とまぴーSTYLE

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今日も豊かな一日になりますように・・・

「ホテルローヤル」

2013-11-08 22:59:06 | 



桜木 紫乃(著)

     湿原を背に建つ北国のラブホテル。
     訪れる客、経営者の家族・・・それぞれの人間模様。

ラブホテルが舞台だからと、妙な期待を持って読み始めるとぎゃふん!となります(笑)

読み進めるうちに、ぐっと胸迫るものがあります。
中盤辺りからどんどんよくなる。

どの人生も生活も平坦なものではなく、
他人から見れば、見過ごしてしまう日常であるけれど、
誰もが一生懸命で、そして、孤独で。

暗い小説ではありません。
だからと言って夢や希望に溢れる、そんなお話でもありません。
生きることに必要不可欠な「諦め」・・・全編にその空気は漂っています。
それを「暗さ」と言う人もいるでしょう。
しかし「諦念」は「暗さ」ではありません。
諦めることで見えてくるものや、わかることはたくさんあります。
言い替えるなら「明日への灯」かもしれません。
この感覚は私くらいの年代になって、多くを振り返りながら得られるものかもしれませんね。

七つの短編の連作になります。
私が好きだったのは「えっち屋」「星を見ていた」

大きな賞を受賞した、と言う前評判はともかくとして、
一つの小説として読んだほうが随分と楽しめそうです。


いつもだけど、いい小説に出会えるなぁ♪


コメント (2)
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