報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「戦闘」

2024-07-21 12:24:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月22日11時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園・体育館]

 宿泊施設入口のドアをブチ破って飛び出してきたもの。
 それはモールデッドだった。
 E型特異菌に感染した人間の成れの果て。
 感染したものの、適合できずに転化した者がなる。
 相手は4足歩行タイプの『クイック・モールデッド』というもので、名前の通り、通常の2足歩行タイプよりも動きは俊敏である。
 Tウィルスのリッカーと動きが似ており、壁や天井を這うこともできる。
 通常タイプよりも攻撃力は高いが、耐久力は弱い。

 リサ「いい加減にしろ!」

 リサは右手だけ爪を長く鋭くすると、それでモールデッドを引っ掻いて攻撃した。

 善場「こいつ……!」

 善場はあることに気づいた。
 普通、モールデッドは特定の者を攻撃するようなことはしない。
 自分の視界に入った生物を、手あたり次第に攻撃する習性がある。
 にも関わらず、このモールデッドは、執拗にリサを狙った。

 リサ「カビ臭ェ!」

 リサはモールデッドを階段の下に押し倒した。

 警察官A「何かありましたか!?」
 警察官B「どうしました!?」

 騒ぎを聞きつけて、警察官達も駆け付けて来る。

 善場「あなた達は来なくていいです!」

 だが、時既に遅し。

 リサ「うわっ!」

 モールデッドはリサを押し返すと、駆け付けて来た警察官達に飛び掛かった。

 警察官A「うわっ!」
 警察官B「ぎゃっ!」
 善場「しまった!」

 善場は手持ちのハンドガンを発砲した。

 警察官A「ぐぐ……ぐ……!」
 警察官B「ぐわ……ああ……!!」

 モールデッドからの攻撃を受けた警察官達の体が、見る見るうちに黒カビに覆われて黒ずんで行く。

 リサ「早っ!?感染早っ!Tウィルスより早っ!」
 善場「それが特異菌の特徴です!リサは火を吹いて!」
 リサ「辛い物は!?」
 善場「あ……」

 警察官達もモールデッドと化した。
 但し、こちらは2足歩行の通常タイプである。
 リサ達には向かって来ず、外に出ようと、階段を下りて行った。

 善場「あいつらが外に出たら大変なことになります!」
 リサ「待てっ!」

 リサが追い掛けようとすると、後ろからクイック・モールデッドに組み付かれる。

 リサ「邪魔すんな!」

 リサは引き剥がそうとして、モールデッドの顔を掴んだ。
 そして、顔を覆う黒カビの塊をベリベリ剥がす。
 その下にあったのは、人間の顔。

 リサ「ああっ!お前は!?」
 モールデッド「ア……イ……ハ……ラ……コロス……」

 虚ろな目でリサを睨みつける。

 リサ「わたしを刺したヤツ!!」
 善場「何ですって!?」
 リサ「うらぁーっ!!」

 リサは床に叩き叩き付けると、鬼の姿に戻り、その腕力でモールデッドの首を捩じり切った。

 リサ「よし!」

 捩じり切った頭部は床に叩き付ける。
 いかにモールデッドと言えど、さすがに首と胴体を引きちぎられたら生きられない。

 リサ「早く下へ!」
 善場「分かってます!」

 すると、下から銃声が聞こえた。
 それはショットガンの音。
 現状、ショットガンを持っているのは……。

 愛原「一体、何が起きてるんだ!?」

 愛原だった。
 愛原がショットガンを持って、下から上ってきた。

 善場「愛原所長!モールデッドがそっちに行ったと思いますが!?」
 愛原「一体は私が倒しました!しかし、もう一体はダクトに逃げ込みやがりまして!」
 リサ「さすがは先生!」
 愛原「だから、一体は逃げられたんだって!」
 善場「BSAAに出動要請します!幸いここは体育館ですから、ここさえ閉鎖すれば、モールデッドは外に出られません!早いとこ外に!」
 愛原「分かりました!こりゃ、緊急保護者会は中止ですな!」
 善場「当たり前です!早くリサも……どうしました?」
 リサ「こいつ、まだ生きてるよ!」

 リサは首だけになった1年生男子、城ヶ崎の成れの果てのモールデッドを指さした。
 どうせ、リサに対する怨みの声を上げているのだろうかと思いきや……。

 モールデッド(城ヶ崎)「サイト……サナエ……」
 リサ「斉藤早苗!?」
 善場「斉藤早苗が犯人なのですね!?」
 リサ「わたしを刺したりするから、こんなことになったんだぞ!」
 モールデッド(城ヶ崎)「カ……ギ……カサ……ノ……カギ……」
 リサ「カギ?」

 モールデッドはそこで力が尽きて、体を石灰化させた。
 これは特異菌感染者の死を意味する。
 どんな種類のモールデッドになろうが、適合して人間の姿を保ったままのBOWになろうが、死ねば体は石灰化する。
 そこはリサみたいに、体が燃え上がって死ぬタイプと違う。
 そして、その石灰の中から1本の鍵が現れた。
 それは、傘のマークの鍵だった。
 開いた傘を横から見た図である。
 開いた傘を上から見た図のアンブレラのマークとは異なるが、それでも紅白の傘が、あのアンブレラを彷彿とさせるものだった。

 リサ「どこで使う鍵だろう?」
 善場「こちらで調べておきますので、私が預かっておきます。もしかすると、あなたが持っている『ゴールドカード』が役に立つかもしれませんので、用意しておいてください」
 リサ「分かった」

 リサ達は最後に体育館を後にした。

 愛原「リサ!無事だったか!?」
 リサ「モールデッドの首くらい、捩じ切れるよ!今度から、タバスコ持って来なくちゃ!」
 愛原「えっ?」
 善場「愛原所長は、この鍵に見覚えはないですか?」

 善場は愛原に『アンブレラの鍵』を見せた。

 愛原「いやあ……ちょっと無いですね。何か、ラクーン市郊外のアークレイ山地に建っていたというアンブレラの秘密施設の鍵に似てますね」
 リサ「映画にも出て来たヤツ!オリジナル大先輩が持ってた鍵!」
 愛原「あれはトランプの絵柄の鍵だったな」
 善場「もし仮にこの鍵が、アンブレラに関係する鍵だったとしたら、何故これを彼が持っていたのか謎ですね」
 愛原「どうされますか?我々でお役に立てるようでしたら……」
 善場「捜査令状を取って、彼の自宅の家宅捜索をしたいと思います。それからですね」
 愛原「分かりました」

 リサはブレザーを脱いで、バサッバサッと黒カビを払った。

 リサ「せっかくきれいな服だったのに、汚れちゃったよ!」

 緑色のブレザーは、所々に黒カビの黒い染みができていた。
 クリーニング店に出して、きれいになるかどうか……。

 善場「もう1着の方は、明日までに用意しますから」
 リサ「そうしてもらわないと、制服が無いから登校できない」
 愛原「ジャージがあるだろ」
 善場「取りあえず、一旦引き上げましょう。リサは車に乗ってください」
 リサ「分かった。先生は?」
 愛原「善後策を校長先生達と話してから帰るよ。昼過ぎ帰ると思うから、昼食は適当に食べててくれ」
 リサ「分かった」

 リサは善場に連れられて、駐車場の方へ向かった。
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“愛原リサの日常” 「リサ襲撃事件」

2024-07-20 22:20:08 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月22日10時00分 天候:晴 東京中央学園上野高校・旧校舎(教育資料館)]

 無事に学校に着いたリサ達。
 現場検証は10時からだということだが、警察の方は早めに到着していて、予定より少し早めに現場検証が始まった。
 1年生の女子生徒は体調不良で登校できない為、他にも現場検証には新聞部員の上坂も来ていた。
 どうも、この事件のことを学校新聞に書くつもりらしい。
 警察からは、捜査情報を漏らすなと釘を刺されたが。
 立ち会いの大人は、善場と担任の坂上。
 愛原は緊急保護者会の準備で、会場設営の為に体育館に向かった。

 リサ「……お開きにしようと思って、階段を下りようとしたところ、後ろからいきなり突き落とされたわけです」
 警察官A「なるほど……」
 リサ「くるっと1回転して、仰向けに踊り場に倒れたところを、馬乗りにされてメッタ刺しですよ」
 警察官B「よく無事だったねぇ」
 善場「コホン」
 警察官B「あ、いや、何でも……」

 公務員のヒエラルキー。
 『国家公務員>地方公務員』
 善場はNPO法人デイライトの職員ではあるが、どこかの国家機関からの出向という形を取っている。
 国家機関の職員、つまり国家公務員である。 

 警察官A「キミは被疑者が付き落としたり、刺す瞬間を見てた?」
 上坂「いえ。僕は愛原先輩より、更に先を歩いていたので」
 警察官B「そもそもどうしてキミ達は、こんな古い建物の中にいたの?」
 上坂「新聞部の企画です。うちの新聞部では、毎年、納涼企画として、『学校の七不思議特集』をやるんです。今年に限ってはネタ切れ……もとい、それまでに発表された怖い話を総集編で組もうということになりまして。で、その中で最も詳しいのが、ここにいらっしゃる愛原さんだったのです。この旧校舎は、特に怖い話の宝庫ですから、それに詳しい愛原さんにガイドをお願いしました」
 警察官A「ずっとここでそういう話を?」
 上坂「いえ。最初は新校舎からです。あそこにも、かなり怖い話がありますので。新聞部の部室を出発して、その怖い話の舞台を実際に訪れてみて、そこにまつわる怖い話を愛原先輩に話してもらうという企画でした」
 警察官B「当初から被疑者の少年は、様子がおかしかった?」
 リサ「いやあ……気づかなかったねぇ……」
 上坂「何しろ、企画が企画なだけに、緊張とかもするでしょうから」
 警察官A「それもそうだな。一応念の為、どこを回ったか順番に教えてくれるかな?」
 上坂「分かりました」

 リサ達は新聞部からスタートすることにした。
 
[同日10時30分 天候:晴 同学園 体育館→宿泊施設]

 愛原「あれ?リサ、どうしたんだ?」

 体育館では、愛原が緊急保護者会の設営をしていた。

 リサ「事件の事情聴取。事件発生までの経緯を確認するんだって」
 愛原「そうなのか。体育館って、何かあったっけ?」
 リサ「話的にはあるけど、今回はその上に用がある」
 愛原「上?」
 リサ「この上には宿泊施設があって、そこで起きた怖い話をしたの。だから、そこへ行く」
 愛原「そうなんだ。本当にこの学校は色々あるなぁ」
 善場「特異菌による幻覚症状ですよ」
 リサ「でも実際死人が出てる」
 善場「幻覚症状によるショック死ですよ」
 リサ「そうなのかなぁ……」

 リサ達はステージ横の扉を通って、上に続く階段を上った。

 リサ「あれ?」

 階段上の宿泊施設部分は、普段は消灯されている。
 もちろん、スイッチを押せば照明は点くのだが、今回は押しても何故か照明が点かなかった。

 リサ「停電してるのかな?」
 上坂「でも、下の体育館は照明が点いてましたよ。ブレーカーが落ちてるのかもしれませんね」
 リサ「分電盤はどこに?」
 上坂「さあ……」
 リサ「坂上先生、分かる?」
 坂上「いや、俺も分からんなぁ……。校務員さんなら分かるだろう。ちょっと呼んで来るよ」

 坂上はそう言って、階段を下りて行った。

 リサ「どうする?私は暗闇でも見えるけど?」
 善場「ライトならあります」

 善場はインカムに内蔵されたライトを点灯させた。

 警察官A「場所はこの奥なんですか?」
 上坂「そうです。何しろ、日当たりの悪い場所なので、電気を点けないと暗いですね」
 警察官B「この奥で起きたという怖い話をして、それからすぐに移動した?」
 リサ「そうです」
 警察官A「じゃあ、ここはいいか。この時点で、被疑者の少年に変わったことは?」
 リサ「うーん……」
 上坂「ちょっと気が付かなかったですねぇ……」
 警察官B「分かりました。じゃあ、次に行きましょう」

 リサ達が後ろを振り向いて、外に出ようとした時だった。

 善場「待ってください!」

 善場が何かに気づいた。
 そして、インカム内蔵のライトを付けて、暗闇を照らす。

 上坂「何かありましたか?」
 善場「今、奥から物音がしました」
 警察官A「な、何ですと?」
 リサ「わたしが見てこようか?わたし、暗闇でも目が見えるし」
 善場「そうですね。私も行きましょう。ライトを持っているのは、私だけのようですし」
 上坂「スマホのライトで良ければありますよ?」
 善場「いえ、あなたは警察の人達とここで待っててください」

 リサと善場は、暗闇に向かって進んだ。
 宿泊施設には、更にもう1フロアほど階段を上らなくてはならない。

 リサ「で、この先のドアを開けると、2段ベッドとかが並んでるの」
 善場「なるほど、そうですか」

 リサはドアノブに手をやった。

 リサ「いい?開けますよ?」
 善場「お願いします」

 リサがドアを開けようとした時だった。

 リサ「わあっ!?」

 向こう側からドアがいきなり強く開けられて、リサは階段の下を転げ落ちた。

 ???「キィィィィィィッ!!」
 善場「!!!」

 そして、その向こうから飛び出してくる何か。
 善場は銃を発砲した。
 その何かは、リサを狙っているようだった。

 リサ「な、何だァ!?」

 その何かとは一体……?
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“愛原リサの日常” 「鬼が増える」

2024-07-20 16:15:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月22日07時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・リサの部屋]

 リサの枕元に置いたスマホがアラームを鳴らす。
 リサは手を伸ばして、その後を止めた。

 リサ「ううーん……」

 そして、大きく伸びをしてベッドから這い出る。

 

 ベッドから出た時に、ブルマがずり上がったので、指を入れて食い込みを直した。
 それから部屋を出て、4階の水回りへ向かう。
 まだ愛原は起きておらず、先に洗面所で顔を洗う。
 歯を磨いてから3階に下りると、高橋が朝食を作っていた。

 リサ「おはよう……」
 高橋「おう、やっと起きたか」
 リサ「迎えの車は9時に来るんじゃ?」
 高橋「先生がまだ起きて来られてねぇ」
 リサ「えっ、そうなの?」
 高橋「オメー、ちょっと起こしに行けや」
 リサ「分かったよ」

 リサは再び4階に上がった。

 リサ「きっと夜遅くまで仕事してたから、疲れたんだね」

 リサは合鍵を持って、愛原の部屋に向かった。
 だが……。

 リサ「鍵が開いてる……!?『BOW侵入防止の為、施錠は絶対』って言ってたのに……」

 暗にリサの事を指しているのだが。

 リサ「よっぽど疲れてたんだね」

 愛原の部屋に入ると、愛原の部屋の匂いが鼻を突いた。
 『オヤジ臭い』のだろうが、リサにとっては良い匂いだった。
 互いの体臭が良い匂いだと、体の相性が良いという。
 リサは横向きに寝ている愛原の耳元で……。

 リサ「先生ぇ……
 愛原「へへ……」
 リサ「早く起きるっちゃーっ!!」
 愛原「わぁーっ!!」

[同日08時00分 天候:晴 愛原家3階ダイニング]

 

 今朝の朝食はハムエッグ。

 愛原「洋館を探索していたら、リサ・トレヴァーに襲われる夢見たよ」
 リサ「オリジナル大先輩に?」
 愛原「マスク取ったら、リサがいたんだもの」
 高橋「先生を襲うとはいい度胸だな!?」
 リサ「おおかた、洋館の中で浮気したんでしょう?」
 愛原「ち、違う!ドミトレスク夫人が迫って来たんだ!」
 パール「もうメチャクチャですね」
 愛原「そうなんだよ。年上には興味無いって言ってるのにさぁ……」

 2021年、ルーマニアの山奥の村で起きたバイオハザード。
 その村を支配する複数の有力者、『四貴族』。
 そのうちの1人、オルチーナ・ドミトレスク夫人。
 人間を辞めた時、44歳であった。

 愛原「むしろ、『あんたの娘達(推定年齢20歳前後)を寄こせ』と言ったら、逆ギレしやがってさぁ……」
 リサ「うん、そりゃキレるね。わたしもキレるし」

 リサは牙を剥き出して笑いながら、パチンパチンと静電気の火花を飛ばした。

 愛原「夢の中の話だから!」
 パール「ヘタするとその夢の中に閉じ込められそうなお話ですのに、脱出できたわけですね」
 愛原「そこはリサのおかげだよ。ほら、リサ・トレヴァーの正体が、オマエだって」
 リサ「オリジナル大先輩のGウィルスを受け継いでいるからね。ま、最後にわたしを出してくれたのなら許す」

 リサは放電を止めた。

 愛原「学校に行く時、ちゃんと制服に着替えろよ?もう1着あっただろ?」
 リサ「分かったよ。こういう時、予備があるといいね」
 愛原「着れなくなったもう1着は、デイライトの方で用意してくれるから」
 リサ「分かった」

[同日09時00分 天候:晴 愛原家1階ガレージ→デイライト車・車内]

 時刻通りにデイライトの送迎車がやってきた。
 愛原がシャッターを開けておいたので、そこに入庫してくる。
 それを確認した愛原は……。

 愛原「リサ、善場係長がお見えだぞ。早く行くぞ」
 リサ「分かった」
 高橋「それじゃお気をつけて。リサは先生に迷惑掛けんなよ?」
 リサ「分かってるよ」

 3人でエレベーターに乗り込み、1階に下りる。

 善場「おはようございます、愛原所長」
 愛原「おはようございます、善場係長」
 善場「準備は宜しいでしょうか?」
 愛原「はい、大丈夫です」

 リサと愛原は、リアシートに乗り込んだ。
 車は昨日乗ったのと同じ車である。

 愛原「それじゃ留守番頼むな?」
 高橋「了解しました!」

 善場の部下がスライドドアを閉める。

 善場「まずは東京中央学園上野高校まで」
 部下「はっ」

 車がガレージから出る。

 愛原「あれから、何か動きはありませんでしたか?」
 善場「大ありです」
 愛原「えっ?」
 善場「今朝のニュースは御覧になりましたか?」
 愛原「あー……えっと……」
 リサ「土曜日の朝じゃ、あんまりやってないよね」
 善場「……まあ、確かに。結論から言いますと、リサを刺した男子生徒が脱走しました」
 リサ「ファッ!?」
 愛原「はい!?警察の留置場からどうやって!?」
 善場「壁と鉄格子を破壊して、でしょうか」
 愛原「どこかのテロ組織と繫がりあったんですか!?」
 善場「今のところ、そのような繫がりは確認されておりません。ただ……警察署の監視カメラには、外から侵入した斉藤早苗と思しき人物が、男子生徒をBOW化させて脱走するところが映し出されていました」
 愛原「そ、それで、今、三ツ目通りに出ましたが、随分とパトカーが多いんですね?」
 善場「そういうことです」
 愛原「斉藤早苗が侵入したって、どうやって?」
 善場「外から鉄格子をグニャリと曲げて侵入したようですね」
 愛原「そんな、リサじゃあるまいし!」
 善場「そのリサを造り出した白井伝三郎が中に入っていますからね」
 愛原「警察官は止められたなかったのでしょうか?」
 善場「まずは監視役の警察官の意識を無くさせて、それからといった感じです。恐らくは、栗原蓮華のような状態にさせられたのかと」
 愛原「常盤台の事件のようなパターンも考えられますね」
 善場「十分あり得ます」
 愛原「やはり、斉藤早苗は東京にいたのですね」
 善場「かなり手ごわいですね。どうも、姿を変えられる力まで持っているようで……」
 愛原「ええーっ!?」
 善場「2021年のルーマニアが舞台のバイオハザード。その黒幕たるマザー・ミランダも似たような力を使っていました。斉藤早苗こと、白井伝三郎もその力を手にしているのかもしれませんね」
 愛原「イーサン・ウィンターズ氏しか、太刀打ちできないのでは?」
 善場「その役を愛原所長に依頼させて頂いたら、引き受けて頂けますか?」
 愛原「ま、前向きに検討させて頂きます」

 資料映像はリサも見たが、あれは壮絶な戦いだったと思う。
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“愛原リサの日常” 「事件の夜」

2024-07-18 20:19:39 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月21日21時30分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階・浴室]

 リサ「んー……」

 リサは体を洗うと、浴槽の中に入った。
 僅かに自分の血が残っていたらしく、シャワーで流すと、僅かに血の色が混じっていた。
 傷は立ちどころに癒えたとしても、1度噴き出した血までは消えない。

 リサ(それにしても……)

 リサが今1番印象に残っているのは、浜町のクリニックに愛原が飛び込んだ時のこと。
 まさかあそこまで、心配してくれていたとは思わなかった。

 リサ「やっぱり先生はァ、わたしを心配してくれたっちゃー!」

 リサは両手・両足を上げて、大歓喜した。
 興奮したことで、鬼形態に戻ってしまう。

 リサ「♪~♪」

 しばらく浴槽に使っていると、浴槽から出る。
 手に持っているのは、剃刀。
 体毛を剃る為である。
 リサの場合、主に腋毛と陰毛。
 特に陰毛は、外国人のようにツルツルに剃る。
 その理由は、愛原が観ていたエロ動画に、パイパンの女優が多く登場する作品があったからだ。
 今ではリサがそうしているからと、我那覇絵恋や上野利恵まで真似してパイパンにしているらしい。
 昔は、このまま裸で外に出ることが当たり前だった。
 アンブレラの研究所にいた頃は、入浴後、自室までは服を与えられず、他の『リサ・トレヴァー』達と全裸のまま歩かされたからかもしれない。
 まだ小学生くらいの歳だったリサにとっては、それが当たり前だと思わされていたからだ。
 なので服さえ着れば良いということで、今では愛原の気を引く為に体操服にブルマという恰好をしている。
 最近またブルマものをダウンロードして観ているようだ。

 
(画像拝借「こんいろ」様より。https://bsky.app/profile/konirohozonkai.bsky.social)

 リサ「よしっと」

 リサは紺色のブルマを穿いた。
 最近はこれを穿くことが多い。
 緑のブルマは、学校の体育用として穿くことが多い為、家用としてはこれやエンジ色のブルマを穿いている。

 リサ「お風呂出たよー」
 高橋「おーう」
 リサ「あれ?先生は?」
 高橋「2階の事務所だ。明日の準備をしておられる。邪魔すんじゃねーぞ」
 リサ「そうなんだ……残念」
 高橋「オメーも明日に備えて早く寝ろ、だとよ」
 リサ「愛原先生がそう言ったの?」
 高橋「そうだよ。オメーのLINEの通知音で、先生からのヤツが鳴ってたぞ」
 リサ「えっ、ホント!?」

 リサはリビングに行くと、充電中の自分のスマホを見た。
 LINEの通知はいくつかあって、『魔王軍のグループLINE』もあったし、絵恋からのLINEもあった。
 そして、もう1つは……。

 リサ「おー!ホントだ!」

 愛原からの通知もあった。
 これをいの1番に見る。
 確かに、高橋が言った内容のことが書かれていた。

 リサ「本当だ」
 高橋「だから言ったろ。俺はウソ付かねーよ」
 リサ「確かにね。鬼はウソ付きなのに」
 高橋「正気か?気は確かか?ワザとブーメラン投げたんか?」
 パール「そんなのどうでもいいから、次はマサが風呂に入りなよ」
 高橋「先生はどうした?先生を差し置いて、先に入れるかよ」
 リサ「わたしは入ったよ?」
 高橋「オメーの場合は先生の御命令だからしょーがねぇ。でも、俺は命令されたわけじゃねーから……」

 ピロリーン♪(高橋のスマホに、LINEの着信音)

 高橋「おっと!先生からだ!なになに?……ちっ、先生の御命令じゃ、しょうがねぇ」
 パール「お風呂、先に入れって?」
 高橋「ああ」
 リサ「新婚さんらしく、メイドさんと一緒に入ったら?」
 高橋「くぉらっ!」
 パール「お気遣いはありがたいんだけど、長湯はちょっとね……。その間に先生がお風呂に入りたがったら申し訳無いし」
 高橋「その通りだ!」
 リサ「じゃあ、わたしが先生に聞いてみてあげるよ」
 高橋「おい!だから、邪魔すんなって!」
 リサ「わたしは先生のお嫁さんだから、特権だよぉ」
 高橋「何がだ!」

 リサは素早く愛原のスマホにLINEを送った。
 すると早めに返信が来た。

 リサ「先生は4階のシャワーを使うから、お兄ちゃん達、ゆっくり入っていいってよ」
 高橋「マジか」
 パール「じゃあ、お言葉に甘えようか」
 高橋「先生のお気遣い、無駄にはできねーな」
 リサ「楽しんでね」

 リサはそう言うと、冷蔵庫から水や清涼飲料水のベッドボトルを取り出した。
 そしてその足で、4階の自分の部屋に向かった。

[同日22時00分 天候:雨 同地区内 愛原家4階・リサの部屋]

 リサは自分の部屋に入ると、ベッドに入って『魔王軍四天王』とLINEをしていた。
 話題はやはりリサが刺されたこと、そして人間なら失血死してもおかしくない傷を負いながらも、今は全く傷が無いということだった。

 リサ「月曜日はフツーに登校だから」
 淀橋「さ、さすがは魔王様です」
 小島「登校、お待ちしております」
 リサ「愛原先生、しばらくPTA会長として、『見守り』活動やるってよ」
 淀橋「『見守り』って、そんな小学校じゃあるまいし……」
 リサ「学校の中を見回りするんじゃない?愛原先生、探偵の前は警備会社で働いてたから」
 小島「なるほど、そういうことですか」
 リサ「というわけで、月曜日の体育は全員ブルマで。愛原先生を喜ばせてあげるんだ!」
 淀橋「ええーっ!」
 桜谷「私、今日からちょっと『重い日』で……」
 上野凛「陸上部で、大会を想定したトレーニングで、実際にユニフォームを着てやるんですけど、それじゃダメですか?」
 リサ「さっき先生のエロ動画覗いたら、『神ブルマ』観てた。なので、体育用のブルマで。逆らったら『公開おもらし』の刑」
 淀橋「ぴえっ!?」
 リサ「『全体朝礼中にお漏らし』『教室で授業中にお漏らし』『体育で授業中にお漏らし』『登下校中の電車の中でお漏らし』どれでも好きなの選ばせてやるから」
 小島「ど、どれも嫌です……」
 凛「陸上部ユニフォームで、ショーツタイプの方を穿きますから……」
 リサ「あぁ?リンの場合、『寮で妹の前でお漏らし』の方がいいか?」
 凛「ご、ごめんなさい!」
 リサ(全ては愛原先生の為……!)

 リサは布団を被ると、瞳を赤く鈍く光らせた。
 もうしばらくは、人間に戻れないかもしれない。
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“愛原リサの日常” 「事件の後の帰宅」

2024-07-17 20:36:55 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月21日20時45分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家]

 雨が降る中、リサと愛原は帰宅した。
 留守番していた高橋夫婦が1階ガレージのシャッターを開けてくれていたおかげで、デイライトの車はその中に入ることができた。
 よって、リサ達は雨に濡れずに帰宅できたのである。

 善場「到着しました」
 愛原「ありがとうございます」
 善場「リサは改めて明日、警察による現場検証がありますので、お付き合いください」
 愛原「警察……警視庁のレベルなんですか?」
 善場「現場検証には、私も付き合います。やはり教育機関で、殺人未遂事件が起きたことは重大ですから」
 愛原「まあ、私も再度学校に行くことになりそうですがね」
 リサ「そうなの!?」
 愛原「臨時の保護者会が行われる。リサ達もリサ達で、月曜日の全校朝礼は長くなるだろうな」
 リサ「うへー……わたしは被害者なのに」
 愛原「それだけ衝撃が大きかったということさ」
 リサ「それにしても、どうして城ヶ崎弟はわたしが犯人だって疑ったんだろう?」
 善場「何でも生徒会長が失禁するところを、都合良くカメラで撮影した人物がいたそうです」
 リサ「ギクッ」
 善場「その動画データが、彼女の自室から見つかったそうですよ」
 愛原「それにしたって、撮影者は分からなかったはずですが?」
 善場「それ以外については、警察の取り調べ中です。とにかく明日、警視庁の現場検証に御協力をお願いします」
 愛原「分かりました」

 リサ達は車から降りた。

 善場「それではお疲れ様でした」
 愛原「お疲れ様でした。また明日、よろしくお願いします」
 善場「こちらこそ。現場検証は10時からです。9時半にはお迎えに参りますので」
 愛原「えっ?」
 善場「どうかされましたか?」
 愛原「わざわざ迎えに来て頂けるんですか?」
 善場「はい。私共で監視しているBOWに問題が発生しましたので。もちろん、現場検証と臨時保護者会は開催が被るでしょうから、愛原所長はPTA会長として、保護者会の方を優先して頂いて構いません」
 愛原「分かりました」

 デイライトの車が出て行くと、愛原はガレージのシャッターを閉めた。

 愛原「参ったなぁ……」
 リサ「とんでもないヤツだったね。死刑になればいいのに」
 愛原「いや、ならんよ」

 聞いた話、事件を目の当たりにした女子生徒2人も、ショックで意識を失ったり、過呼吸になったりして救急搬送されたそうだ。

 愛原「お前はもう夕食食べてろ」
 リサ「先生は?」
 愛原「明日の緊急保護者会に向けて、色々準備しなくちゃいけないことがある」

 愛原はそう言って、エレベーターのボタンを押した。

 リサ「そうなんだ」
 愛原「PTA会長は色々大変なんだよ」
 リサ「うん、そうだね」

 そしてエレベーターに乗り込み、3階のボタンを押した。
 エレベーターがゆっくり上がって行き、3階に到着する。

 リサ「ただいま」
 高橋「おっ、帰って来た。さすがは殺しても死なねぇ化け物だぜ」
 リサ「わたしを殺したかったら、ロケットランチャー持って来なってね」
 高橋「それでも死にそうにねぇな?」
 リサ「ねぇ!……お腹空いた!」
 パール「はいはい。もう用意してありますよ」

 ダイニングのテーブルの上には、夕食が載っていた。

 リサ「わぁい!」

 リサは鞄をリビングのソファに放り投げると、自分の定位置に座った。

 

 今日はポークソテーのようである。
 リサは箸を手に取ると、ガツガツ食べ始めた。

 愛原「ちょっと俺は下の事務所にいるから」
 高橋「仕事っスか?」
 愛原「明日の緊急保護者会の資料作りさ。元々俺はPTA会長だから、立場上、参加しないといけないんだが、ガチの被害者がリサなもんだから、リサのことを話さないといけないから」
 高橋「メッタ刺しにされたのに、フツーに登校してますなんて、どうボケたらいいのか、ネタ作りが大変っスね」
 愛原「しかも明日は警察の現場検証だろ?尚更だよ」
 高橋「ですねぇ……」
 パール「リサさん……血の匂いが微かにしますよ……!?」

 パールは普段、善場とはまた違うポーカーフェイスをしているのだが、それはシリアルキラーが正体を隠す為の無表情である。
 それが今、微かな血の匂いを嗅ぎ取って、僅かにその片鱗を見せた。

 リサ「あー!だから、ずっとお腹空いてんたんだ!」
 愛原「夕飯食ったら、すぐ風呂入れよ!」

 クリニックに搬送された時、血は現場で拭き取られたのだが、完全にというわけではなかったようだ。

 リサ「はーい」
 高橋「俺、風呂沸かしてきます」
 パール「じゃあ、私は先生にコーヒーでもお入れしますね」
 愛原「ああ、すまない」

 高橋は風呂場に行き、愛原とパールはエレベーターに乗り込んで2階へ下りてしまった。
 よって、ダイニングはリサ1人となってしまう。
 テレビを点けると、民放はバラエティ番組とかをやっていたが、NHKに切り替えるとニュースをやっていた。

〔「……今日午後5時頃、東京都台東区の高等学校で、生徒同士による刺傷事件がありました」〕

 リサ「うわ……やってる」

〔「……こちら、台東区上野の上空に来ています。今日午後5時頃、学校法人東京中央学園上野高校から、消防宛てに、『男子生徒が女子生徒をナイフで何度も刺した』という通報が寄せられました。……」〕

 ヘリコプターからの映像がテレビに映し出される。

〔「……男子生徒は駆け付けた警視庁上野警察署の警察官に取り押さえられ、その場で現行犯逮捕されました。その際、銃声の音がしたということですが、詳細は不明です。男子生徒はひどく興奮しており、当初は警察官に激しく抵抗した為、警察官が発砲したのではと見られていますが、詳細は不明です」〕

 リサ「えっ?レイチェルが撃ってなかった???」

 まさかの揉み消し!?

 リサ「BSAAひでぇ!」

〔「……女子生徒につきましては、救急車で病院に搬送されたものの、幸い命に別状は無いとのことです」〕

 リサ「メッタ刺しにされたら、フツー死ぬんだけどね。……まあ、わたしのことだけどw」

〔「……以上、現場からお伝えしました」〕

 リサ「わたしもインタビュー受けたりして!?」
 高橋「人食い鬼はコイツでーす!皆さん、豆ぶつけてくださーいってか」
 リサ「節分じゃないよ!」
 高橋「いいから、さっさと食っちまえ」
 リサ「分かってるよぉ!どうせ今食べたところで、まだお風呂沸いてないんだし!」
 高橋「4階のシャワー使えばいいのによ……」
 リサ「まあ、先生は『風呂に入れ』と言ったわけだからね。先生の命令はゼッタイ!」
 高橋「そりゃそうだ」

 高橋は大きく頷いた。
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