報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「修学旅行初日の愛原達の動き」 4

2024-08-24 22:15:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月8日18時30分 天候:晴 沖縄県那覇市大道 沖縄ホテル・ホテル棟客室]

 
(画像は沖縄ホテル公式サイトより)

 修学旅行生達が部屋の中に入って行く。
 私と高橋は、ツインルームであった。
 基本的に引率者はこのような洋室で、修学旅行生達は一部を除いて和室らしい。
 旅館棟という別棟があり、修学旅行生の殆どはそちらに泊まる。
 リサ達もそうだ。

 高橋「先生、このホテル、大浴場がありますよ?うへへへ……」
 愛原「あー、俺はこっちの風呂に入る」

 客室備え付けのバスルームがある。
 ベタなビジネスホテルの法則通りの3点ユニット式だ。

 高橋「何故ですか!?こっちの風呂は狭いですよ!?」
 愛原「オマエと一緒に入ったら恥かくだけだ」
 高橋「俺は先生を持ち上げてるだけですよ!?」
 愛原「いや、あのな……」
 高橋「引率者として、ヤンチャ連中がヤンチャしないよう見張るのが俺達PTAですよ!?」
 愛原「う、うぬ……そう言われると……」
 高橋「決まりですね!ヤンチャ連中は俺がボコしますから!」
 愛原「いや、まずは口頭注意だろw」
 高橋「あっ、そういえば先生……」
 愛原「何だ?」
 高橋「上野利恵からの電話って、何だったんですか?」
 愛原「あー……そうだな……」

 私は客室のドアに近づいた。
 そして、ドアスコープから外を覗く。
 何なら、部屋の外に出て、辺りを見回す。
 夕食は19時からである。
 夕食が終わったら、順次入浴などの自由時間ということになっている。
 但し、基本的に外出は認められない。
 飲み物はホテルの自販機で購入でき、それは利用して良い。

 愛原「よし、リサはいないな。前にさ、利恵から秋田方面や京都方面には鬼の末裔の一族が住んでいるという話をされただろ?」
 高橋「そんなこともありましたかね……」
 愛原「どうも秋田県の、そちら側も修学旅行に来てるらしいんだな」
 高橋「えっ?学校ごと鬼なんスか?」
 愛原「いや、もちろん違うよ。その中の……1人なのか何人なのかは知らないが、とにかく鬼の末裔が含まれているらしい。もちろん普段はリサみたいに人間の姿をしているわけだし、リサみたいに生物兵器ウィルスでもって、そのように変化したわけじゃない。れっきとした鬼の末裔だ」
 高橋「そいつがリサに襲い掛かるとでも?」
 愛原「いや、分からん。向こうもリサも、普段は人間に化けているから、互いに気づかないかもしれないしな。ただ、一応頭の片隅にでも入れておけばいいってことなんじゃないかな?」
 高橋「そうっスか……。ナマハゲの末裔ですかね?」
 愛原「分からん。鉄道唱歌の常磐線編でも、『昔は鬼の住家とて、人の恐れし陸奥の……』という歌詞があるくらいだ。その中でも有名なのがナマハゲというだけで、それだけじゃないってことさ。岩手県の岩手の語源だって、『住民の悪鬼追討の祈りに対し、人々の信仰を集めて三ツ石さまと呼ばれていた大岩がそれを懲罰し、二度とこの地を荒らさないという鬼の確約を岩の上に手形で残させた』と言われてるくらいだからね」
 高橋「さすが先生!博識っス!」
 愛原「鬼化したリサをどうにかできないか、過去の鬼の伝説を調べたことがあったもんでね。とにかく、その秋田県から来ているという鬼の末裔がどんなヤツかは知らない。また1つ、警戒対象が増えたな」
 高橋「望むところっス!」

 実は他にもあるのだが、これ以上は私の中に留めておくとしよう。

 高橋「でも、それだけなら、リサに聞かれてもいいんじゃ?」
 愛原「いや、それはアレだよ。上野利恵から電話が来たってだけでもあいつ、相当嫌がるから」
 高橋「それもそうっスね。でも、どうします?一応、警戒しろって言っておきます?」
 愛原「いや、それは大丈夫だろう。あいつも普段は人間の姿だから、もし怪しまれても、シラを切り通せば何とか……」
 高橋「なるほど」

[同日19時00分 天候:晴 同ホテル・夕食会場]

 夕食会場に向かう。

 坂上「えー、今日は小規模ながら、学校間交流と致しまして、沖縄中央学園那覇高校より、有志の方々にお越し頂きました」

 坂上先生がマイクで進行する。
 水色のワイシャツまたはブラウスに、ネイビーブルーのスカートやズボンという制服姿の男女が現れた。
 東京中央学園のスクールカラーは緑だが、沖縄中央学園は青である。

 リサ「おー!エレン!」

 当然その中には、我那覇絵恋さんがいた。

 我那覇絵恋「きょ、今日は東京から遥々お疲れさまです!今夜は私達、沖縄中央学園が皆さんの為に沖縄料理を用意しました!他にも差し入れがありますので、お受け取りください!」

 夕食は定食形式であった。
 どうやら沖縄中央学園の家政部や、その他、料理好きの生徒や学校関係者が作ったらしい。

 高橋「先生、美味そうですけど、これ、前々から仕込まないとダメなヤツっスよね?」
 愛原「学校間交流自体は計画されていたんだが、そこに絵恋さんを捻じ込むのが大変だった。あのコ、帰宅部なんだわ」
 高橋「空手部じゃないんスか?」
 愛原「今は大学受験に向けて集中しているらしく、特定の部活には入っていないそうだ」
 高橋「マジですか……」

 食べてみて思ったのは、昼食に食べた物よりも食べやすかったということ。
 恐らく、味付けが違うのだろう。

 絵恋「東京の人達の好みに合わせて、味付けを提案したのよ?」

 と、エレンさんがリサ達に自慢している。
 やっぱりそうだ。

 リサ「もしかして、ラフテーが多めなのも?」
 絵恋「リサさんの為……いやん
 リサ「いい心掛けだ。後でわたしの部屋に来ていい」
 絵恋「はーい!早速、お邪魔しまーす!」
 愛原「キミは表向きには一般の宿泊者なんだから、就寝時間になったら、ちゃんと自分の部屋に戻らないとダメだよ?」
 絵恋「分かってまーす!」

 本当に分かっているのだろうか?
 学校間交流で、沖縄中央学園生による沖縄料理を振る舞ってもらった以上、彼らが逆に東京に来た時は、こちらも何か振る舞わないとダメだということだな。
 江戸前寿司とかは高いだろうしなぁ……。
 かといって、某浅草の天ぷら屋に行ったら、やせ細ったエビ出して来やがったからダメだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「修学旅行初日の愛原達の動き」 3

2024-08-24 11:56:58 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[5月8日17時00分 天候:晴 沖縄県糸満市 平和祈念公園→貸切バス車内]

 男子生徒A「海のバカヤロー!!」
 男子生徒B「受験が何だーっ!」
 男子生徒C「中間テストが何だーっ!」

 公園の展望台から海に向かって叫ぶ修学旅行生達。

 リサ「きゃーっ!突然の強い海風~先生!わたしのパンツ見たでしょ~
 愛原「いや、ブルマ穿いてんだろ」

 レイチェルも含めて、皆してお揃いの緑ブルマをスカートの下に穿いているのだった。
 そんなことあって、出発の時間になる。

 バスガイド「それでは皆様、お揃いになりましたので、出発致します。バスはこれより、皆様の宿泊先、那覇市内の沖縄ホテルへと参ります。沖縄ホテルまでの所要時間は、およそ1時間を予定しております。皆様、東京からはるばる長旅でお疲れでしょうから、どうぞ到着まで、ごゆっくりお寛ぎくださいませ」

 修学旅行生達を乗せた2台のバスは、平和祈念公園をあとにした。

 リサ「あー!久しぶりに広い所で走った!」
 愛原「それはそれは……」
 リサ「本当に沖縄に来ると、解放的になるねぇ!」
 愛原「そうだな」
 リサ「エレンも、肩出しの服とか、随分とラフな服を着るようになったみたいだし……」
 愛原「もう『御嬢様』ではないからな。まあ、パールから見れば『御嬢様』なんだろうが」
 リサ「うん」
 淀橋「リサー、斉藤……じゃなかった。エレンさんの歓迎会なんだけど……」
 リサ「しれっと今夜の夕食会に紛れ込ませるか」
 愛原「いや、堂々と入っていいことになった!これも姉妹校の1つ、沖縄中央学園との交流の一環だよ。……って、言っておくか」

 私は席を立つと、バスガイドに頼んで、マイクを貸してもらった。

 愛原「えー、皆さん、修学旅行初日お疲れさまです。PTA会長の愛原です。今夜の夕食はホテルの宴会場で皆さん食べて頂くわけですが、御存知の通り、この沖縄県の那覇市内には、東京中央学園の姉妹校である沖縄中央学園中学・高校があります。夕食会においては、そこの高等部の代表の方数名にお越し頂きます。皆さんに対する差し入れもありますので、ご期待ください」
 リサ「お兄ちゃん、その中にエレンもいるってこと?」
 高橋「そういうことだな。あのレズガキ1人だけ呼ぶのも怪しいだろ?だったらいっそのこと、そいつの友達も連れて来て、学校間交流ってことにしときゃ、上手く誤魔化せんだろって先生の名推理だ」
 リサ「それ、推理って言う?……でもまあ、そういうことか。……ん?それってもしかして、『魔王軍沖縄支部』?」
 高橋「知らねーよ」
 愛原「……えー、ここでリクエストにお応え致しまして、1番、愛原学、『ハイサイおじさん』歌います」
 男子生徒D「いよっ、待ってました!」
 男子生徒E「会長、頑張れー!」
 高橋「おい、オメーラ!拍手が足んねーぞ!!」
 リサ「えぇえぇえ!?」
 レイチェル「Oh...楽しそうデスね」

[5月8日18時00分 天候:晴 沖縄県那覇市大道 沖縄ホテル]

 バスガイド「皆様、本日はお疲れさまでした。バスは皆様の御宿泊先、沖縄ホテルに到着してございます。ドアが開くまで、今しばらくお席にてお待ちくださいませ」

 予定通り、1時間ほどで到着した。

 リサ「あー、疲れた。お腹空いたー」
 愛原「部屋に入ったら、すぐに夕食会の準備だろうな」

 そしてバスが止まり、ドアが開く。

 愛原「俺達は皆の忘れ物が無いかどうか確認してから降りるからな?」
 高橋「はい!」

 私は、まずはリサとレイチェルが座っていた席を確認した。

 愛原「ん?!」

 すると、そこにはある物が置いてあった。

 

 緑色のブルマ。
 どうやら、リサが穿いていたものらしい。
 あいつめ、いつの間に脱いだんだ?
 私がカラオケで盛り上がってる間だろうな。
 レイチェルは何して……ん!?

 

 レイチェルの席には、色合いが違うものの、同じ緑色のブルマが置かれていた。
 恐らく学校体育用に買ったものではなく、リサに唆されて購入したものだろう。
 一応、東京中央学園の校則として、スカートの下には下着の上に重ね穿きをしなければならないというものがある。
 大多数の生徒はスパッツを穿いているのだが、リサやそれ率いる『魔王軍』のメンバーはブルマである。
 ところが欧米人は、下着の上にオーバーパンツを穿く習慣は一般的ではない。
 レイチェルも、リサに唆されて購入したという経緯がある。
 とにかく、これは意図的だと思われるので、厳しく注意しておこう。

 愛原「オマエは修学旅行で何フザけたことしてんだーっ!」

 スパーン!(丸めた新聞紙『沖縄タイムス』でリサの後頭部を引っ叩く)

 リサ「あたぁ!?……だって暑いんだもん!」
 愛原「スカートの下にオーバーパンツを穿かないのは校則違反だ!」

 当初は体操服やオーバーパンツを『スパッツ』や『クォーターパンツ』としていた東京中央学園だが、リサ達『魔王軍』のブルマ復活運動により、それらの文言が削除された。
 つまり、『任意でブルマを穿いてもいい』という解釈ができるようになった。

 愛原「レイチェルも!」
 レイチェル「I’m Sorry!リサが、『こうすれば愛原センセイが喜ぶ』と言っていたもので……」
 リサ「あーっ!レイチェル!ヒトのせいにする!」
 淀橋「いや、ヒトじゃないでしょ」
 小島「さすがに、『バスの中で脱ぐのはマズい』とは言っておきましたからね」
 坂上「後で反省文書かせますので」
 愛原「お願いします」
 倉田「あなた達!校則違反は反省文ですからね!」
 リサ「へーい……」
 レイチェル「Yes,sir.」

 何はともあれ、取りあえずホテルの中に……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする