巧者に病あり。師の詞にも、俳諧は三尺の童にさせよ、初心の句こそたのもしけれなどなど、たびたび云ひ出られしも、皆巧者の病を示されし也。
芭蕉は生前俳論を書いてはいません。死後弟子が生前の師の言葉を書き残す仕事をしたわけで、『三冊子(さんぞうし)』は、土芳によるものです。「俳諧は三尺の童にさせよ」。、三尺の童とは、小学校中学年くらいの子ども。大人になるとうまげに作ろうとする気持ちが働いてしまう、それではいけない、子どもが作る句を見習いなさいというわけです。この言葉から私が入っている会は「童子」と名付けられたし、先日行った句会の名の「三尺句会」も、それによるものです。
こうもりの死がいをふんでしまつたよ
しんせきの犬をあずかる夏休み
あずかつた犬おとなしい夏休み
みぞの中ばつた上手におよいでる
ぼんの道かめの親子があるいてる
ちぎつてはなげてみたいな夏の雲
三日めの旅の終りはかみなりだ 田代 もえ 『童子』より
田代もえちゃんは、『童子』の小学生会員です。今何年生なのかわかりませんが、注目しています。「ぼんの道」なんて言葉を使えるあたりは、おばあさまが田代早苗さんという俳人であるがゆえですね。今年の夏は、どんな俳句を作ってくれるでしょうか。
『作ってみよう らくらく俳句』(偕成社)-辻桃子 これは子ども向けの俳句の本。子どもだけの句会実況も載っています。岡部りかさんの挿絵もかわいい!