報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「レベルアップ!ときめいて」

2024-07-26 20:34:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月23日11時11分 天候:曇 東京都千代田区外神田 JR秋葉原駅→ドン・キホーテ秋葉原店]

〔あきはばら~、秋葉原~。ご乗車、ありがとうございます。次は、御徒町に、停車します〕

 

 リサ達を乗せた電車は、秋葉原駅に到着した。
 日曜日の秋葉原駅は賑わっている。

 リサ「電車の窓から『すけべぇ』なお店の看板が見えたよ?」
 愛原「行きません!」
 リサ「でも先生、好きでしょ?」
 愛原「リサは18歳未満だからダメ!」

 果たして、リサは何の事を言っているのだろう?

 愛原「俺達が行くのはドンキだろう!」
 リサ「そうでした」

 電車を降りて、電気街口から駅を出る。

 愛原「日曜日だから人が多いな。リサ、はぐれるなよ?」
 リサ「離れないで♪出しかけた手を♪ポケットに入れて~♪握りしめていた~♪」
 愛原「じゃあ、手ェ繋がなくていいってことだな。バイバイ」
 リサ「ノー!ノー!ノー!」

 リサは慌てて愛原の手を掴んだ。

 愛原「懐かしい歌、よく知ってるな?」
 リサ「先生のお父さんが、『昔、パチンコで打ったことがある』って言ってた」
 愛原「そ、そういや、俺が子供の頃、うちの父親、よくパチンコ行ってたっけな……」
 リサ「先生のパチンコ好きはそこから?」
 愛原「……かもしれない」

 それから中央通りを進む。

 愛原「ここだな」
 リサ「ここなんだぁ……」
 愛原「そうだよ」

 深夜営業で有名なドンキだが、秋葉原店は24時間営業である。

 リサ「地下にパチンコ屋がある」
 愛原「だから行かないってw それより、早いとこ買い物するんだろ?行くぞ」
 リサ「ヘイヘイ♪」

 店内に入ると、エスカレーターで上階に向かう。
 そこでリサが向かったのは……。

 リサ「最近、胸が大きくなってきてねぇ……」
 愛原「新しい下着か」

 元々、平均よりサイズが小さかったリサのこと、大きくなったと言っても、所詮それは日本人の高校3年生女子の平均に近づいたという意味であり……。

 リサ「だしゃあっ!」

 雲羽「けして巨乳になったというわけでは……ぎゃあああああ!!」

 バリバリバリバリバリバリ

 多摩「わーっ!大丈夫かーっ!?雲羽ーっ!カット!カット!何してるの!?」
 リサ「貧乳って言った!このクソ監督!」
 多摩「貧乳とは言ってないだろ!どうすんだよ!?ナレーターの雲羽に電撃食らわして!?」
 雲羽「お、俺は負けん……!」
 多摩「おおっ!さすがは作者兼監督!」
 雲羽「と、撮り直しだ……!行くぞ……!」
 AD「テイク2いきまーす!5……4……3……2……!」

 カチン🎬

 リサ「最近、胸が大きくなってきてねぇ……」
 愛原「新しい下着か」

 (放送事故防止の為、この部分のナレーションはカット)

 リサ「えーと……」
 愛原「スポプラじゃん。……パンツも?」
 リサ「体育用に着るヤツと、あと、そろそろ暑くなるから、家用と……」
 愛原「暑いからって、家でも服は着ろよ?」
 リサ「スポーツ系なら、そこまで恥ずかしくなくない?」
 愛原「オマエはそれでいいんだろうが、その恰好のまま2階の事務所に下りて来られても困るからな?」
 リサ「分かってるよ。家では、体操服とブルマは着ておくよ」
 愛原「ああ……まあ、それなら……って、それでも事務所に下りてきちゃダメだ!」
 リサ「えー……メンド臭い」
 愛原「最低限、フツーの服は着用するように」
 リサ「しょうがない。じゃあ、そのフツーの服、買ってよ?ここで売ってるヤツでいいからさ」
 愛原「分かったよ。まあ、ドンキで売ってるだけあって、そんなに高くないからな」
 リサ「でしょ?でしょ?先生は何か買わないの?」
 愛原「私服はユニクロで買っちゃうからなぁ……」

 そこで愛原が目を付けたのは……。

 愛原「酒かな?」
 リサ「ドンキでお酒売ってるんだねぇ……」
 愛原「売ってるよ。何なら、リサが買った服にもドンキブランドのヤツがあるのと同様、酒にもドンキブランドがある」
 リサ「ほおほお……。じゃあ、わたしも一杯」
 愛原「お前は“鬼ころし”で我慢しろ」
 リサ「えー……」

 買い物が終わると……。

 愛原「上にゲーセンがあるから、ちょっと行ってみるか?」
 リサ「行くー!」

[同日13時00分 天候:曇 同地区内 家系ラーメン武将家]

 愛原「ちょ、ちょっと荷物多くなったな……」
 リサ「まさか、先生がドンペンのぬいぐるみ取ってくれるなんて!」
 愛原「まさかの偶然だよ。ハハハ……」
 リサ「そろそろお昼にしよう!ラーメンでしょ!?」
 愛原「ああ。そこの家系にしよう」
 リサ「家系!お兄ちゃんが好きなヤツ!」
 愛原「あいつは、ラーメンなら何でも食うだろw」

 お昼のピークは過ぎているはずだが、まだ混雑していて並んでいる。

 愛原「リサはチャーシュー麺かな?」
 リサ「そう!」
 愛原「分かった」

 順番が回ってきて、カウンター席に並び、食券を店員に渡す。

 愛原「家系ラーメンは、ネギが入ってないことが多いんだ。その代わり、ほうれん草が入ってる」
 リサ「先生には食べやすいってこと?」
 愛原「ま、まあな」

 愛原はネギが苦手。
 注文したラーメンが運ばれてくるが、リサはそれをガバガバ食べた。

 愛原「人間の食べ物なのに、ガバガバ食うなぁ……」
 リサ「ここは大きな救いだよね。BOWは大体にして、もう人間の食べ物が受け付けなくなる」
 愛原「それもそうだな」

 逆を言えば、リサが人の血肉しか受け付けなくなったら、殺処分とまではいかなくても、捕獲の対象にはされる。
 その為、愛原がデイライトより毎日作成を義務付けられている報告書には、リサが朝食・昼食・夕食に何を食べたかを記載する欄がある。
 学食など、リサが1人で外食した場合には、リサからの報告を記載している。
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“愛原リサの日常” 「花のチャイクエ音頭」

2024-07-25 20:50:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月23日10時48分 天候:曇 東京都港区新橋 都営バス新橋バス停→JR新橋駅]

 リサと愛原を乗せたバスは、新橋バス停の降車場に到着した。
 ここで乗客達を降ろしたバスはその後、乗車場へと移動して折り返し運転を行う。
 リサは愛原と共に、中扉からバスを降りた。

 愛原「じゃあ、早速制服を回収しようか」
 リサ「うっス!」

 リサは愛原と腕を組んだ。

 愛原「何か、パパ活みたいだな……」
 リサ「違法なパパ活と違って、わたし達のは合法だよ」
 愛原「何で?」
 リサ「わたしは人間じゃないから、法律が適用されないw」
 愛原「オマエ、最早それ自虐ネタにしてるな」

 法律が適用されないということは、人権が無いから、いきなり射殺されても文句は言えないということなのだが。

 愛原「えーと……あのコインロッカーだ」

 横断歩道を渡ってJR新橋駅構内に入り、改札口外側に件のコインロッカーはあった。
 従来の鍵式ではなく、Suica対応式である。
 愛原はスマホを取り出すと、それで善場から送られてきたメールを確認した。
 そこにコインロッカーを開ける暗証番号が書かれているからだ。

 愛原「あ、そうか!」
 リサ「なに?」
 愛原「善場係長がリサの制服をロッカーに入れたのは昨日だ。昨日は昨日で係長が料金を支払ったんだろうが、今日の分の料金が掛かっているんだ」
 リサ「どうするの?」
 愛原「今日の分は俺が払うよ。これも、手間賃だ」

 愛原が料金を払うと、制服の入っているロッカーのロックが解除される。

 愛原「よし、開いたぞ!」
 リサ「おー!」

 リサがロッカーの扉を開けると、そこには白1色の大きめの紙袋が入っていた。
 口は同じ色の布テープで閉じられている。
 納品書みたいなのが表面に貼られており、そこには制服メーカーや取扱店の名前の他、受取者が『NPO法人デイライト東京事務所ご担当者様』となっていた。
 それは善場係長の事で、そこから最終的にようやく着用者のリサが受け取るというわけだ。

 愛原「これは大事な物だ。ちゃんと持ってろよ」
 リサ「もちろん!」

 リサは紙袋を持った。

 リサ「この後はどうするの?」
 愛原「俺はフツーに昼飯食って帰るだけだと思ってるけど、リサはどこ行きたい?」
 リサ「買い物があるからぁ……」
 愛原「どこの店がいいんだ?」
 リサ「特に、お店に拘りは無いよ。先生は本当に無いの?」
 愛原「まあ、色々覗いて行くか。となると、土地勘のあるアキバか……」
 リサ「よし!そこに移動しよう!」
 愛原「何か、元気だな」

 リサは改札口に入ろうとした。

 愛原「あ、ちょっと待った!」
 リサ「ん?」
 愛原「オマエの分のキップも買ってやるよ」
 リサ「別にいいよ、それくらい」
 愛原「そ、そう?」
 リサ「チャージはしてもらってるし」
 愛原「そ、そうか。そうだな……」

 というわけで、改めて改札の中に入った。

[同日11時03分 天候:曇 JR新橋駅・地上ホーム→山手線1074G電車・最後尾車内]

〔まもなく、6番線を、電車が、通過致します。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。京浜東北線の、快速電車は、当駅には、停車致しません。山手線の、電車を、ご利用ください〕

 パァァンと電子音の警笛を鳴らして、京浜東北線の電車が通過して行く。
 駅のトイレを利用した後、リサ達は山手線のホームに上がった。

〔まもなく、5番線に、東京、上野方面行きが、参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。次は、有楽町に、停車します〕

 山手線は終日各駅停車。
 11両編成の電車がやってくる。

〔しんばし~、新橋~。ご乗車、ありがとうございます。次は、有楽町に、停車します〕

 電車に乗り込むと、2人は開いている座席に隣同士で座った。
 発車メロディがホームに鳴り響く。
 かなり昔から使用されているもので、どちらかというと常磐線などの中距離電車のホームで使われていそうなタイプ。
 恐らく山手線では、この駅でしか使用されていないのではないか。

〔5番線の、山手線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車のドアが閉まる。
 駆け込み乗車があったが、ホームドアはともかく、車両のドアが再開閉した。
 ようやく閉まり切ると、電車が発車した。

〔次は有楽町、有楽町。お出口は、左側です。地下鉄有楽町線と、地下鉄日比谷線はお乗り換えです〕

 愛原「そういえば、アキバにドンキがあったな……」
 リサ「そこなら、色々買えそうだね」
 愛原「そうだな……」

 相変わらず、空は曇っている。
 雨が降りそうな気もするが、ドアの上にあるディスプレイにちょうど表示された天気予報によると、東京は今日1日ずっと曇。
 降水確率は午前・午後とも30%という、正に降るんだか降らないんだか微妙な天気である。

 リサ「お昼はどこで食べる?」
 愛原「俺はラーメンでも食べたい気分なんだが……」
 リサ「いいよ!ラーメンにしよう!」
 愛原「そうなのか。若いから、マックの方がいいのかなと思ってね」
 リサ「マックは、ヨドバシやレイチェルと一緒の時に食べてるからねぇ……」
 愛原「あ、やっぱりそうなんだ」
 リサ「今日は愛原先生とデートの日なんだから、『魔王軍』の事は一旦置いとくよ」
 愛原「はは、そうか……」

 と、そこへリサのスマホにLINEの着信音が鳴る。
 どうやら、言ったそばから『魔王軍のグループLINE』に着信があったようだ。

 リサ「ヨドバシからだ。『2年7組の庄子、貸した2000円まだ返せないって言ってますけど?』だって」
 愛原「おいおい、金の貸し借りは……」
 リサ「このアホ、財布忘れたりするからだよ。『月曜までに返せないようだったら、授業中公開お漏らしの刑だと言っとけ』と……」
 愛原「何が、『魔王軍のことは一旦置いとく』だ。しっかり魔王様やってんじゃねーかw」

 愛原はそうツッコミを入れた。

 愛原「もしかしたら、月曜日は休校になるかもしれんぞ?」
 リサ「えっ!?」
 愛原「まだ、モールデッド事件のゴタゴタが鎮まってない」
 リサ「たかだか体育館に立てこもったモールデッド1匹でしょ?」
 愛原「それはもうBSAAが掃討したんだが、実際には数匹のモールデッドが現れただろ?そいつらが撒き散らした黒カビ汚染が深刻でな。上の宿泊施設だけじゃなく、体育館全体を消毒しないといけなくなったようだ」
 リサ「でも、体育館だけだよね?」
 愛原「だから。今日中に職員会で、明日どうするか会議しているらしい」
 リサ「ふーん……。わたしは別に平気なんだけどなぁ……」
 愛原「そりゃオマエはなw」
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“愛原リサの日常” 「今日は都心へ」

2024-07-25 15:05:31 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月23日09時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 リサ「おはよう……」

 日曜日の朝、どんよりと曇った空。
 そんな中、リサは4階の部屋から降りて来た。
 今度は変な夢を見ることはなかったが。

 高橋「起きたか。さっさと朝飯食っちまえ」
 リサ「んー」

 3階の浴室の脱衣所からは、洗濯機の音がする。
 この場にパールがいないところをみると、洗濯をしているのだろう。
 高橋がサンドイッチを作っていた。

 

 リサ「先生は?」
 高橋「今、お手洗いだ」

 しばらくすると、3階のトイレから愛原が戻って来た。

 愛原「おはよう」
 高橋「おはようございます!先生、朝食をどうぞ!」
 愛原「ありがとう。早速頂くよ。……おや、リサ?オマエは食べないのか?」

 目の前に、自分の使用済みブラウスでオ○ニーしたダーリンがいる。
 そう思うと、リサは愛原を直視できなかった。

 リサ「た、食べる!」

 リサは目の前のサンドイッチにがっついた。

 リサ「ぱ、パールは今、洗濯してるんだよね!?」
 高橋「ああ。それがどうした?オメーもたまには手伝え」
 リサ「わ、分かってるよ!」
 愛原「もしかして、ポケットの中に何か入れっ放しだったとか?」
 リサ「そ、そうじゃなくて……」

 すると、洗濯機の方から……。

 パール「愛原先生、ちょっと宜しいですかー?」

 と、パールが愛原を呼ぶ声が聞こえた。

 愛原「って、いっけね!俺がズボンのポケットに小銭入れっぱだった!」
 高橋「はあ……」

 愛原は慌てて席を立つと、洗濯機の方に走って行った。

 高橋「で、オメーは何なんだ?」
 リサ「いや、昨日の戦いで、ブラウスが臭ってたから、大丈夫かなぁと思って……」
 高橋「パールが何も言ってこないってことは、大丈夫ってこったろ」
 リサ「そ、そうか。い、いやね、わたしの体臭が気になるみたいで……」
 高橋「肉の食い過ぎだ、オメーは!」
 リサ「そ、そうだね。う、うん……」

 リサは笑って取り繕った。

 高橋「今日は夕飯の手伝いしろよ?」
 リサ「分かったよ」

 愛原が戻った。

 愛原「いやあ、参った参った」
 高橋「大丈夫っスか?パールのヤツ、オーリョーしてませんでしたか?」
 愛原「いや、大丈夫。それに、ズボンの小銭くらい横領されてもしょうがない」
 リサ「いくら入れてたの?」
 愛原「銀行に行って両替してた500円玉の束の一部だよ。指導する立場の俺が、何とも情けない」
 高橋「人間、誰しも間違いはありますよ」
 リサ「そ、そうだよね。だから、わたしが間違って人食いしても……」
 高橋「オメーは人間じゃねーんだから、許されるわけねーべよ!!」
 愛原「そこは絶対に気をつけてね?」
 リサ「はーい……」
 愛原「というわけで、口止め料」
 高橋「えっ?」

 愛原は高橋とリサに、ピカピカの真新しい500円硬貨を1枚ずつ渡した。

 愛原「因みに3枚入ってたから。1枚はパールにあげた」
 高橋「いいんスか?」
 愛原「だから、この事は内緒な?」
 リサ「これでタバコでも買いなよってこと」
 高橋「な、なるほど……」
 愛原「今日はリサと出かけるから、昼は要らないよ。昼は2人で適当に食ってて」
 高橋「分かりました」
 愛原「夕飯までには帰るから」
 リサ「お兄ちゃんに、夕食作るの手伝えって言われた」
 愛原「そうか。因みに夕飯は?」
 高橋「カレーにしようかと。余れば、月曜日も朝カレーできます」
 愛原「分かった。それじゃ、それまでに帰るようにするよ」
 高橋「お願いします」

 リサから見て、今の愛原は普通だった。

 リサ(なるほど……。そうか)

 リサは中等部からも含めて6年近くの学校生活の中、変わった光景を見ることもあった。
 校内でオ○ニーしている男子生徒を見たこともある。
 終わった後、何食わぬ顔して教室に戻っていたのが印象的だった。

 リサ(あれと同じか……)

 さすがのリサも、学校でオ○ニーはしたことはないが、家ではよくする。
 イッた後は、しばらく余韻に浸って動けないことも多々ある。

 愛原「今日のリサは、随分ボーッとしてるな?体の具合が悪いのか?」
 リサ「い、いや、そんなことないよ。まだ、目が覚めてないだけ」
 愛原「飲み物、ジュースじゃなくて、コーヒーにするか?」
 リサ「そ、そうだね」
 愛原「高橋、リサにもコーヒー淹れてやってくれ」
 高橋「ハイ。思いっ切り濃い目にしますか?」
 リサ「ふ、フツーでいいよ!」

 辛党のリサだが、別にコーヒーはビター派というわけでもない。
 というか、そもそもコーヒー自体、嫌いというわけではないが、愛原のように大好きというわけでもない。

[同日10時03分 天候:曇 同地区内 菊川駅前バス停→都営バス業11系統車内]

 出かける前、リサは体操服とブルマから別の服に着替えた。
 今日は少し趣向を変えて、制服風のスタイルにした。
 ブラウスの上にニットのベストを着用し、首にはリボンを着けて、下はチェック柄のプリーツスカート。
 上着はブレザーではなく、フード付きのパーカーを羽織っている。

 愛原「今日はいつもと少し違う服だな?」
 リサ「前に、ヨドバシ達と買い物に行った時に買った服」
 愛原「殆ど制服だな、それは」
 リサ「ねー?」

 これを着た目的は、他にある。
 ブラウスの下には、ブラジャーしか着けていない。
 もしもこれにまた自分の体臭を着ければ、愛原が夜中に発情してくれるかもしれない。
 その時、自分がそこに飛び込めば……。
 リサはニッと笑った。

 愛原「おっ、バスが来た。行きはあれに乗って行くぞ」
 リサ「分かった」

 家の近所のバス停でバスを待っていると、ちょうど新橋行きのバスがやってきた。
 前扉からバスに乗り込む。

 愛原「大人2名で」
 運転手「はい。……どうぞ」

 今日は愛原が連れて行くからと、バス代は愛原が出してくれた。
 後ろの方の空いている2人席に座る。
 観光地のスカイツリーの方に行くバスは賑わっていたが、逆に都心の方に行くこっち側の方が少し客は少ない。
 本当に新橋まで急ぎで行くなら、1回の乗り継ぎはあっても、電車の方が早いからである。

〔発車致します。お掴まり下さい〕

 バスは折り戸式の前扉と、引き戸式の中扉を閉めると発車した。
 まずは三ツ目通りを南下する。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは東京都現代美術館前、豊洲駅前、勝どき橋南詰経由、新橋行きでございます。次は森下五丁目、森下五丁目でございます〕

 リサ「帰りは違うルートなの?」
 愛原「リサも買い物したいって言ってただろ?付き合うよ」
 リサ「! ありがとう!」
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“愛原リサの日常” 「深夜の探偵達」

2024-07-23 20:38:54 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月22日21時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階・浴室]

 リサは風呂に入ろうとしていた。
 着替えの下着と体操服とブルマなどを持って脱衣所に入る。
 そこで服を脱いで、自分用の脱衣カゴの中にそれを入れる。
 そこには既に着ていた服が入っており、具体的には昼間に着ていた制服のブラウスと下着。
 ブラウスこそモールデッドとの戦闘の際に汚れはしなかったものの、戦闘中にかいた変な汗を吸って、異臭が漂っていた。
 下着はともかく、ブラウスもクリーニングに出した方が良かったのでは思ったのだが、パールが、それくらい洗濯機で落ちるという。
 さすがは、斉藤家のメイド。
 イギリスのヴィクトリア朝のメイドは、完全に役割分担が決まっていたそうだが、斉藤家では別。
 それぞれがローテーションで、その日の当番をこなしていた。
 因みに一部の職種では、ヴィクトリア朝のメイドであっても、職種替えはあったようだ。
 パールも斉藤家メイド時代は、様々な役割をこなしており、ランドリーメイドも当番でやっていたほどだ。

 リサ「変な汗かくの、何とかならないかなぁ……」

 何ともならないであろう。
 今やBSAAの顧問職にある重鎮達ですら、たまに現場に赴くと、緊張の連続で変な汗をかいてナンボだという。
 人外級の強さとはいえ、それでも生身の人間でさえそうなのだ。
 ましてや、体内にGウィルスだの偽性特異菌だのを抱えているリサなんか特にそうだと思われる。
 しかし、このブラウスが、まさかあんなことになるとは……。

[4月23日01時32分 天候:曇 同地区内 愛原家4階・リサの部屋]

 リサ「……サイアク」

 リサは夜中に目が覚めた。
 変な夢を見たからである。
 気分を改める為に、トイレに行っておこうと思った。
 その前に、水を飲んでおく。
 室内にペットボトルが数本ほど入る小さなクーラーボックスを置いており、その中に水のペットボトルなどを入れている。
 それからトイレに行こうと、部屋を出ようとした。

 リサ「むー……」

 リサは鬼形態に戻っているせいか、五感が鋭くなっている。
 嗅覚もその1つ。
 最近は自分の体臭が気になってしょうがない。
 だが、それも思春期特有のものだと学校で言われた。
 食人はしていないものの、それ以外の獣肉はバクバク食べる為に、体臭は他の同年代の女子よりキツいかもしれない。
 その為、食人をしたことのある鬼や化け物の臭いはかなりキツい。
 夫を食い殺した上野利恵は、食人はそれ1人しかしていないにも関わらず、リサの鼻につくほどの臭いを放っている。
 普通の人間には、さほど分からない上、上野もデオドラントスプレーを使用して誤魔化している。

 リサ「変な夢見て、寝汗かいたからなぁ……。ついでにシャワーも使うか」

 リサは部屋からタオルを持って行った。
 因みにトイレに行ってからシャワーを浴びるのは面倒だということで、シャワーを浴びながらオシッコしたことがある。
 とても爽快で、もちろんした後はちゃんとシャワーで洗い流したのだが、それでも多少の臭いは残っていたのか、後で愛原にバレてメチャクチャ怒られた。
 『じゃあ、次は先生にオシッコ掛けてマーキングするよぉ……』なんて言ったら、呆れられたが。
 さすがに怒られたので、面倒でもトイレを済ませてからシャワーを使った。

 リサ「体毛剃ったら、あの夢か……」

 どこかの山に棲む鬼の男達に捕まった夢。
 服を剥ぎ取られ、このまま輪姦(マワ)されるのかと思いきや、鬼の特徴である剛毛な体毛を剃ってくれと剃刀を渡された。
 しかし、猥褻する気はあったようで、体毛を剃らせながらセクハラはしてくるという何とも奇妙な夢であった。

 リサ「はぁーあ……」

 リサは自分の頭に生えている2本角を疎ましく思いながら、髪を洗った。

 リサ「ん?」

 体を洗った後で体を拭いていると、シャワー室の外から物音がした。
 どうやら、愛原のようである。
 そのままシャワー室の前を通り過ぎると、隣のトイレに入っていったようだ。

 リサ「先生もトイレか……」

 トイレの前で全裸待機してやろうかと思い、牙を覗かせてニヤッと笑ったが、もっといい事思いついたので、急いで服を着た。
 そして、愛原の部屋に向かう。
 案の定、いつもならリサを警戒して施錠している愛原の部屋が、今は開いていた。

 リサ「でへへへ……!『トイレの前で全裸待機』じゃなくて、『ベッドの中で全裸待機』作戦~♪」

 リサはよだれを垂らしながら笑うと、着ていた体操服の上を脱ごうとした。

 リサ「ん?」

 その時、ベッドの下に何かが落ちているのが見えた。
 そこからは嗅ぎ覚えのある臭いが2つ漂っていた。
 鬼形態の目は、暗闇でもよく見える。
 だから、それがすぐに何なのか分かった。
 それは、昼間に着ていた自分のブラウス。
 拾い上げて嗅いでみると、愛原の体臭が混じっていた。

 リサ「……!……はは……」

 リサは全てを察した。
 そして、物凄く一言では言い表せない複雑な気分になった。

 リサ「ははは……はははは……」

 自然と笑いは零れたものの、それは引きつった、不自然な笑いだった。
 と、トイレの方から水が流れる音がする。
 リサは急いでブラウスを床に置くと、急いで部屋を出て、自分の部屋に戻った。
 そして、自分のベッドに潜り込む。

 リサ「……!……!!」

 そして、今度は声にならない笑いをする。
 気持ちとして、大きく分けて3つ。
 1つは、『キモい』。
 もう1つは、『嬉しい』
 最後の1つは、『嫉妬』。

 リサ「そっかぁ……そうなんだ……はは……はははは……」

 複雑な気持ちのまま、何度もベッドの中を右に向いたり左に向いたりしているうちに、いつの間にか眠りに落ちた。
 そして、今度は変な夢を見ることはなかった。
 ……いや、見たのかもしれないが、起きた時には覚えてないという程度。
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“愛原リサの日常” 「リサだけ先に帰宅」

2024-07-21 20:10:16 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月22日12時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家1階ガレージ]

 リサを乗せたデイライトの黒いセレナは、無事、愛原家に到着した。
 例によってまたガレージが空いていたので、車はそこにバッグで入る。
 そして、車止めにタイヤが当たる衝撃がしたところで、運転役の善場の部下は車を止めた。

 部下「到着しました」
 善場「ありがとう。リサ、着きましたよ」
 リサ「はーい」

 リサが内側から開けようとしたが、助手席に座っていた善場が降りて、外からスライドドアを開けた。

 善場「できれば今日、明日は家で大人しくしていた方がいいですね」
 リサ「えーっ、明日も~?」
 善場「明日には新しい制服を……。外出したければ、制服に取りに行ってもらいましょうか」
 リサ「ほお?」
 善場「新橋駅のコインロッカーに、あなたの新しい制服を入れておきます。明日、取りに行ってください」
 リサ「鍵は?」
 善場「一応、ICカード式のコインロッカーにするつもりです。それだと、後で暗証番号を教えますので、暗証番号を入力すれば開きます。もし普通の鍵式だったら、午前中指定で鍵を送りますよ」
 リサ「ふむふむ」
 善場「但し、愛原所長と一緒に出掛けてもらいます」
 リサ「それは面白そう!」
 高橋「あんまり先生のお手間を取らすんじゃねーぞ?」
 リサ「お兄ちゃん」
 高橋「ねーちゃん、先生はどうした?」
 善場「緊急保護者会が緊急中止となった為、その善後策を練っているところです」
 高橋「な、なに!?」
 リサ「モールデッドが現れたんだから、そりゃ無理でしょ」
 高橋「な、何があったんだよ?」

[同日15時00分 天候:曇 同地区内 愛原家1階ガレージ]

 リサは昼食に、パールが作ったサンドイッチを食べた。
 そして、3時のおやつという時間、愛原を迎えに行ったパールの車が戻ってきた。
 リサがガレージまで迎えに行くと、車から愛原が降りて来た。

 リサ「先生、お帰り~!」
 愛原「ああ、ただいま」
 リサ「緊急保護者会、どうだった?」
 愛原「どうもこうも……だな」
 リサ「うん?」

 すると、エレベーター横のインターホンが鳴った。

 リサ「はいはい」

 リサが受話器を取ると、高橋からだった。

 高橋「先生はお疲れなんだ。くっちゃべってねーで、早いとこリビングに御案内しろ」
 リサ「分かってるよー」

 リサは電話を切った。

 リサ「お兄ちゃんが、コーヒーでも入れて待ってくれてるみたいだよ?」
 愛原「あー、そうかい。取りあえず、上に上がるか」

 リサ達はエレベーターに乗り込んだ。
 それで3階に向かう。

 高橋「先生、お帰りなさい!」
 愛原「ああ、ただいま」
 リサ「それで、学校の方はどうだったの?」

 因みにリサ、今は体操服にブルマではなく、白いTシャツに黒い短パンというシンプルな恰好だった。

 愛原「上野高校での緊急保護者会は無理だと判断された。まず、体育館が使えない。今、BSAAがやってきて、体育館に立てこもっているモールデッドの掃討作戦を行っている。リサに襲い掛かったモールデッドが潜んでいた宿泊施設は汚染されていて、とても使える状態じゃない。そういったことから、モールデッドが逃げ込んだダクトも汚染されていると思われる。除染が完了しない限り、体育館は使えないと見ていいだろう」
 リサ「それじゃあ……」
 愛原「緊急に池袋高校の体育館を借りようかと思って照会したが、明日はバスケットの試合で使うとかで断られた」
 リサ「中等部の体育館を借りる」
 愛原「それも照会したが、墨田中学校もまたバレーボールの試合で使うからダメだと断られた」
 リサ「タイミング悪いねぇ……。もうオンラインでやるしかないじゃん」
 愛原「そうだな。そうなると、もう俺の出番は無い」
 リサ「あー……」
 愛原「結局、校長先生が状況を説明して、あとは質疑応答するだけだから」
 リサ「そうだよねぇ……」
 愛原「月曜日にプリントが配られて、それからだろうさ」
 リサ「ふむふむ。尚更わたしは月曜日に登校しないといけないわけだ」
 愛原「まあな。それで、オマエは?リサはリサで、何か善場係長と話をしたのか?」
 リサ「明日、制服を取りに来てもらうって」
 愛原「そうなのか」
 リサ「先生と一緒に!」
 愛原「んん?」
 リサ「善場さんが新橋駅のコインロッカーに、私の新しい制服を入れておくから、取りに行けだって」
 愛原「随分面倒臭いことするなぁ……。あれ?でも、鍵とかはどうするんだ?」
 リサ「後で暗証番号を教えてくれるらしいよ?」
 愛原「ああ、そうか。今はSuicaとか暗証番号で開ける方式だもんな。まあ、いいか。それで、汚れた方の制服はどうした?」

 血だらけになった方は、さすがに廃棄処分である。
 しかし、ただの廃棄処分ではなく、リサの血を多分に含んでいるので、ちゃんと焼却処分にしなければならないので、デイライトを通してBSAAに引き取ってもらっている。
 特異菌のカビが染み付いた方の制服は、クリーニングに出しておいた。
 最近の調べでは、モールデッドから攻撃を受けるなどの直接的な接触が無い限りは、感染するわけではないことが分かっている。
 ただ、クリーニング店でも行われている特殊な染み抜きをする必要がある為、料金はかなり掛かったらしいが。

 リサ「……ということなの」
 愛原「それでも、クリーニング店で対応してくれるんだねぇ……」

 愛原は特異菌の黒カビで汚れた制服も廃棄処分になるかと思いきや、それは免れたことで逆に驚いた。

 リサ「見た目は普通のカビだからね」
 愛原「そりゃそうだ」

 だから、旧校舎の黴臭さも、普通のそれだとずっと思われていたのだ。

 愛原「カビキラーが普通に効くくらいだもんな」
 リサ「そうそう」

 後から上がって来たパールが言った。

 パール「ただ、急ぎでは依頼しませんでした。高校は5月からもう夏服になるという話じゃないですか」
 愛原「あ、そうか。もう、あと10日くらいだもんな、どうせ」
 パール「はい。なので、カビの染み抜きだけお願いしました。これが伝票です」
 愛原「ああ、分かった。パールが立て替えてくれたんだな。後で精算するよ」
 パール「ありがとうございます」

 厳密に言えば、登下校の際のブレザー着用が自由化されるということだ。
 ネクタイやリボンの着用も、自由化される。
 また、スラックスやスカートも、夏用の物を穿いても良いことになる。
 尚、ポロシャツに関しては盛夏用なので、もっと暑い時季になってからの解禁だ。
 夏服用のブラウスやスカートに関しては、何の汚損も無いので、あと10日ほど持たせればOKということになる。

 愛原「じゃ、明日、制服取りに行くか」
 リサ「わぁい」
 高橋「俺が車出しましょうか?」
 愛原「せっかくの日曜日なんだから、お前もパールとゆっくりしてていいぞ」
 高橋「あざーす」
コメント (2)
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