fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『わたしに続く道』山本悦子作・佐藤真紀子絵(金の星社)

2024年02月11日 | 本の紹介
      

 リイマは、ケニア人の父と、日本人の母の間に生まれた5年生。弟が二人いる。
 母が日本人と再婚し、再婚相手の母がおばあちゃんとして、同居。
 おばあちゃんは、毎朝洗面所でリイマと会うと、ぎょっとした顔をする。リイマは、自分が日本人とは違う容姿だからだと思う。母には似ていず、学校でも黒人として扱われてしまうのだ。
 足が速いと「黒人だから」と言われる。
 弟たちが「クロ」とか呼ばれていることも知ってしまう。
 日本人なのに。ことわざ検定7級なのに。漢字検定6級なのに。

 そんなリイマは、おばあちゃんから旅行に誘われる。行先はケニアだ。
 ケニアに行くことは、自分のルーツを探すこと? ところが、ケニアに行ったら、リイマはケニア人には見られない。
 実は母に似ていたのだ。(色は黒いけど)
 おばあちゃんとの間にあった誤解も解けていく。私はここがよかった。
 おばあちゃん、凛としててとてもいい。
 私、年齢的におばあちゃんと自分を重ねてしまう。息子が3人の子どものいる人と結婚することになって、しかも、その子たちのおとうさんがケニア人だったら? 正直言ってとまどうだろう。だから、この本を読んでよかった。そういうシチュエーション、ないともかぎらない。なんて、変な風にずれてしまってました。でも読書って、そういうこと。自分がこの立場だったら、どうだろうと疑似体験できるのだ。

 もちろん、テーマであるアイデンティティとか、考えさせられる部分はたくさんある。
 山本さんらしい作品だ。ケニアに行かれたのだろうか。ここ、お尋ねしてみたい。