自家製の表札に「なかなか反応しませんので、派手に叩いちゃって構いません」と記してあるものだから、来訪者は「最初の一手?」は遠慮するものの、二度目三度目は割と派手にドアを叩く。
なぜこう記したのかというと、ほんとうに「なかなか反応しない」から。
出るのが億劫なわけではない。
昼に寝ることが多く、また、起きていても大音量で音楽を聴いていたり映画を観ていたり自慰をしたりしているため、ひかえめなドア叩きでは気づかないのだった。(だから「ノック音」ではなく、敢えてドア叩きと表記していく)
ドアにチェーンはついていない。
小窓から誰かを確認してから開ける用心さもない。
ドア叩きに気づいたら、向こうが驚くくらいの勢いでドアを開ける。
(あまりにも勢いがいいものだから)怒っているとでも思ったのだろう、
「いえ、表札に“派手に”と書いてありましたので、ちょっと大きめに叩いちゃいました…」なんてイイワケするひとも居る。
・・・いや、怒ってないって。
自分が住むキチガイ部屋に、誰がやってくるのかって?
「家呑み」のメンバー。
それからデリヘル嬢、、、というのは昔の話だ。
いまは呼んでないよ、いまは。団地だしね、目立ち過ぎるから。
宗教勧誘。
高齢者が多いからだろう、宅配スーパーの勧誘。
野菜売り。
うん、来るんだ。八百屋のアンちゃんが。これも高齢者が多いためだと思う。
そして、新聞屋。
新聞屋以外の勧誘は、嘘の笑顔でお断りしている。
ちなみにトップ画像は、前アパートの集合ポストに貼られていたもの。
主は、インドの留学生だった。
こうやって勝手に新聞入れたりするから、イメージ悪くなるんだよなぁ・・・。
さて。
なぜ新聞屋にだけ真の笑顔を見せて契約書にサインするのかというと、かつて新聞奨学生だったからである。
朝日新聞の奨学生だからって、朝日にだけニコニコするのではない。
やってきてくれたすべての新聞屋さんに「えぇ、いいですよ。1年といわず、2年でも構いません。ビールは難しいっていわれてますけど、頑張ってビール持ってきてくれさえすれば」といって、ドアを開けて1分も経たずに契約書にサインをする。
そんなことを繰り返していたら、契約年が平成30年代になっちまった。
ここに住んでいるかどうかも分からないし、また、平成がつづくとも分からないのに・・・って、やばいやばい、こういうことはジョークでもいっちゃいけないか。
で、先日もビール呑みながらAVを観ていたら朝日さんがやってきた。
ドアを開けた途端、「ウチの所長が、困ったときは牧野さんだといってましたので、そこを信じて伺いました」などという。
「(笑う)まぁ、間違ってはいないかもしれませんけれどね」
「所長と、お知り合いなんですか?」
「あれ、なにもいってなかったですか?」
「ただニヤニヤしながら、このひとだったら頭下げれば契約してくれるよってだけいうんですよ。それ以上は、なにも教えてくれません」
「(笑う)あのひとらしいですね。自分が調布で奨学生やっていたころ、同じ店の専業さんだったんですよ」
「あぁ、そういうわけでしたか!」
「いいですよ、そんなに頼られているのでしたら、契約しましょう」
「ありがとうございます!!」
というわけで、さらに2年の契約延長。
「サインしてもらってから聞くのって反則のような気もしますが、牧野さんにとって新聞って大事ですか」
「まぁ、大事ですね。なんかオニイサンになら素直にいえそうなんで告白しちゃうと、読むという意味では、朝刊は要らないんです」
「夕刊が要るってことですか」
「はい、文化面が充実しているでしょう。映画批評とかも載っているし」
「なるほど」
「さささっと読んじゃう朝刊の使い道はっていうと、髪の毛を自分で刈るときとか、爪切り、料理、ついでにいっちゃうと、ほじったハナクソを紙面につけたりね」
「(苦笑)」
「怒った?」
「いえぜんぜん、面白いですから」
「まぁ、とにかく新聞はいろいろ使えます」
「それで取っているとか?」
「その理由が半分で、残り半分が情ですよ、情」
「情、ですか」
「所長にだけじゃない、オニイサンにだって、単に配達している・集金している・拡張しているっていうだけで情が湧きますよ」
「ほんとうですか、なんかうれしいな」
「自分、いいひとでしょ?」
「はい!」
「まぁ、自分でいいひとというひとは、大抵が悪いひとだけど」
「(笑う)」
そんなわけできょうも、もらったビールで乾杯している。
当然、ひかえめなドア叩きでは聞こえないからね、派手にやってちょうだい。
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『「呑みかた」って、なんだべさ?』
なぜこう記したのかというと、ほんとうに「なかなか反応しない」から。
出るのが億劫なわけではない。
昼に寝ることが多く、また、起きていても大音量で音楽を聴いていたり映画を観ていたり自慰をしたりしているため、ひかえめなドア叩きでは気づかないのだった。(だから「ノック音」ではなく、敢えてドア叩きと表記していく)
ドアにチェーンはついていない。
小窓から誰かを確認してから開ける用心さもない。
ドア叩きに気づいたら、向こうが驚くくらいの勢いでドアを開ける。
(あまりにも勢いがいいものだから)怒っているとでも思ったのだろう、
「いえ、表札に“派手に”と書いてありましたので、ちょっと大きめに叩いちゃいました…」なんてイイワケするひとも居る。
・・・いや、怒ってないって。
自分が住むキチガイ部屋に、誰がやってくるのかって?
「家呑み」のメンバー。
それからデリヘル嬢、、、というのは昔の話だ。
いまは呼んでないよ、いまは。団地だしね、目立ち過ぎるから。
宗教勧誘。
高齢者が多いからだろう、宅配スーパーの勧誘。
野菜売り。
うん、来るんだ。八百屋のアンちゃんが。これも高齢者が多いためだと思う。
そして、新聞屋。
新聞屋以外の勧誘は、嘘の笑顔でお断りしている。
ちなみにトップ画像は、前アパートの集合ポストに貼られていたもの。
主は、インドの留学生だった。
こうやって勝手に新聞入れたりするから、イメージ悪くなるんだよなぁ・・・。
さて。
なぜ新聞屋にだけ真の笑顔を見せて契約書にサインするのかというと、かつて新聞奨学生だったからである。
朝日新聞の奨学生だからって、朝日にだけニコニコするのではない。
やってきてくれたすべての新聞屋さんに「えぇ、いいですよ。1年といわず、2年でも構いません。ビールは難しいっていわれてますけど、頑張ってビール持ってきてくれさえすれば」といって、ドアを開けて1分も経たずに契約書にサインをする。
そんなことを繰り返していたら、契約年が平成30年代になっちまった。
ここに住んでいるかどうかも分からないし、また、平成がつづくとも分からないのに・・・って、やばいやばい、こういうことはジョークでもいっちゃいけないか。
で、先日もビール呑みながらAVを観ていたら朝日さんがやってきた。
ドアを開けた途端、「ウチの所長が、困ったときは牧野さんだといってましたので、そこを信じて伺いました」などという。
「(笑う)まぁ、間違ってはいないかもしれませんけれどね」
「所長と、お知り合いなんですか?」
「あれ、なにもいってなかったですか?」
「ただニヤニヤしながら、このひとだったら頭下げれば契約してくれるよってだけいうんですよ。それ以上は、なにも教えてくれません」
「(笑う)あのひとらしいですね。自分が調布で奨学生やっていたころ、同じ店の専業さんだったんですよ」
「あぁ、そういうわけでしたか!」
「いいですよ、そんなに頼られているのでしたら、契約しましょう」
「ありがとうございます!!」
というわけで、さらに2年の契約延長。
「サインしてもらってから聞くのって反則のような気もしますが、牧野さんにとって新聞って大事ですか」
「まぁ、大事ですね。なんかオニイサンになら素直にいえそうなんで告白しちゃうと、読むという意味では、朝刊は要らないんです」
「夕刊が要るってことですか」
「はい、文化面が充実しているでしょう。映画批評とかも載っているし」
「なるほど」
「さささっと読んじゃう朝刊の使い道はっていうと、髪の毛を自分で刈るときとか、爪切り、料理、ついでにいっちゃうと、ほじったハナクソを紙面につけたりね」
「(苦笑)」
「怒った?」
「いえぜんぜん、面白いですから」
「まぁ、とにかく新聞はいろいろ使えます」
「それで取っているとか?」
「その理由が半分で、残り半分が情ですよ、情」
「情、ですか」
「所長にだけじゃない、オニイサンにだって、単に配達している・集金している・拡張しているっていうだけで情が湧きますよ」
「ほんとうですか、なんかうれしいな」
「自分、いいひとでしょ?」
「はい!」
「まぁ、自分でいいひとというひとは、大抵が悪いひとだけど」
「(笑う)」
そんなわけできょうも、もらったビールで乾杯している。
当然、ひかえめなドア叩きでは聞こえないからね、派手にやってちょうだい。
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