[5月8日18時30分 天候:晴 沖縄県那覇市大道 沖縄ホテル・ホテル棟客室]

(画像は沖縄ホテル公式サイトより)
修学旅行生達が部屋の中に入って行く。
私と高橋は、ツインルームであった。
基本的に引率者はこのような洋室で、修学旅行生達は一部を除いて和室らしい。
旅館棟という別棟があり、修学旅行生の殆どはそちらに泊まる。
リサ達もそうだ。
高橋「先生、このホテル、大浴場がありますよ?うへへへ……」
愛原「あー、俺はこっちの風呂に入る」
客室備え付けのバスルームがある。
ベタなビジネスホテルの法則通りの3点ユニット式だ。
高橋「何故ですか!?こっちの風呂は狭いですよ!?」
愛原「オマエと一緒に入ったら恥かくだけだ」
高橋「俺は先生を持ち上げてるだけですよ!?」
愛原「いや、あのな……」
高橋「引率者として、ヤンチャ連中がヤンチャしないよう見張るのが俺達PTAですよ!?」
愛原「う、うぬ……そう言われると……」
高橋「決まりですね!ヤンチャ連中は俺がボコしますから!」
愛原「いや、まずは口頭注意だろw」
高橋「あっ、そういえば先生……」
愛原「何だ?」
高橋「上野利恵からの電話って、何だったんですか?」
愛原「あー……そうだな……」
私は客室のドアに近づいた。
そして、ドアスコープから外を覗く。
何なら、部屋の外に出て、辺りを見回す。
夕食は19時からである。
夕食が終わったら、順次入浴などの自由時間ということになっている。
但し、基本的に外出は認められない。
飲み物はホテルの自販機で購入でき、それは利用して良い。
愛原「よし、リサはいないな。前にさ、利恵から秋田方面や京都方面には鬼の末裔の一族が住んでいるという話をされただろ?」
高橋「そんなこともありましたかね……」
愛原「どうも秋田県の、そちら側も修学旅行に来てるらしいんだな」
高橋「えっ?学校ごと鬼なんスか?」
愛原「いや、もちろん違うよ。その中の……1人なのか何人なのかは知らないが、とにかく鬼の末裔が含まれているらしい。もちろん普段はリサみたいに人間の姿をしているわけだし、リサみたいに生物兵器ウィルスでもって、そのように変化したわけじゃない。れっきとした鬼の末裔だ」
高橋「そいつがリサに襲い掛かるとでも?」
愛原「いや、分からん。向こうもリサも、普段は人間に化けているから、互いに気づかないかもしれないしな。ただ、一応頭の片隅にでも入れておけばいいってことなんじゃないかな?」
高橋「そうっスか……。ナマハゲの末裔ですかね?」
愛原「分からん。鉄道唱歌の常磐線編でも、『昔は鬼の住家とて、人の恐れし陸奥の……』という歌詞があるくらいだ。その中でも有名なのがナマハゲというだけで、それだけじゃないってことさ。岩手県の岩手の語源だって、『住民の悪鬼追討の祈りに対し、人々の信仰を集めて三ツ石さまと呼ばれていた大岩がそれを懲罰し、二度とこの地を荒らさないという鬼の確約を岩の上に手形で残させた』と言われてるくらいだからね」
高橋「さすが先生!博識っス!」
愛原「鬼化したリサをどうにかできないか、過去の鬼の伝説を調べたことがあったもんでね。とにかく、その秋田県から来ているという鬼の末裔がどんなヤツかは知らない。また1つ、警戒対象が増えたな」
高橋「望むところっス!」
実は他にもあるのだが、これ以上は私の中に留めておくとしよう。
高橋「でも、それだけなら、リサに聞かれてもいいんじゃ?」
愛原「いや、それはアレだよ。上野利恵から電話が来たってだけでもあいつ、相当嫌がるから」
高橋「それもそうっスね。でも、どうします?一応、警戒しろって言っておきます?」
愛原「いや、それは大丈夫だろう。あいつも普段は人間の姿だから、もし怪しまれても、シラを切り通せば何とか……」
高橋「なるほど」
[同日19時00分 天候:晴 同ホテル・夕食会場]
夕食会場に向かう。
坂上「えー、今日は小規模ながら、学校間交流と致しまして、沖縄中央学園那覇高校より、有志の方々にお越し頂きました」
坂上先生がマイクで進行する。
水色のワイシャツまたはブラウスに、ネイビーブルーのスカートやズボンという制服姿の男女が現れた。
東京中央学園のスクールカラーは緑だが、沖縄中央学園は青である。
リサ「おー!エレン!」
当然その中には、我那覇絵恋さんがいた。
我那覇絵恋「きょ、今日は東京から遥々お疲れさまです!今夜は私達、沖縄中央学園が皆さんの為に沖縄料理を用意しました!他にも差し入れがありますので、お受け取りください!」
夕食は定食形式であった。
どうやら沖縄中央学園の家政部や、その他、料理好きの生徒や学校関係者が作ったらしい。
高橋「先生、美味そうですけど、これ、前々から仕込まないとダメなヤツっスよね?」
愛原「学校間交流自体は計画されていたんだが、そこに絵恋さんを捻じ込むのが大変だった。あのコ、帰宅部なんだわ」
高橋「空手部じゃないんスか?」
愛原「今は大学受験に向けて集中しているらしく、特定の部活には入っていないそうだ」
高橋「マジですか……」
食べてみて思ったのは、昼食に食べた物よりも食べやすかったということ。
恐らく、味付けが違うのだろう。
絵恋「東京の人達の好みに合わせて、味付けを提案したのよ?」
と、エレンさんがリサ達に自慢している。
やっぱりそうだ。
リサ「もしかして、ラフテーが多めなのも?」
絵恋「リサさんの為……いやん
」
リサ「いい心掛けだ。後でわたしの部屋に来ていい」
絵恋「はーい!早速、お邪魔しまーす!」
愛原「キミは表向きには一般の宿泊者なんだから、就寝時間になったら、ちゃんと自分の部屋に戻らないとダメだよ?」
絵恋「分かってまーす!」
本当に分かっているのだろうか?
学校間交流で、沖縄中央学園生による沖縄料理を振る舞ってもらった以上、彼らが逆に東京に来た時は、こちらも何か振る舞わないとダメだということだな。
江戸前寿司とかは高いだろうしなぁ……。
かといって、某浅草の天ぷら屋に行ったら、やせ細ったエビ出して来やがったからダメだ。

(画像は沖縄ホテル公式サイトより)
修学旅行生達が部屋の中に入って行く。
私と高橋は、ツインルームであった。
基本的に引率者はこのような洋室で、修学旅行生達は一部を除いて和室らしい。
旅館棟という別棟があり、修学旅行生の殆どはそちらに泊まる。
リサ達もそうだ。
高橋「先生、このホテル、大浴場がありますよ?うへへへ……」
愛原「あー、俺はこっちの風呂に入る」
客室備え付けのバスルームがある。
ベタなビジネスホテルの法則通りの3点ユニット式だ。
高橋「何故ですか!?こっちの風呂は狭いですよ!?」
愛原「オマエと一緒に入ったら恥かくだけだ」
高橋「俺は先生を持ち上げてるだけですよ!?」
愛原「いや、あのな……」
高橋「引率者として、ヤンチャ連中がヤンチャしないよう見張るのが俺達PTAですよ!?」
愛原「う、うぬ……そう言われると……」
高橋「決まりですね!ヤンチャ連中は俺がボコしますから!」
愛原「いや、まずは口頭注意だろw」
高橋「あっ、そういえば先生……」
愛原「何だ?」
高橋「上野利恵からの電話って、何だったんですか?」
愛原「あー……そうだな……」
私は客室のドアに近づいた。
そして、ドアスコープから外を覗く。
何なら、部屋の外に出て、辺りを見回す。
夕食は19時からである。
夕食が終わったら、順次入浴などの自由時間ということになっている。
但し、基本的に外出は認められない。
飲み物はホテルの自販機で購入でき、それは利用して良い。
愛原「よし、リサはいないな。前にさ、利恵から秋田方面や京都方面には鬼の末裔の一族が住んでいるという話をされただろ?」
高橋「そんなこともありましたかね……」
愛原「どうも秋田県の、そちら側も修学旅行に来てるらしいんだな」
高橋「えっ?学校ごと鬼なんスか?」
愛原「いや、もちろん違うよ。その中の……1人なのか何人なのかは知らないが、とにかく鬼の末裔が含まれているらしい。もちろん普段はリサみたいに人間の姿をしているわけだし、リサみたいに生物兵器ウィルスでもって、そのように変化したわけじゃない。れっきとした鬼の末裔だ」
高橋「そいつがリサに襲い掛かるとでも?」
愛原「いや、分からん。向こうもリサも、普段は人間に化けているから、互いに気づかないかもしれないしな。ただ、一応頭の片隅にでも入れておけばいいってことなんじゃないかな?」
高橋「そうっスか……。ナマハゲの末裔ですかね?」
愛原「分からん。鉄道唱歌の常磐線編でも、『昔は鬼の住家とて、人の恐れし陸奥の……』という歌詞があるくらいだ。その中でも有名なのがナマハゲというだけで、それだけじゃないってことさ。岩手県の岩手の語源だって、『住民の悪鬼追討の祈りに対し、人々の信仰を集めて三ツ石さまと呼ばれていた大岩がそれを懲罰し、二度とこの地を荒らさないという鬼の確約を岩の上に手形で残させた』と言われてるくらいだからね」
高橋「さすが先生!博識っス!」
愛原「鬼化したリサをどうにかできないか、過去の鬼の伝説を調べたことがあったもんでね。とにかく、その秋田県から来ているという鬼の末裔がどんなヤツかは知らない。また1つ、警戒対象が増えたな」
高橋「望むところっス!」
実は他にもあるのだが、これ以上は私の中に留めておくとしよう。
高橋「でも、それだけなら、リサに聞かれてもいいんじゃ?」
愛原「いや、それはアレだよ。上野利恵から電話が来たってだけでもあいつ、相当嫌がるから」
高橋「それもそうっスね。でも、どうします?一応、警戒しろって言っておきます?」
愛原「いや、それは大丈夫だろう。あいつも普段は人間の姿だから、もし怪しまれても、シラを切り通せば何とか……」
高橋「なるほど」
[同日19時00分 天候:晴 同ホテル・夕食会場]
夕食会場に向かう。
坂上「えー、今日は小規模ながら、学校間交流と致しまして、沖縄中央学園那覇高校より、有志の方々にお越し頂きました」
坂上先生がマイクで進行する。
水色のワイシャツまたはブラウスに、ネイビーブルーのスカートやズボンという制服姿の男女が現れた。
東京中央学園のスクールカラーは緑だが、沖縄中央学園は青である。
リサ「おー!エレン!」
当然その中には、我那覇絵恋さんがいた。
我那覇絵恋「きょ、今日は東京から遥々お疲れさまです!今夜は私達、沖縄中央学園が皆さんの為に沖縄料理を用意しました!他にも差し入れがありますので、お受け取りください!」
夕食は定食形式であった。
どうやら沖縄中央学園の家政部や、その他、料理好きの生徒や学校関係者が作ったらしい。
高橋「先生、美味そうですけど、これ、前々から仕込まないとダメなヤツっスよね?」
愛原「学校間交流自体は計画されていたんだが、そこに絵恋さんを捻じ込むのが大変だった。あのコ、帰宅部なんだわ」
高橋「空手部じゃないんスか?」
愛原「今は大学受験に向けて集中しているらしく、特定の部活には入っていないそうだ」
高橋「マジですか……」
食べてみて思ったのは、昼食に食べた物よりも食べやすかったということ。
恐らく、味付けが違うのだろう。
絵恋「東京の人達の好みに合わせて、味付けを提案したのよ?」
と、エレンさんがリサ達に自慢している。
やっぱりそうだ。
リサ「もしかして、ラフテーが多めなのも?」
絵恋「リサさんの為……いやん

リサ「いい心掛けだ。後でわたしの部屋に来ていい」
絵恋「はーい!早速、お邪魔しまーす!」
愛原「キミは表向きには一般の宿泊者なんだから、就寝時間になったら、ちゃんと自分の部屋に戻らないとダメだよ?」
絵恋「分かってまーす!」
本当に分かっているのだろうか?
学校間交流で、沖縄中央学園生による沖縄料理を振る舞ってもらった以上、彼らが逆に東京に来た時は、こちらも何か振る舞わないとダメだということだな。
江戸前寿司とかは高いだろうしなぁ……。
かといって、某浅草の天ぷら屋に行ったら、やせ細ったエビ出して来やがったからダメだ。