fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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8月~『ぼく森』より

2021年08月02日 | 自作紹介
  8月ですね。
 『ぼく森』こと、『ぼくらは森で生まれかわった』の中でも、8月になる章があります。

 八月になった。
 ああ、八月か。そう思った瞬間、足もとがぐらついたような気がした。
 水底にいて浅瀬から深みに一歩入ったようで、草原を歩いていて深いしげみに入ってしまったようで、ころばないように、足に力を入れてしまう。
 まわりの緑は深みを増し、セミの鳴き声はいっそう激しい。
 でも緑はやがておとろえるし、セミは死んでいく。その断片がそんなに遠くないところに見えかくれしてもいる。
 あいかわらず暑い毎日だけど、あしたもあさっても暑いだろうけど、その先には秋があるんだろうなとちらっと思う。


 小説の中でレトリックを多用すると、「くさく」なってしまいます。作家ひとりが酔ったような描写にならないよう、注意しなくてはと思っています。
 この部分、どうでしょう。私は気に入っているんですが。

   
 


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