リイマは、ケニア人の父と、日本人の母の間に生まれた5年生。弟が二人いる。
母が日本人と再婚し、再婚相手の母がおばあちゃんとして、同居。
おばあちゃんは、毎朝洗面所でリイマと会うと、ぎょっとした顔をする。リイマは、自分が日本人とは違う容姿だからだと思う。母には似ていず、学校でも黒人として扱われてしまうのだ。
足が速いと「黒人だから」と言われる。
弟たちが「クロ」とか呼ばれていることも知ってしまう。
日本人なのに。ことわざ検定7級なのに。漢字検定6級なのに。
そんなリイマは、おばあちゃんから旅行に誘われる。行先はケニアだ。
ケニアに行くことは、自分のルーツを探すこと? ところが、ケニアに行ったら、リイマはケニア人には見られない。
実は母に似ていたのだ。(色は黒いけど)
おばあちゃんとの間にあった誤解も解けていく。私はここがよかった。
おばあちゃん、凛としててとてもいい。
私、年齢的におばあちゃんと自分を重ねてしまう。息子が3人の子どものいる人と結婚することになって、しかも、その子たちのおとうさんがケニア人だったら? 正直言ってとまどうだろう。だから、この本を読んでよかった。そういうシチュエーション、ないともかぎらない。なんて、変な風にずれてしまってました。でも読書って、そういうこと。自分がこの立場だったら、どうだろうと疑似体験できるのだ。
もちろん、テーマであるアイデンティティとか、考えさせられる部分はたくさんある。
山本さんらしい作品だ。ケニアに行かれたのだろうか。ここ、お尋ねしてみたい。