[5月4日10:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 台原森林公園イベント特設会場]
敷島峰雄:「よお。遊びに来たぞー」
敷島孝夫:「何ゴルフ行くような恰好で来てんスか」
峰雄:「ゴルフ行くついでなんだからしょうがない」
孝夫:「本社の役員さんは羨ましいですなぁ」
峰雄:「何言ってる。お前も本社の役員に名前があるだろうが」
孝夫:「名ばかりですよ。それより、今回は観ない方がよろしいかと」
峰雄:「“初音ミクのシンデレラ”は大好評だった。期待を持つのは当然じゃないか」
孝夫:「前回はちゃんとした脚本家さんに脚本をお願いして、準備も万端だったから良かったようなものの、今度はボカロ達の自演乙ですよ?」
峰雄:「刷り上がったパンフレットを見る限り、面白い流れになるように感じたがね?」
孝夫:「まあ、それは『パッケージ詐欺』と言いますかぁ……」
峰雄:「は?……コホン。因みに午後の部には、俊介も来るからよろしく」
孝夫:「マジっスか!」
峰雄:「この演劇が期待通りのものだったら、四季劇場での公演を前向きに考えよう」
孝夫:「じゃあ、期待しない方がいいな」
峰雄:「孝夫は随分と今回は自信が無いようだが、リハーサルを観たのかね?」
孝夫:「いや、今回はぶっつけ本番です。何かメチャクチャになるような感じだったんで、途中で公演中止命令を出すかもしれません」
客席最後列に座る敷島家の2人。
孝夫の手元にはロイド達の動きを制御する端末(子機。親機は敷島エージェンシーの社長室内にある)がしっかり握られていた。
と、そこへ最古参ボーカロイドのMEIKOがステージに現れた。
MEIKO:「会場の皆さん、おはようございます。本日は敷島エージェンシー特別公演、“季節外れのマッチ売りの少女”にお越し頂き、真にありがとうございます。私、本イベントの進行を務めさせて頂きますMEIKOと申します。どうかよろしくお願い致します」
峰雄:「遠くから見る限り、人間と変わらんな」
孝夫:「それがロイドの最大の特徴です」
暗い所で見れば体のあちこちで電源ランプなどの小さな光が漏れているので、それで人間と見分けがつく。
峰雄:「それにしても“マッチ売りの少女”は、夜だろう?こんな明るい所の、それも野外会場で行うというのは如何なものかね?」
孝夫:「その理由、終盤になれば分かりますよ」
峰雄:「ええっ?」
こうして、物語が始まった。
ナレーター(初音ミク):「それはそれはとても寒い夜のこと、1人の少女が街角でマッチを売っていました」
峰雄:「おい、トップアイドルにナレーターさせてるのか?」
孝夫:「配役上、ミクに適役のキャラが無かったんですよー」
マッチ売りの少女(鏡音リン):「マッチ。マッチ。マッチは要りませんかー?」
ナレーター:「しかし、家路を急ぐ人達は誰もマッチを買ってくれません」
少女:「ダメ……。誰も買ってくれない……。どうしよう……」
ナレーター:「と、そこへ笠売りのお爺さんが現れました」
笠売りの爺さん(鏡音レン):「お嬢ちゃん、笠は要らんかえ?」
孝夫:「えっ!?」
峰雄:「おい、何か『まんが日本昔話』みたいなのが混ざって来たぞ?どうなってる?」
孝夫:「え、ええと……」
爺さん:「これは病気の婆さんが夜なべして作った丈夫な笠じゃ。要らんかえ?」
少女:「お金が無いの……」
爺さん:「大丈夫かい?」
少女:「寒い……」
爺さん:「あい分かった。それでは、これを燃やして温まろう」
峰雄:「燃やすんだ!?」
孝夫:「お婆さんがせっかく作ったのに!?」
人間の苦労、ロイド知らず。
で、少女(リン)はバスケットに入ったマッチを取り出し、本当に着火した。
孝夫:「本当に火ィ着けてるし!?」
峰雄:「防火は大丈夫なのかね!?」
孝夫:「ぼ、ボーカ(防火)ロイドですから」
峰雄:「こらっ!」
ナレーター:「何ということでしょう。笠が小爆発を起こすと、煙の中から怪しい男が現れたではありませんか。それはまるで、悪魔のような姿でした」
悪魔(KAITO):「この私を呼んだのは貴様らか?」
少女:「だ、誰!?」
悪魔:「お前達は選ばれた。末法の世に蔓延る濁悪を祓いし魔女っ娘に!」
孝夫:「な、何だこの流れ?」
峰雄:( ゚д゚)ポカーン
悪魔:「受け入れよ!我が悪しき力を!」
少女:「うん、分かったっ!」
孝夫:「即答かよ!?」
悪魔:「良い覚悟だ。それでは……」
爺さん:「お、お待ちくだせぇ!ワシも一緒に、魔女っ娘にしてくだせぇ!」
悪魔:「ほお?何ゆえ貴様も魔女っ娘に?」
爺さん:「魔法の力を手に入れ、悪どいことをしてお金を稼ぐんじゃ!」
孝夫&峰雄:「魔法で治そうとは思わないんだ!?」
ロイドと人間の感覚はまだズレているようだ。
悪魔:「自らの三毒ぶりを臆面も無く曝け出すとは……。いいだろう、それこそ人間だ。それでは……パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!」
ナレーター:「何ということでしょう。悪魔の前に大きな光の玉が現れ、それが見る見る魔法のステッキに変わったではありませんか」
悪魔:「しかし残念だ。魔力を行使する杖は一本しか無い。戦って勝った方が杖を手にしろ。さあ、戦え!流血の惨を見る事、必至であれ!!」
???:「ちょおおおおおっと待ったぁぁぁぁぁっ!!」
悪魔:「ぬ!?」
舞台袖から突如として現れたのは、妖精の恰好をした巡音ルカ。
妖精(巡音ルカ):「私は魔法の妖精!皆!こんな怪しい男の言う事に従ってはダメだよ!」
着地した際、ルカの巨乳(90cm)がボインと揺れる。
観客の男性衆、うんうんと頷く。
悪魔:「貴様は何者だ!?」
妖精:「人々の心を弄ぶなんて許せない!たぁーっ!!」
妖精、手持ちの杖を悪魔に振り上げる。
それを迎え打つ悪魔。
杖が交差して、激しい火花を散らせる。
妖精:「ここは私に任せて、キミ達は先に行って!」
少女:「あなたを置いてなんて行けない」
爺さん:「んだんだ!」
妖精:「ありがとう……。キミ達と一緒にいた時間……忘れないよ……」
孝夫:「1分も経ってねーぞ、おい!」
悪魔と妖精の下からボンッと煙幕が上がる。
その煙幕に乗じて、悪魔と妖精は舞台袖に急いで引き上げる。
爺さん:「い、一体、何だったと言うんじゃ……?」
少女:「2人とも消えちゃった……」
途方に暮れる少女と爺さん。
足元には悪魔が遺して行った魔女っ娘用のステッキだけが落ちている。
ナレーター:「この2人は一体どうしたら良いのでしょうか。次回に続きます!」
峰雄:「前後半分けかね!?」
孝夫:「字数の都合らしいですね」
敷島峰雄:「よお。遊びに来たぞー」
敷島孝夫:「何ゴルフ行くような恰好で来てんスか」
峰雄:「ゴルフ行くついでなんだからしょうがない」
孝夫:「本社の役員さんは羨ましいですなぁ」
峰雄:「何言ってる。お前も本社の役員に名前があるだろうが」
孝夫:「名ばかりですよ。それより、今回は観ない方がよろしいかと」
峰雄:「“初音ミクのシンデレラ”は大好評だった。期待を持つのは当然じゃないか」
孝夫:「前回はちゃんとした脚本家さんに脚本をお願いして、準備も万端だったから良かったようなものの、今度はボカロ達の自演乙ですよ?」
峰雄:「刷り上がったパンフレットを見る限り、面白い流れになるように感じたがね?」
孝夫:「まあ、それは『パッケージ詐欺』と言いますかぁ……」
峰雄:「は?……コホン。因みに午後の部には、俊介も来るからよろしく」
孝夫:「マジっスか!」
峰雄:「この演劇が期待通りのものだったら、四季劇場での公演を前向きに考えよう」
孝夫:「じゃあ、期待しない方がいいな」
峰雄:「孝夫は随分と今回は自信が無いようだが、リハーサルを観たのかね?」
孝夫:「いや、今回はぶっつけ本番です。何かメチャクチャになるような感じだったんで、途中で公演中止命令を出すかもしれません」
客席最後列に座る敷島家の2人。
孝夫の手元にはロイド達の動きを制御する端末(子機。親機は敷島エージェンシーの社長室内にある)がしっかり握られていた。
と、そこへ最古参ボーカロイドのMEIKOがステージに現れた。
MEIKO:「会場の皆さん、おはようございます。本日は敷島エージェンシー特別公演、“季節外れのマッチ売りの少女”にお越し頂き、真にありがとうございます。私、本イベントの進行を務めさせて頂きますMEIKOと申します。どうかよろしくお願い致します」
峰雄:「遠くから見る限り、人間と変わらんな」
孝夫:「それがロイドの最大の特徴です」
暗い所で見れば体のあちこちで電源ランプなどの小さな光が漏れているので、それで人間と見分けがつく。
峰雄:「それにしても“マッチ売りの少女”は、夜だろう?こんな明るい所の、それも野外会場で行うというのは如何なものかね?」
孝夫:「その理由、終盤になれば分かりますよ」
峰雄:「ええっ?」
こうして、物語が始まった。
ナレーター(初音ミク):「それはそれはとても寒い夜のこと、1人の少女が街角でマッチを売っていました」
峰雄:「おい、トップアイドルにナレーターさせてるのか?」
孝夫:「配役上、ミクに適役のキャラが無かったんですよー」
マッチ売りの少女(鏡音リン):「マッチ。マッチ。マッチは要りませんかー?」
ナレーター:「しかし、家路を急ぐ人達は誰もマッチを買ってくれません」
少女:「ダメ……。誰も買ってくれない……。どうしよう……」
ナレーター:「と、そこへ笠売りのお爺さんが現れました」
笠売りの爺さん(鏡音レン):「お嬢ちゃん、笠は要らんかえ?」
孝夫:「えっ!?」
峰雄:「おい、何か『まんが日本昔話』みたいなのが混ざって来たぞ?どうなってる?」
孝夫:「え、ええと……」
爺さん:「これは病気の婆さんが夜なべして作った丈夫な笠じゃ。要らんかえ?」
少女:「お金が無いの……」
爺さん:「大丈夫かい?」
少女:「寒い……」
爺さん:「あい分かった。それでは、これを燃やして温まろう」
峰雄:「燃やすんだ!?」
孝夫:「お婆さんがせっかく作ったのに!?」
人間の苦労、ロイド知らず。
で、少女(リン)はバスケットに入ったマッチを取り出し、本当に着火した。
孝夫:「本当に火ィ着けてるし!?」
峰雄:「防火は大丈夫なのかね!?」
孝夫:「ぼ、ボーカ(防火)ロイドですから」
峰雄:「こらっ!」
ナレーター:「何ということでしょう。笠が小爆発を起こすと、煙の中から怪しい男が現れたではありませんか。それはまるで、悪魔のような姿でした」
悪魔(KAITO):「この私を呼んだのは貴様らか?」
少女:「だ、誰!?」
悪魔:「お前達は選ばれた。末法の世に蔓延る濁悪を祓いし魔女っ娘に!」
孝夫:「な、何だこの流れ?」
峰雄:( ゚д゚)ポカーン
悪魔:「受け入れよ!我が悪しき力を!」
少女:「うん、分かったっ!」
孝夫:「即答かよ!?」
悪魔:「良い覚悟だ。それでは……」
爺さん:「お、お待ちくだせぇ!ワシも一緒に、魔女っ娘にしてくだせぇ!」
悪魔:「ほお?何ゆえ貴様も魔女っ娘に?」
爺さん:「魔法の力を手に入れ、悪どいことをしてお金を稼ぐんじゃ!」
孝夫&峰雄:「魔法で治そうとは思わないんだ!?」
ロイドと人間の感覚はまだズレているようだ。
悪魔:「自らの三毒ぶりを臆面も無く曝け出すとは……。いいだろう、それこそ人間だ。それでは……パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!」
ナレーター:「何ということでしょう。悪魔の前に大きな光の玉が現れ、それが見る見る魔法のステッキに変わったではありませんか」
悪魔:「しかし残念だ。魔力を行使する杖は一本しか無い。戦って勝った方が杖を手にしろ。さあ、戦え!流血の惨を見る事、必至であれ!!」
???:「ちょおおおおおっと待ったぁぁぁぁぁっ!!」
悪魔:「ぬ!?」
舞台袖から突如として現れたのは、妖精の恰好をした巡音ルカ。
妖精(巡音ルカ):「私は魔法の妖精!皆!こんな怪しい男の言う事に従ってはダメだよ!」
着地した際、ルカの巨乳(90cm)がボインと揺れる。
観客の男性衆、うんうんと頷く。
悪魔:「貴様は何者だ!?」
妖精:「人々の心を弄ぶなんて許せない!たぁーっ!!」
妖精、手持ちの杖を悪魔に振り上げる。
それを迎え打つ悪魔。
杖が交差して、激しい火花を散らせる。
妖精:「ここは私に任せて、キミ達は先に行って!」
少女:「あなたを置いてなんて行けない」
爺さん:「んだんだ!」
妖精:「ありがとう……。キミ達と一緒にいた時間……忘れないよ……」
孝夫:「1分も経ってねーぞ、おい!」
悪魔と妖精の下からボンッと煙幕が上がる。
その煙幕に乗じて、悪魔と妖精は舞台袖に急いで引き上げる。
爺さん:「い、一体、何だったと言うんじゃ……?」
少女:「2人とも消えちゃった……」
途方に暮れる少女と爺さん。
足元には悪魔が遺して行った魔女っ娘用のステッキだけが落ちている。
ナレーター:「この2人は一体どうしたら良いのでしょうか。次回に続きます!」
峰雄:「前後半分けかね!?」
孝夫:「字数の都合らしいですね」
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