[5月13日15時09分 天候:曇 埼玉県蕨市中央 JR蕨駅→京浜東北線1527A電車10号車内]
〔本日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の、1番線の、電車は、15時9分発、快速、大船行きです〕
イオンモールの敷地内からは、蕨駅方面へのバスが出ている。
それに乗って蕨駅に行き、これから京浜東北線に乗って帰京するところである。
その間、善場係長からはメールが何通か来た。
八王子市のホテルを取ったので、そこで月曜日の朝まで滞在して欲しいこと。
護衛として、リサとレイチェルを同行させて良いこと。
係長は今日中には帰京すること。
そして……高橋には、しばらく会えなくなるとのことだ。
〔まもなく、1番線に、快速、大船行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。次は、西川口に、停車します〕
電車を待っていると、ホームの無い線路を中距離電車が轟音を立てて通過していく。
そしてようやく、この駅に止まる電車がやってきた。
隣の南浦和駅始発の電車だが、階段やエスカレーターが前の方にある為、そちらの車両は既に満席状態だ。
後ろに行けば行くほど空いている。
そして、最後尾はガラガラだった。
〔わらび、蕨。ご乗車、ありがとうございます。次は、西川口に、停車します〕
ドアが開いて、電車に乗り込む。
横並びに3人座った。
すぐに発車メロディが流れる。
ホルストの“ジュピター”である。
〔1番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕
電車のドアとホームドアが閉まる。
駆け込み乗車があったせいか、何回か再開閉する。
それから、ようやく発車した。
〔次は、西川口です〕
高橋のこと以外は、リサ達に話している。
レイチェルは片耳にインカムを着けていて、そこから既にBSAAの本部から連絡があったようだ。
訓練生たるレイチェルの任務は、あくまでリサの監視。
リサが私に同行するのだから、レイチェルも更に同行せよとのことだ。
月曜日は彼女らも学校があるからな……。
あ、そうだ。
私は入院、高橋も警察の御厄介になるということは、しばらくPTA会長は不在となるということだ。
学校にもその旨、連絡しておかないと……。
色々と急展開があって、何だか気が滅入るな……。
私が座席に深く腰掛けると、リサは私の心境を察してか、腕を組んで寄り掛かって来た。
高野君は別組織の工作員、公一伯父さんもそちら側、栗原蓮華は鬼化、我那覇絵恋はBOW化、そして高橋は何がしかの容疑と……。
別ればかりが相次ぐなぁ……。
せめて、ここにいるリサだけは何事も無いでいて欲しいのだが……。
[同日15時38分 天候:晴 東京都千代田区外神田 JR秋葉原駅]
電車に乗っている間、レイチェルは空気を読んだか、私にしがみついているリサには話し掛けず、持っている本を読んでいた。
そして電車は無事、秋葉原駅に到着。
〔あきはばら~、秋葉原~。ご乗車、ありがとうございます。次は、神田に、停車します〕
ここで電車を降りる。
レイチェルとは、ここで別れることになる。
待ち合わせ場所について確認した後、レイチェルは地下鉄の秋葉原駅へ、私とリサは岩本町駅に向かって歩き出した。
と、ここへ電話が……。
愛原「もしもし……?」
パール「先生……」
電話の向こうからは、息を押し殺したように喋るパールの声があった。
愛原「どうした?」
パール「事務所の前に、何台ものパトカーが……。先生、何かしました?」
愛原「俺じゃねーよ。警察が用があるのは、高橋だ。……さっきから、電話の向こうでインターホンがピンポンピンポンうるせーな。しかも、ドアをドンドン叩いているな?もしかして、居留守使ってるのか?」
パール「この場合、まともに応対しても、警察は捕まえてくるだけなので」
愛原「いや、まともに応対していいよ!」
パール「マサのヤツ……何かしたんですか?私は何も聞いてませんよ?」
愛原「俺の頭をいじくった容疑だ。いいから、さっさとドアを開けてやれ!オマエも公務執行妨害で捕まるぞ!」
パール「いいですねぇ……。マサと一緒に警察デート……!」
愛原「何を楽しみにしてるんだ!余計なことはするなよ!?さっさとドアを開けろ!」
私はそう言って電話を切った。
リサ「どうしたの?何があったの?」
愛原「ちょっと、急ぎだ。地下鉄じゃなくて、タクシーで帰るぞ」
私はそう言うと通りの方に向かい、空車のタクシーに向かって大きく手を挙げた。
愛原「はい、乗って乗って!」
リサ「う、うん……」
私はリサを先に乗せ、その後、すぐに乗り込んだ。
愛原「菊川2丁目までお願いします。あの、新大橋通りから行ってください」
運転手「あ、はい。分かりましたー」
タクシーが走り出してから、私はもう1度パールに電話した。
だが、電話には出なかった。
警察が前もって令状を用意していたのか、それは分からない。
無くても、令状は後から請求の緊急逮捕という形で逮捕することはできる。
それかもしれない。
特に今日は土曜日、明日は日曜日で、裁判所の窓口が空いているかどうか不明だ。
それまで犯人を泳がせておくのは危険と判断される場合、この手法が取られることがある。
顕正号のことについては、善場係長らも調べを進めていただろうから、その過程が高橋の怪しさに気づいたのかもしれない。
そして、ある程度の証拠は集まっていたのだろう。
最後の一押しが、私の頭だったのかもしれない。
尚、善場係長にも電話を掛けてみたが、繋がらなかった。
もしかすると、今は飛行機の中なのかもしれない。
係長も休み返上で、本当大変だ。
〔本日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の、1番線の、電車は、15時9分発、快速、大船行きです〕
イオンモールの敷地内からは、蕨駅方面へのバスが出ている。
それに乗って蕨駅に行き、これから京浜東北線に乗って帰京するところである。
その間、善場係長からはメールが何通か来た。
八王子市のホテルを取ったので、そこで月曜日の朝まで滞在して欲しいこと。
護衛として、リサとレイチェルを同行させて良いこと。
係長は今日中には帰京すること。
そして……高橋には、しばらく会えなくなるとのことだ。
〔まもなく、1番線に、快速、大船行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。次は、西川口に、停車します〕
電車を待っていると、ホームの無い線路を中距離電車が轟音を立てて通過していく。
そしてようやく、この駅に止まる電車がやってきた。
隣の南浦和駅始発の電車だが、階段やエスカレーターが前の方にある為、そちらの車両は既に満席状態だ。
後ろに行けば行くほど空いている。
そして、最後尾はガラガラだった。
〔わらび、蕨。ご乗車、ありがとうございます。次は、西川口に、停車します〕
ドアが開いて、電車に乗り込む。
横並びに3人座った。
すぐに発車メロディが流れる。
ホルストの“ジュピター”である。
〔1番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕
電車のドアとホームドアが閉まる。
駆け込み乗車があったせいか、何回か再開閉する。
それから、ようやく発車した。
〔次は、西川口です〕
高橋のこと以外は、リサ達に話している。
レイチェルは片耳にインカムを着けていて、そこから既にBSAAの本部から連絡があったようだ。
訓練生たるレイチェルの任務は、あくまでリサの監視。
リサが私に同行するのだから、レイチェルも更に同行せよとのことだ。
月曜日は彼女らも学校があるからな……。
あ、そうだ。
私は入院、高橋も警察の御厄介になるということは、しばらくPTA会長は不在となるということだ。
学校にもその旨、連絡しておかないと……。
色々と急展開があって、何だか気が滅入るな……。
私が座席に深く腰掛けると、リサは私の心境を察してか、腕を組んで寄り掛かって来た。
高野君は別組織の工作員、公一伯父さんもそちら側、栗原蓮華は鬼化、我那覇絵恋はBOW化、そして高橋は何がしかの容疑と……。
別ればかりが相次ぐなぁ……。
せめて、ここにいるリサだけは何事も無いでいて欲しいのだが……。
[同日15時38分 天候:晴 東京都千代田区外神田 JR秋葉原駅]
電車に乗っている間、レイチェルは空気を読んだか、私にしがみついているリサには話し掛けず、持っている本を読んでいた。
そして電車は無事、秋葉原駅に到着。
〔あきはばら~、秋葉原~。ご乗車、ありがとうございます。次は、神田に、停車します〕
ここで電車を降りる。
レイチェルとは、ここで別れることになる。
待ち合わせ場所について確認した後、レイチェルは地下鉄の秋葉原駅へ、私とリサは岩本町駅に向かって歩き出した。
と、ここへ電話が……。
愛原「もしもし……?」
パール「先生……」
電話の向こうからは、息を押し殺したように喋るパールの声があった。
愛原「どうした?」
パール「事務所の前に、何台ものパトカーが……。先生、何かしました?」
愛原「俺じゃねーよ。警察が用があるのは、高橋だ。……さっきから、電話の向こうでインターホンがピンポンピンポンうるせーな。しかも、ドアをドンドン叩いているな?もしかして、居留守使ってるのか?」
パール「この場合、まともに応対しても、警察は捕まえてくるだけなので」
愛原「いや、まともに応対していいよ!」
パール「マサのヤツ……何かしたんですか?私は何も聞いてませんよ?」
愛原「俺の頭をいじくった容疑だ。いいから、さっさとドアを開けてやれ!オマエも公務執行妨害で捕まるぞ!」
パール「いいですねぇ……。マサと一緒に警察デート……!」
愛原「何を楽しみにしてるんだ!余計なことはするなよ!?さっさとドアを開けろ!」
私はそう言って電話を切った。
リサ「どうしたの?何があったの?」
愛原「ちょっと、急ぎだ。地下鉄じゃなくて、タクシーで帰るぞ」
私はそう言うと通りの方に向かい、空車のタクシーに向かって大きく手を挙げた。
愛原「はい、乗って乗って!」
リサ「う、うん……」
私はリサを先に乗せ、その後、すぐに乗り込んだ。
愛原「菊川2丁目までお願いします。あの、新大橋通りから行ってください」
運転手「あ、はい。分かりましたー」
タクシーが走り出してから、私はもう1度パールに電話した。
だが、電話には出なかった。
警察が前もって令状を用意していたのか、それは分からない。
無くても、令状は後から請求の緊急逮捕という形で逮捕することはできる。
それかもしれない。
特に今日は土曜日、明日は日曜日で、裁判所の窓口が空いているかどうか不明だ。
それまで犯人を泳がせておくのは危険と判断される場合、この手法が取られることがある。
顕正号のことについては、善場係長らも調べを進めていただろうから、その過程が高橋の怪しさに気づいたのかもしれない。
そして、ある程度の証拠は集まっていたのだろう。
最後の一押しが、私の頭だったのかもしれない。
尚、善場係長にも電話を掛けてみたが、繋がらなかった。
もしかすると、今は飛行機の中なのかもしれない。
係長も休み返上で、本当大変だ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます