昨年からやっている児童文学者達の句会「かわせみ句会」が先週ありました。
さすが個々の世界観を持つ作家達です。また言葉のプロです。短期間にかなりの上達。俳句の表現を身につけています。
さて、今回は、俳句雑誌の編集長さんが取材をかねて句会に参加してくださいました。(何の雑誌かは、発売のときに、またご紹介します)← もったいつけてるね。
長い俳歴を持ち、ご自身が主宰する雑誌もやってらっしゃる方なので、おっしゃることがわかりやすく、私とはまた違った選もしてくださり、とても刺激になりました。違う風を入れることは大事ですね。
さて、そのときの俳句は、雑誌にも載せていただけるので(4月号)、きょうは二次会でやった連句をご紹介します。
連句は、芭蕉達がやっていた複数の人間で一つの巻をつくる、現在の俳句の基礎となっているものです。三十六歌仙、百韻などありますが、今回は二次会なので、三十六歌仙の半分、半歌仙を。
これ、実はかなり即吟ができないと難しいのです。
それを、楽しんでやった皆さん、さすがでしたー。( )内に児童文学作家としてのペンネームを入れました。
蝦夷松の巻
発句 去年今年言の葉生まれては消えて あぶみ(おおぎやなぎちか)
脇(二の句) 鷹の目の先風集ふ先 真理(光丘真理)
第三 花舞ふや土手をあるけば古思ひ なる美 (森川成美)
四 川面にひびく子どもらの声 朋 (渡辺朋)
五 おぼろ月笛の音どこからか聞こえ 湖魂 (三田村慶春)
六(折端) おいでおいでと格子の先に 不埒 (海光哲)
・・・・・・ここまで表
一(折立) 見合ひから帰る男の影長し 耕実(後藤耕)
二 夜通し見てるトーキー映画 真理
三 あの人を振りむかせたいワンピース あこ (橋長あこ)
四 裸足で外を歩いたりして あぶみ
五 いつか俺月へ行くぞとビール飲み ふくね (赤羽じゅんこ)
六 亀が迎えに来るかもしれず なる美
七 名月やだらだら坂のその先に 耕実
八 案山子と酒を呑み干しにけり 真理
九 薄野や五輪選手が涙こぼして 耕実
十 まがり角にてふつと消えたる 結
十一 蝦夷松の幹にもたれて花を見る お遊(土山優)&あぶみ
十(折端) 戦下の子にも届け春の音 朋
本来は、その当季の句から始め、今はもう春なのですが、今回今年初の句会ということもあり、新年からにしました。新年から始まる場合、春から、夏から始まる場合とそれぞれ何句目には、春の句、無季の句、夏の句、秋の月を入れるなど、細かい式目というのがあって(他に、このあたりで恋の句を詠む、発想を大きく飛ばすなど)、一応それにのっとってやったのですが、しっかり連句をされている方がここで読んだら、「違うよ」っていう部分もあると思います。
でも大勢でやると自分では発想しないものが出てくるので、おもしろいです。皆さんもとても楽しんでくださいました。児童文学関係では、上のメンバーのほか、欠席だったり二次会には出られなかったけれど、にしがきようこさん、かわのむつみさん、森埜こみちさんもいらっしゃいます。この面子、すごいと思います。また、海光さんが、ちゃきちゃき江戸っ子で連句のことなどご存知なため、「連句やりましょうよ」とおっしゃってくださったのも、よかったのだと思います。そうじゃなきゃ、私、まだ初めて日の浅い方たちに「やりましょう」とは自分から言わなかったと思います。
箸休め的に、散歩コースの浅川
*連句については、こちらのサイトがお詳しいです。この中にある画像のように、本来は懐紙に書いて、このように折るわけです。私もさらに勉強させていただきます。
また、芭蕉の『奥の細道』の序文の最後のところ。
松島の月まづ心にかかりて、住める方は人に譲り、杉風が別所に移るに、
草の戸も住み替はる代ぞ雛の家
表八句を庵の柱に掛け置く
とあります。この表八句が、百韻の場合の初表 なんですね!
編集者さん、当日夜は「東大俳句会」の取材とおっしゃってました。そういった若手の句会を紹介するページに載せていただけるのですから、ふふふ。
改めて、俳句って、楽しい。だからこれだけ長い文化もあり親しまれているのだなと感じます。そして、楽しいだけではない。勉強になるというのとはちょっと違う、脳トレともまた違う、しみじみとした疲れが心地よいです。うーんと頑張る必要もないところもいいのかも。
自分がこうやって長く俳句をやっていて覚えたことで、他の方に楽しんでいただける一役を担えたことも、嬉しいことでした。
長くなってしまいました。お読みいただいて、ありがとうございます。
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