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ある駅のあっち側とこっち側では、雰囲気ががらりと違う。これは案外あることですよね。
この物語では一方の高台には、有名私立高校があり、もう一方は怪しげな雰囲気のある店や底辺高と呼ばれている公立の高校があります。水と油のようにまじわらない二つの高校に通っている優弥と稀星(きらら)。二人の出会い、そしてお互いがひかれていく様子が交互の視点で描かれます。
二人をつなぐ場所が、子ども食堂というのが、とてもいいなと思いました。
稀星はそこの手伝いをしているのです。
優弥は、とまどいながら勉強を教えます。
そして、二つの高校がいっしょにイベントをやらないかということになっていきます。
金銭感覚の違い。弟をせめて高校にやりたいという稀星の言葉に驚く優弥(高校に行かないということ自体が考えられないから)。そういうディテールがどれもリアルです。
どこかでほころびが来るんじゃないかな。物語は終わったけど、このあと二人はどうなるかなあ。うまくいくかなあと、現実的なおばちゃんは考えてしまいます。
でも、そうか。物語は希望なんですよね。
濱野さんは、立て続けに現代を切り取った作品『wjth you』『Mガールズ』をご出版。かと思うと、幼年ファンタジーまで! すごいです。
社会を見つめる眼差し、学ばなくては。
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