とまぴーSTYLE

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「母性」

2016-02-24 23:40:06 | 
湊 かなえ(著)



私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました──。
それをめぐる記録と記憶、そして探索の物語。

「母性」って、生まれながらに備わっているもの?
「母」という文字が示すように、母になって芽生えるもの?
だとしたら「母」ではない女性には「母性」がないってこと?
などと悶々と考えさせられる小説です。

何のために子供を宿し、何のために子供を育てるのか。

子供が将来困らないためではなくて、
そこで自分(母親)がほめられたいから、評価されたいから細々としたしつけをする、教育する・・・
なんだかこれって間違っているような気がしてならない。
どこまでいっても自分が大事だ、という親っているものなのよね。
そういった親をもった子供は、大人になっても満たされず、渇望した心を持ち続けることになる。

作中、親を選ぶか子を取るか、そんな場面が出てきます。
究極の選択を強いられ、その結果、母と娘はギクシャクした関係になる。
また、汚く意地悪でひどい人間も登場します。
世の中、いい人ばかりとは限らない、と教えてくれます。

幼児体験、という深層心理も侮れない。
いいことも悪いことも、記憶の中に封じ込められ、
時としてひょこっと顔を出したかと思うと、
実はその記憶に、ずっと無意識のまま支配され縛られて生きていた、という事実に気づく。

親って大変、娘も大変。
どう生きたって正解は見つからない。

ランダムなレヴューになってしまったが、
「女」として「娘」として「母親」として、
私さえもが3つの顔を持つ人間だから、やはり答えは出ない。
それでもその時々で、自分に正直に生きていくことしかできないのだから。
コメント (2)
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