正式な管理者はキミにあるのだからな!管理責任が問われるぞ!」
ビシッと叱責する。
「御意……ですかね」
赤月は眼鏡を押し上げて言った。
「でも立場上の責任を取るのに吝かではありませんが、プロデュース業務全般については責任を負いかねます」
「な、何じゃと!?」
「鏡音リンは敷島さんのプロデュース業務中、事件に巻き込まれました。ですので、この事件に関しては責任は取れません」
「赤月君、キミはこのプロジェクトを承認したのが誰か分かってて申しているのだろうな?」
「誰が承認しようと、ロボット研究史には大きく『鏡音リン誘拐さる』と書かれるでしょうね」
「……このプロジェクトを承認したのは、この私じゃ」
「それなら、事件の責任は南里先生が取るべきじゃないですか?」
「キミは誰に向かってモノを言っているのか分かっているのだろうなっ!?」
「当然です」
「……ふっ、まあ良い」
南里は椅子に座った。
「全く。キミは学生の頃から変わらんな」
「先生もですよ」
「で、実際どうする?敷島君達が交通事故に巻き込まれたのは事実だから警察が動いているようじゃが、このままでは極秘プロジェクトそのものが露呈してしまうぞ」
「別に、違法行為をしているわけじゃないんですけどね……。とにかく、犯人達は警察に捕まえてもらって、リンの無事を確認しましょう。ボーカロイドは頑丈ですから、普通に人間を殺すやり方では壊れませんよ」
「しかし、リンをGPSで追えなくなったのじゃろ?」
「犯人達が気づいて、それを破壊した恐れがありますね。あとは、犯人達がどういう動機でリンをさらったかです。ただ単にロリコンだったらまだ大丈夫かもしれませんが、ボーカロイドと知っててさらったのだとしたら、そっちの方が大変です」
「実に合理的な思考じゃ。……逆に、キミをフィールドテスターにしなくて良かったよ」
「私は研究者ですから。……あ!」
「どうした?」
「え……ああ……いや、その……」
「何か、気になることでもあるのかね?」
「先生が先ほどお怒りになったくらいですから、レンも相当怒ってるだろうなと……」
「ふむ。ボーカロイドの中では1番、感情レイヤーの性能が良いからな。それで?」
「実は“ロボット三原則”をインストールしていないので、もしかして、怒りに任せて犯人達を殺したりしないかなって……」
「バカモン!それを早く言わんかーっ!」
しかし、である。実は今、タブレットが当たる懸賞に応募していて、仮に当選したとすれば、ますますスマホを持つ理由が薄れるのだから世話ない。Wi-Fiさえ何とかすればいいわけだが、逆にそれはそれで必要あるのかという葛藤が応募してから消えないのである。使いこなすことができず、無用の長物だったというオチだけは避けたいものだ。まあ、当たればの話だが。
仏法を実践していようがいまいが、日常的な幸運が向上したわけではない(クジ運が良くなったわけではない)ので、業者に個人情報を提供したというだけで終わるだろう。
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産業道路で激しくクラッシュした敷島は、病院に搬送された。幸いにして、そんなに重傷というわけでもなかった。
因みにレンとKAITOはボーカロイド……アンドロイドとしての耐久性の高さから、損傷は全くと言っていいほど無かった。
そしてレンが慌てて走って追いかけたが、既に犯人達は消えていた。
「この恨み、晴らさでおくべきかっ!」
報せを受けた南里は、仙台にある研究所の所長室でドンッと激しく机を叩いた。
「この責任はキミにもあるぞ、赤月君!何しろ鏡音リン・レンの正式な管理者はキミにあるのだからな!管理責任が問われるぞ!」
ビシッと叱責する。
「御意……ですかね」
赤月は眼鏡を押し上げて言った。
「でも立場上の責任を取るのに吝かではありませんが、プロデュース業務全般については責任を負いかねます」
「な、何じゃと!?」
「鏡音リンは敷島さんのプロデュース業務中、事件に巻き込まれました。ですので、この事件に関しては責任は取れません」
「赤月君、キミはこのプロジェクトを承認したのが誰か分かってて申しているのだろうな?」
「誰が承認しようと、ロボット研究史には大きく『鏡音リン誘拐さる』と書かれるでしょうね」
「……このプロジェクトを承認したのは、この私じゃ」
「それなら、事件の責任は南里先生が取るべきじゃないですか?」
「キミは誰に向かってモノを言っているのか分かっているのだろうなっ!?」
「当然です」
「……ふっ、まあ良い」
南里は椅子に座った。
「全く。キミは学生の頃から変わらんな」
「先生もですよ」
「で、実際どうする?敷島君達が交通事故に巻き込まれたのは事実だから警察が動いているようじゃが、このままでは極秘プロジェクトそのものが露呈してしまうぞ」
「別に、違法行為をしているわけじゃないんですけどね……。とにかく、犯人達は警察に捕まえてもらって、リンの無事を確認しましょう。ボーカロイドは頑丈ですから、普通に人間を殺すやり方では壊れませんよ」
「しかし、リンをGPSで追えなくなったのじゃろ?」
「犯人達が気づいて、それを破壊した恐れがありますね。あとは、犯人達がどういう動機でリンをさらったかです。ただ単にロリコンだったらまだ大丈夫かもしれませんが、ボーカロイドと知っててさらったのだとしたら、そっちの方が大変です」
「実に合理的な思考じゃ。……逆に、キミをフィールドテスターにしなくて良かったよ」
「私は研究者ですから。……あ!」
「どうした?」
「え……ああ……いや、その……」
「何か、気になることでもあるのかね?」
「先生が先ほどお怒りになったくらいですから、レンも相当怒ってるだろうなと……」
「ふむ。ボーカロイドの中では1番、感情レイヤーの性能が良いからな。それで?」
「実は“ロボット三原則”をインストールしていないので、もしかして、怒りに任せて犯人達を殺したりしないかなって……」
「バカモン!それを早く言わんかーっ!」