~予定を変更し、きょう・あすと二夜連続で追悼文をアップします~
米映画界には、陰と陽のふたりのマーティが居る。
陽のマーティは、どの世代の映画ファンからも支持を受ける『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(85~90)のマーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス)―そう、スケボーで現在過去未来を往来する主人公。
陰のマーティは、クラシックファンや一部の男子がカルト的に支持するオスカー作品、『マーティ』(55)の主人公である。
男女のキャラクター双方が容姿にコンプレックスを抱いている・・・という設定の地味な物語で、ふたりが結ばれるまでを静かに見つめ、ほろりとさせられる佳作に仕上がっている。
「性格俳優」と呼ばれるプロでしかオファーを快諾出来そうもないキャラクターだが、この映画でタイトルロールのマーティを演じたのが、アーネスト・ボーグナインである。
7月8日死去、享年95歳。
そうか、そんな歳になっていたのか。
名はK-1選手を彷彿とさせ、苗字はジェット機のよう、、、って、なんだか関根勤のような表現だが、
確かにボーグナインのキャリアはマッチョイズムの色合いが濃い。
第二次世界大戦に従軍、入隊直後に軍曹にまで昇格しそうなコワモテであるが、
映画俳優になって以降も、その経験と容姿を活かし独特なキャリアを築いていった。
名作『地上より永遠に』(53)では、底意地の悪い軍曹を。
滅びの美学を活写したペキンパーの『ワイルドバンチ』(69)では、口数の少ない用心棒を。
パニック映画には欠かせない俳優でもあったようで、『ポセイドン・アドベンチャー』(72)や『世界崩壊の序曲』(80)でもインパクト大のキャラクターを好演している。
しかしなんといっても、自分の世代にとってはドラマ『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』(84~86)のドミニクじいさんだろう。
※懐かし過ぎて落涙
80年代は、米産のドラマシリーズが民放で「垂れ流し」にされていた時代。
そのなかで抜群の人気を誇っていたのが『ファミリータイズ』(82~89…またまた登場、マイケル・J・フォックス主演だ)と『ナイトライダー』(82~86)、『特攻野郎Aチーム』(83~87)、そして『エアーウルフ』だった。
(その数年後に、『ツイン・ピークス』(89~91)が出現する)
クラスメイトのきったねー男子、その6割ほどが『エアーウルフ』と『ナイトライダー』のファンだったと記憶する。
自分も欠かさず観ていたはずなのに、じつは物語そのものはほとんど記憶にない。
ないが、ヘリあるいは車のデザインと、それぞれのテーマ曲、主人公の「強烈な?」見た目、そしてボーグナインの好演ははっきりと覚えている。
たとえれば『ロッキー』(76)のトレーナー、ミッキーじいさんを演じたバージェス・メレディスのような俳優で、
基本的には脇で輝くタイプであり、本人も周囲も「そういうひと」と認識している・・・はずなのに、
低予算という「しばり」があったか、
プロデューサーの気まぐれか、
あるいは「明確な狙い」があったのかは分からないが、
そういう俳優を主演にした映画をひっそりと創り、しかもオスカーをかっさらうという流れ、なんとも痛快じゃないか。
90年代以降は、ネクストレベルに到達したドラマの「今っぽさ」に乗り切れなかったボーグナインだが、
スクリーンの世界では『ガタカ』(97)や『RED/レッド』(2010)で元気な姿を拝めてうれしかった。
出会ったときから老けていたひとは、それ以降、歳を取らないものなんだ―と、勝手に決めつけているところがある。
だから95歳という高齢には驚いたが、なかなかに「かっけー」俳優人生だったんじゃないか。
陽のマーティはもちろん好きだが、
陰のマーティのほうが「より」好きだ。
そんなわけでボーグナインさん、今宵は、あなた自身でも想像出来ない数の映画小僧が、たぶん『マーティ』を観返すのだと思う。
ね、やっぱり、なかなかに「かっけー」俳優人生でしょう?
合掌。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『眼力のクィーン 追悼、山田五十鈴』
米映画界には、陰と陽のふたりのマーティが居る。
陽のマーティは、どの世代の映画ファンからも支持を受ける『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(85~90)のマーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス)―そう、スケボーで現在過去未来を往来する主人公。
陰のマーティは、クラシックファンや一部の男子がカルト的に支持するオスカー作品、『マーティ』(55)の主人公である。
男女のキャラクター双方が容姿にコンプレックスを抱いている・・・という設定の地味な物語で、ふたりが結ばれるまでを静かに見つめ、ほろりとさせられる佳作に仕上がっている。
「性格俳優」と呼ばれるプロでしかオファーを快諾出来そうもないキャラクターだが、この映画でタイトルロールのマーティを演じたのが、アーネスト・ボーグナインである。
7月8日死去、享年95歳。
そうか、そんな歳になっていたのか。
名はK-1選手を彷彿とさせ、苗字はジェット機のよう、、、って、なんだか関根勤のような表現だが、
確かにボーグナインのキャリアはマッチョイズムの色合いが濃い。
第二次世界大戦に従軍、入隊直後に軍曹にまで昇格しそうなコワモテであるが、
映画俳優になって以降も、その経験と容姿を活かし独特なキャリアを築いていった。
名作『地上より永遠に』(53)では、底意地の悪い軍曹を。
滅びの美学を活写したペキンパーの『ワイルドバンチ』(69)では、口数の少ない用心棒を。
パニック映画には欠かせない俳優でもあったようで、『ポセイドン・アドベンチャー』(72)や『世界崩壊の序曲』(80)でもインパクト大のキャラクターを好演している。
しかしなんといっても、自分の世代にとってはドラマ『超音速攻撃ヘリ エアーウルフ』(84~86)のドミニクじいさんだろう。
※懐かし過ぎて落涙
80年代は、米産のドラマシリーズが民放で「垂れ流し」にされていた時代。
そのなかで抜群の人気を誇っていたのが『ファミリータイズ』(82~89…またまた登場、マイケル・J・フォックス主演だ)と『ナイトライダー』(82~86)、『特攻野郎Aチーム』(83~87)、そして『エアーウルフ』だった。
(その数年後に、『ツイン・ピークス』(89~91)が出現する)
クラスメイトのきったねー男子、その6割ほどが『エアーウルフ』と『ナイトライダー』のファンだったと記憶する。
自分も欠かさず観ていたはずなのに、じつは物語そのものはほとんど記憶にない。
ないが、ヘリあるいは車のデザインと、それぞれのテーマ曲、主人公の「強烈な?」見た目、そしてボーグナインの好演ははっきりと覚えている。
たとえれば『ロッキー』(76)のトレーナー、ミッキーじいさんを演じたバージェス・メレディスのような俳優で、
基本的には脇で輝くタイプであり、本人も周囲も「そういうひと」と認識している・・・はずなのに、
低予算という「しばり」があったか、
プロデューサーの気まぐれか、
あるいは「明確な狙い」があったのかは分からないが、
そういう俳優を主演にした映画をひっそりと創り、しかもオスカーをかっさらうという流れ、なんとも痛快じゃないか。
90年代以降は、ネクストレベルに到達したドラマの「今っぽさ」に乗り切れなかったボーグナインだが、
スクリーンの世界では『ガタカ』(97)や『RED/レッド』(2010)で元気な姿を拝めてうれしかった。
出会ったときから老けていたひとは、それ以降、歳を取らないものなんだ―と、勝手に決めつけているところがある。
だから95歳という高齢には驚いたが、なかなかに「かっけー」俳優人生だったんじゃないか。
陽のマーティはもちろん好きだが、
陰のマーティのほうが「より」好きだ。
そんなわけでボーグナインさん、今宵は、あなた自身でも想像出来ない数の映画小僧が、たぶん『マーティ』を観返すのだと思う。
ね、やっぱり、なかなかに「かっけー」俳優人生でしょう?
合掌。
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明日のコラムは・・・
『眼力のクィーン 追悼、山田五十鈴』