[12月30日11時16分 天候:晴 栃木県宇都宮市 JR宇都宮駅・在来線ホーム→日光線839M列車先頭車内]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の5番線の列車は、11時16分発、普通、日光行きです。この列車は、4つドア、3両です〕
たったの3両である。
先代の電車は4両編成だったことを考えると、車両減である。
年末の今はそうでもないが、平日朝のラッシュは大変な混雑になっているという。
更なる少子高齢化による乗客減を見据えて先に対策を打った形らしいが、今の固定客に嫌われるやり方をしていて、あえて客を逃がすやり方をするのが好きなようである。
尚、日光方面への観光客輸送は東武鉄道に軍配が上がっている状態である為、JRを利用するのは地元の通勤・通学客、或いは新幹線でアクセスする一部の観光客だけである。
〔まもなく5番線に、当駅止まりの列車が参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。この列車は4つドア、3両です。折り返し、11時22分発、普通、日光行きとなります〕
列車を待っていると、接近放送が鳴り響いた。
しばらく待っていると、真新しい3両編成の電車がやってきた。
フルカラーLEDで、『ワンマン』という表示がされている。
日光線は4両編成から3両編成に減車された際、投入された新型車両でもってワンマン化された。
但し、側面のドアは4ドア、車内もオールロングシートと、けしてローカルな雰囲気ではない。
そこそこの乗客が乗っており、ぞろぞろと降りて来る。
座席の色と座り心地は、まるで中央快速線のようだった。
一応、先頭車にはトイレもある。
先々代(旧国鉄107系)の頃からそうだったが、座席がロングシートしか無いのは伝統か。
房総方面に投入された同形式の車両にはボックスシートがあるのとは対照的である。
〔ご乗車ありがとうございます。この電車は日光線、日光行き、ワンマンカーです〕
電車内で発車を待っていると、高橋からLINEが来た。
高橋「先生、今どこっスか?」
愛原「今、宇都宮駅だ。これから日光線に乗る。11時22分発の日光行きだ」
高橋「マジっスか?!俺達、もう日光口パーキングエリアっスよ!」
日光口パーキングエリアとは、東北自動車道の宇都宮ジャンクションから分岐した有料道路、日光宇都宮道路上にある唯一のパーキングエリアである。
名前の通り、観光地・日光の入口辺りに存在する。
愛原「そうなのか。相変わらず、早いな。俺達が乗る電車、日光には12時5分に到着するんだよ」
高橋「12時5分っスね。了解です。日光駅で待ち合わせでいいっスか?」
愛原「いいよ、JR日光駅ね」
という会話で終了した。
[同日11時22分 天候:晴 JR日光線839M列車・先頭車内]
〔お待たせ致しました。まもなく発車致します。閉まるドアに、ご注意ください〕
発車の時間になり、ホームに発車メロディが流れる。
何やらオリジナルの発車メロディっぽかったが、この時は私は曲名は知らなかった。
ワンマン運転であるが、宇都宮駅は駅員が扱うタイプなのだろうか?
〔5番線、ドアが閉まります。ご注意ください〕
そして、ドアチャイムを鳴らしながら電車のドアが閉まる。
ドアチャイムは、首都圏を走る他のJR車両と同じだった。
一応、始発駅だからか、運転士が直接ホームに顔を出してホームを監視していた。
ドアが閉まったことを確認すると、運転席に移動してハンドルを操作する。
すぐに電車が動き出した。
〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、日光線、日光行きワンマンカーです。この先、鶴田、鹿沼、文挾、下野大沢、今市、終点日光に停車致します。次は、鶴田です。……〕
愛原「高橋達、もう日光にいるらしいぞ」
リサ「早っ!」
愛原「今は有料道路のパーキングで休んでいるらしいけどな」
絵恋「あっちは雪が積もってるのでしょうか?」
愛原「あー、それは聞いてなかったな。ちょっと聞いてみよう」
尚、宇都宮市内においてはまだ雪は積もっていない。
高橋に改めてLINEを送ってみると、次のような答えが返って来た。
高橋「若干、積もってますよ」
と。
なるほど。
標高が高い町だから、さすがに少しは雪があるのか。
東武日光線は比較的開けた場所を走るが、JR日光線は鬱蒼とした森の中を走る感じ。
その中において、一気に標高を稼ぐのだという。
今の電車なら多少のキツい坂でも軽々と登って行くだろうが、馬力の無いSL時代は大変だっただろう。
愛原「少し、積もっているらしい」
リサ「おー、今年初の雪」
絵恋「私もよ」
沖縄で雪を見る機会など、全く無いだろう。
私も微笑ましく思ったが、それに水を差す着信があった。
善場主任からのメールである。
善場主任も年末年始休みに入っているはずだが、それを返上しているのだろうか。
善場「善場です。愛原所長方がこれより出張される日光市の民泊物件ですが、上野医師の実家の住所と一致します。その為、栗原家に対しては、『要調査対象』に指定される見込みです。十分お気を付けください」
とのことだった。
どういうこっちゃ?
私は第2の『鬼の棲む家』……正確には、『鬼の棲んでいた家』に行くはずなのに。
上野医師の実家の住所って……。
上野医師って、栃木県出身だったのか。
上野医師と斉藤玲子とリサの関係ばっかり気にしていたから、そんなの気にしていなかったな。
私は善場主任に了解の旨返信を送ると、スマホのグーグルマップで例の民泊を調べてみることにした。
実は先日、グーグルマップのストリートビューで外観だけは見たのだが、まあ、昭和の住宅といった感じの佇まいだった。
令和の今から見れば、十分古民家だろう。
私が子供の頃、建て直す前の仙台の実家も、あんな感じだったなぁといった感じで見ていたが……。
上野医師の生い立ちと年齢からして、確かにその実家が空き家になってしまうのは理解できた。
それを栗原家の誰かが入手し、改築して民泊として営業していたということになる。
つまり、栗原家の中に上野医師のことを知っている人間がいるということになる。
それで、デイライトさんは『要調査対象』に指定しようとしているのだろう。
指定されると、例え年末年始でも立入調査や聞き取り調査が行われる。
国家権力の発動なので、これを拒否することはできない。
何だか……どんどん危険なことを巻き込まれているような……?
何事も無ければいいのだが……。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の5番線の列車は、11時16分発、普通、日光行きです。この列車は、4つドア、3両です〕
たったの3両である。
先代の電車は4両編成だったことを考えると、車両減である。
年末の今はそうでもないが、平日朝のラッシュは大変な混雑になっているという。
更なる少子高齢化による乗客減を見据えて先に対策を打った形らしいが、今の固定客に嫌われるやり方をしていて、あえて客を逃がすやり方をするのが好きなようである。
尚、日光方面への観光客輸送は東武鉄道に軍配が上がっている状態である為、JRを利用するのは地元の通勤・通学客、或いは新幹線でアクセスする一部の観光客だけである。
〔まもなく5番線に、当駅止まりの列車が参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください。この列車は4つドア、3両です。折り返し、11時22分発、普通、日光行きとなります〕
列車を待っていると、接近放送が鳴り響いた。
しばらく待っていると、真新しい3両編成の電車がやってきた。
フルカラーLEDで、『ワンマン』という表示がされている。
日光線は4両編成から3両編成に減車された際、投入された新型車両でもってワンマン化された。
但し、側面のドアは4ドア、車内もオールロングシートと、けしてローカルな雰囲気ではない。
そこそこの乗客が乗っており、ぞろぞろと降りて来る。
座席の色と座り心地は、まるで中央快速線のようだった。
一応、先頭車にはトイレもある。
先々代(旧国鉄107系)の頃からそうだったが、座席がロングシートしか無いのは伝統か。
房総方面に投入された同形式の車両にはボックスシートがあるのとは対照的である。
〔ご乗車ありがとうございます。この電車は日光線、日光行き、ワンマンカーです〕
電車内で発車を待っていると、高橋からLINEが来た。
高橋「先生、今どこっスか?」
愛原「今、宇都宮駅だ。これから日光線に乗る。11時22分発の日光行きだ」
高橋「マジっスか?!俺達、もう日光口パーキングエリアっスよ!」
日光口パーキングエリアとは、東北自動車道の宇都宮ジャンクションから分岐した有料道路、日光宇都宮道路上にある唯一のパーキングエリアである。
名前の通り、観光地・日光の入口辺りに存在する。
愛原「そうなのか。相変わらず、早いな。俺達が乗る電車、日光には12時5分に到着するんだよ」
高橋「12時5分っスね。了解です。日光駅で待ち合わせでいいっスか?」
愛原「いいよ、JR日光駅ね」
という会話で終了した。
[同日11時22分 天候:晴 JR日光線839M列車・先頭車内]
〔お待たせ致しました。まもなく発車致します。閉まるドアに、ご注意ください〕
発車の時間になり、ホームに発車メロディが流れる。
何やらオリジナルの発車メロディっぽかったが、この時は私は曲名は知らなかった。
ワンマン運転であるが、宇都宮駅は駅員が扱うタイプなのだろうか?
〔5番線、ドアが閉まります。ご注意ください〕
そして、ドアチャイムを鳴らしながら電車のドアが閉まる。
ドアチャイムは、首都圏を走る他のJR車両と同じだった。
一応、始発駅だからか、運転士が直接ホームに顔を出してホームを監視していた。
ドアが閉まったことを確認すると、運転席に移動してハンドルを操作する。
すぐに電車が動き出した。
〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は、日光線、日光行きワンマンカーです。この先、鶴田、鹿沼、文挾、下野大沢、今市、終点日光に停車致します。次は、鶴田です。……〕
愛原「高橋達、もう日光にいるらしいぞ」
リサ「早っ!」
愛原「今は有料道路のパーキングで休んでいるらしいけどな」
絵恋「あっちは雪が積もってるのでしょうか?」
愛原「あー、それは聞いてなかったな。ちょっと聞いてみよう」
尚、宇都宮市内においてはまだ雪は積もっていない。
高橋に改めてLINEを送ってみると、次のような答えが返って来た。
高橋「若干、積もってますよ」
と。
なるほど。
標高が高い町だから、さすがに少しは雪があるのか。
東武日光線は比較的開けた場所を走るが、JR日光線は鬱蒼とした森の中を走る感じ。
その中において、一気に標高を稼ぐのだという。
今の電車なら多少のキツい坂でも軽々と登って行くだろうが、馬力の無いSL時代は大変だっただろう。
愛原「少し、積もっているらしい」
リサ「おー、今年初の雪」
絵恋「私もよ」
沖縄で雪を見る機会など、全く無いだろう。
私も微笑ましく思ったが、それに水を差す着信があった。
善場主任からのメールである。
善場主任も年末年始休みに入っているはずだが、それを返上しているのだろうか。
善場「善場です。愛原所長方がこれより出張される日光市の民泊物件ですが、上野医師の実家の住所と一致します。その為、栗原家に対しては、『要調査対象』に指定される見込みです。十分お気を付けください」
とのことだった。
どういうこっちゃ?
私は第2の『鬼の棲む家』……正確には、『鬼の棲んでいた家』に行くはずなのに。
上野医師の実家の住所って……。
上野医師って、栃木県出身だったのか。
上野医師と斉藤玲子とリサの関係ばっかり気にしていたから、そんなの気にしていなかったな。
私は善場主任に了解の旨返信を送ると、スマホのグーグルマップで例の民泊を調べてみることにした。
実は先日、グーグルマップのストリートビューで外観だけは見たのだが、まあ、昭和の住宅といった感じの佇まいだった。
令和の今から見れば、十分古民家だろう。
私が子供の頃、建て直す前の仙台の実家も、あんな感じだったなぁといった感じで見ていたが……。
上野医師の生い立ちと年齢からして、確かにその実家が空き家になってしまうのは理解できた。
それを栗原家の誰かが入手し、改築して民泊として営業していたということになる。
つまり、栗原家の中に上野医師のことを知っている人間がいるということになる。
それで、デイライトさんは『要調査対象』に指定しようとしているのだろう。
指定されると、例え年末年始でも立入調査や聞き取り調査が行われる。
国家権力の発動なので、これを拒否することはできない。
何だか……どんどん危険なことを巻き込まれているような……?
何事も無ければいいのだが……。