『リトル☆バレリーナ』のようなキラキラ世界を描く一方、学校が舞台の問題作を発表していらっしゃる工藤純子さんの新作です。
二学期、主人公蒼太のクラスに転入してきたのは、エリサ・ビソカルマちゃんというネパールから来た女の子。エルサちゃんは、最初の挨拶のかたこと日本語で笑われてしまいます。それは悪意のある笑いではなかったのですが・・・。
先生はタブレットの翻訳機能で、エリサちゃんとコミュニケーションをとります。でも、人と人とのコミュニケーションは、やはりそういうものではありません。エリサちゃんは、次第に学校に来なくなります。
やがて、「弟子入り体験」といういわば「職場体験」の時期になり、蒼太と幼なじみのゆうりは、「モモ」というレストランに決まりました。そこは、なんとエリサちゃんのお父さんがやっているネパール料理のお店でした。
今、この本に登場するエリサちゃんのような子、そして日本語をうまく話すことができない子を迎える、日本の子ども達というシチュエーション、多いのではないでしょうか。
ダンネバードとは? それは、是非読んでみてください!
日本人同士でも、意思疎通って難しい。まして言葉が通じなければ・・なんて思いがちだけど、違う。それは相手をわかろうとする気持ちがあるかどうかなんですね。
ネパール料理を食べてみたくなります。
児童文学の主人公は子ども達なのに、学校を舞台に書くというのは、実は難しいんです。それを今もっともしっかりと取り組んでいるのが、工藤さんなのでは? と思います。
たくさんの方に読んでもらいたい本です。